TAP the CHANGE

ロック・ミュージシャンたちを魅了する12弦ギターの響き

2018.05.08

Pocket
LINEで送る

アメリカのギターメーカー、リッケンバッカー社が12弦のエレキギターを開発したのは1963年頃のことだ。
通常のギターは6本の弦が貼られているが、その6本それぞれに並行して細い弦が張られている。
それによって生まれる独特で深みのある響きは、これまで多くのギタリストを魅了してきた。



最初に12弦のリッケンバッカーを有名にしたのはビートルズのジョージ・ハリスンだ。
1964年2月にビートルズがアメリカへと渡った際、このリッケンバッカー360/12を入手したジョージは、その年の7月にリリースされた3枚目のスタジオ・アルバム『ハード・デイズ・ナイト』の中で早速使用している。

「最高だよ。ちょっとエレクトリック・ピアノを思わせるような音色で、それでいて厚みがあって豊かな音なんだよね」(1974年 メロディー・メーカー紙にて)




そんなジョージ・ハリスンの弾く12弦ギターに心奪われたのが、バーズのロジャー・マッギンだ。
それまでフォーク・シンガーとして活動していたロジャーは、ビートルズを知ったことからバンド結成を決意する。
そして1964年公開の映画『ハード・デイズ・ナイト』の中で、ジョージが弾くリッケンバッカー360/12を見ると、持っていたギターを売り払って、ジョージと同じギターを入手するのだった。
12弦のエレキギターが生み出すサウンドはバーズのトレードマークとなり、ボブ・ディランの「ミスター・タンブリン・マン」のカバーをはじめ、その響きとともに数々のヒット曲を放った。



それから50年近い月日が過ぎた2012年、再び12弦の響きに魅せられた若者たちがシーンに登場した。
彼らの名はテンプルズ、イングランド中部のケタリングという小さな町で生まれた4人からなるバンドだ。



地元が同じ彼らだが、はじめから一緒にバンドを組んでいたわけではない。それぞれ違うバンドに属し、そして別々のタイミングで生まれ故郷を離れていた。
リード・ボーカルとギターを務めるジェームス・バッグショーと、ベースのトーマス・ワームスレイはその後、巡り巡ってムーンズというバンドで一緒になっている。

2012年の夏頃、ジェームスが故郷のケタリングに帰ると、トーマスも同じタイミングで戻ってきていた。
互いの音楽の趣味が近いことを知っていた2人はテンプルズを結成し、デモ・テープの制作に取り掛かる。
そうして出来た「シェルター・ソング」は、12弦ギターが非常に印象的に使われている曲だ。



間もなくしてバンドに加わったアダム・スミスとサム・トムズの2人も含め、ジェームスによれば、4人を結びつけたきっかけとなったのがバーズだったという。

「僕たちはお互いが持ってるレコードをシェアするのが大好きなんだけど、お互いが影響を受けたバンドで初めて一致したのがThe Byrdsだったんだ。12ストリングギターの音は本当に素晴らしいよ」(BELONG Mediaより引用


テンプルズがリリースしたデビュー・アルバム『サン・ストラクチャーズ』は、60~70年代のロックやサイケデリックを思い起こさせるサウンドとともに、大きな話題となった。
彼らの音楽は、その時代を知っているロック・ファンだけでなく、そこに懐かしさを感じることのないであろう若い世代からも支持されている。

12弦ギターの生み出すサウンドは、いつの時代も魅力的に鳴り響くのだ。

Pocket
LINEで送る

スポンサーリンク

関連アーティスト

関連するコラム

[TAP the CHANGE]の最新コラム

このコラムへの感想・コメントを書く

Pagetop ↑