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デヴィッド・ボウイを音楽の世界へと導いた「ハウンド・ドッグ」

2017.01.10

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デヴィッド・ボウイが音楽に特別な関心を抱くようになったのは、彼が9歳のときだった。

「うんと小さい頃、僕は従姉が踊ってるのを見た。プレスリーの『ハウンド・ドッグ』に合わせてね。でも彼女があんなに、ノッテ夢中になってるのは、見たこともなかった。
音楽の力というものが、本当に印象的だった」


本名、デヴィッド・ロバート・ジョーンズがこの世に生を受けたのは1947年の1月8日、場所はロンドン南部に位置するブリクストンという労働者階級の街だ。
ところが両親はこの街の忙しない雰囲気に馴染むことができず、ボウイが6歳のときに中流階級が多く住むブロムリーへと引っ越す。

家は決して裕福ではなかったが、ボウイは自分のレコード・プレーヤーを持っていた。音楽に関心のあった父が買い与えたもので、ボウイのお気に入りだった。

ボウイには5つほど年上のクリスティナという従姉がいる。
幼い頃に母親から虐待を受けた経験を持つ彼女は、施設や里親のもとを転々としており、時折ジョーンズ家に遊びにきていた。

そんなクリスティナの境遇を不憫に感じていたボウイの母親は、1956年のクリスマスに彼女を家へと招く。
ボウイがレコード・プレーヤーを持っていることを知っていたクリスティナは、自分のレコードを持ってきていた。
エルヴィス・プレスリーの「ハウンド・ドッグ」だ。
クリスティナはレコードをかけると、人が変わったように踊り出してボウイを驚かせた。
このときボウイは、自分が持っていたエルヴィスの「ラヴ・ミー・テンダー」と「ハウンド・ドッグ」を交換してもらったという。
それまでは親からもらったレコードを聴いていただけだったが、この日を境にボウイは自分でレコードを集めるようになった。

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「ハウンド・ドッグ」はその年の7月にリリースされたシングルで、「ハートブレイク・ホテル」に続きエルヴィスにイギリスで2回目の1位をもたらした。
オリジナルは女性ブルース歌手の大御所、ビッグ・ママ・ソーントンで、1953年にリリースされて50万枚以上の大ヒットとなっている。


あなたはただの女たらし
ドアのそばを犬のようにうろついている
でも尻尾をふっているだけじゃ
餌はもらえないのよ




エルヴィスはステージでこの曲をレパートリーに入れていたが、歌詞が女性的なこともあり、録音してレコードにすることには消極的だった。
その問題を解決するために歌詞の一部が変更される。


お前はただの女たらし
いつも鳴きわめいちゃいるが
それじゃウサギちゃんは捕まえられない
俺の友人にもなれやしないさ


リリース前にはテレビで披露して猥褻だとバッシングを受けるなどの騒動もあったが、蓋を開けてみれば全米チャートで11週連続1位という驚異的な大ヒットとなり、エルヴィスの代表曲の1つとなった。



従姉を夢中にさせるほどの力を持つ「ハウンド・ドッグ」に衝撃を受けたボウイは、その力に魅せられ、やがてロック・スターになることを夢見るようになる。
ボウイにとってロック・スターとは理性を失うほどの熱狂と興奮をもたらす存在であり、そんな彼がのちにジギー・スターダストという架空のロック・スターを生み出したのはある意味で必然だったのかもしれない。


引用元:
『デヴィッド・ボウイ』ジェリー・ホプキンス著/きむらみか訳(音楽之友社)

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