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はじめての楽器は洗濯板だったというジョージ・ハリスン

2017.03.28

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ビートルズ時代には“静かなるビートル”と呼ばれていたジョージ・ハリスン。
ジョン・レノンとポール・マッカートニーという大きな存在に隠れがちだったジョージだが、自身も内向的な性格で積極的に前に出ようとはしなかったことが、“静かなるビートル”のイメージに拍車をかけた。
ジョージがそのような性格になったのは中学校に入った頃からだという。

1943年の2月25日にリバプールで生まれたジョージ・ハリスン。
小学生の頃は他の子どもたちと同じように、勉強やスポーツに取り組んでいたが、小学校を卒業してグラマー・スクール、いわゆる進学校に入学すると、ジョージは学校に幻滅しはじめる。
日々の試験、繰り返される体罰にもうんざりしていたが、何よりもジョージを落胆させたのは教師だった。

「教師は年寄りの退役軍人、そうでなければ大学を出たばかりの新米だから、何もわかっちゃいない。
彼らが人にものを教える器じゃないことはわかっていた」


彼らから学ぶものは何もない、そう判断したジョージは授業を真面目に聞くこともなく、そうした教育と学校生活に順応するクラスメイトの輪に混ざることもなかった。
この頃のジョージについて当時の先生やクラスメイトは、「独りぼっち」「平凡」「目立たない」といった印象を抱いていたという。
学校に行くのが嫌だったジョージは、次第に授業をサボりはじめるのだった。

自伝で「暗黒時代」と呼ばれているこの頃に、束の間の楽しい時間をもたらしてくれたのが、カーレースの観戦、そして音楽をはじめとするエンターテインメントだった。
中でも楽しみだったのが家族で劇場に行くことで、それは生の音楽を体験することができる貴重な時間でもあった。

そんなジョージとロックンロールの出会いは、ある日唐突に訪れる。

「12歳か13歳の頃、自転車に乗っていたらどこかの家から『ハートブレイク・ホテル』が聞こえてきたんだ」


エルヴィスの歌声、歌詞、サウンド、そのすべてが衝撃だった。
ジョージはその出会いを、イエスのもとに東方の三博士が訪れた日を意味する「エピファニー」と呼んでいるが、ジョージの人生においてはそれほど重要な出来事だった。
後日「ハートブレイク・ホテル」のレコードを手に入れてからというもの、ジョージは学校から家に帰ってレコードを聴くことしか考えていなかったという。



エルヴィスの「ハートブレイク・ホテル」がヒットした1956年、イギリスではもう一つのブームが到来していた。
ロニー・ドネガンの「ロック・アイランド・ライン」がヒットしたのを機に始まったスキッフル・ブームだ。
アメリカ発祥のこの音楽は、ジャズやブルース、カントリーなど様々なジャンルが影響しているが、最大の特徴といえるのが木箱や洗濯板など、身近にあるものを楽器として使用する点だろう。
そのお手軽さがイギリスの子どもたちにウケて、全国で次から次へとスキッフル・バンドが誕生していた。



ジョージもまた、兄のピーターとともにスキッフルを始めたいと考えた。
はじめはエルヴィスと同じギターに興味を持ったが、ピーターがすでにギターを持っていたため、わずか3ペンスで買ってもらった安い洗濯板を鳴らすこととなる。
それがジョージにとっては初めての楽器となった。

※イメージ写真
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洗濯板の腕前は中々だったようだが、ギターを弾きたいという気持ちはますます大きくなり、ギターの絵を書いては自分が理想とするギターを想像していたという。
その熱意が母親に伝わり、ついにネックの壊れた中古のギターを買ってもらったジョージだが、自分で直そうと分解したところ、元に戻せなくなってしまうのだった。

それから3ヶ月ほどが過ぎ、溶接工の仕事を始めたピーターに直してもらうことで、ようやくジョージはギターを弾き始める。
とは言ってもそのギターはかなりの粗悪品で、弦の位置がかなり高く、Fのコードを押さえることすら困難という代物だった。
それでもジョージは教則本を片手に根気強く練習し、少しずつその腕前を磨いていくのだった。

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参考文献:
『ジョージ・ハリスン自伝 I・ME・MINE』ジョージ・ハリスン著/山川真理訳(河出書房新社)
『ジョージ・ハリスン』アラン・クレイソン著/島田陽子 炭田真由美 露木智子訳(プロデュース・センター出版局)



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