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ジェイムス・ベイの人生を変えた「いとしのレイラ」の魅惑的なリフ

2018.06.26

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それはジェイムス・ベイがニューヨーク行きの飛行機に乗るため、空港で荷物チェックを受けているときのことだった。

「ギターを置いてコートを脱ぎ、奥に進んでギターを手に取り、帽子を被ってコートを羽織り、振り向いたらそこにエリック・クラプトンがいたんだ。
『おいおい、なんてこった』って感じだったよ」


エリック・クラプトンがきっかけでギターをはじめた人間は、それこそ星の数ほどいるだろう。
2016年にグラミー賞で最優秀新人賞を含む3部門にノミネートされた、今もっとも勢いのあるシンガー・ソングライターの一人、ジェイムス・ベイもまたその一人だ。

ベイは1990年の9月4日、ロンドンの少し北に位置する小さな町、ヒッチンで生まれ育つ。
彼がクラプトンの音楽と出会ったのは11歳のときだった。
ある日、父親が聴かせてくれたのがエリック・クラプトンのバンド、デレク・アンド・ザ・ドミノスの「いとしのレイラ」だった。

「このとき僕は、はじめてエレキギターに衝撃を受けて、焚き付けられたんだ。
『今すぐギターを手に入れなきゃ!』って気にさせられたよ」


「いとしのレイラ」をきっかけにしてギターを弾き始めたジェイムス・ベイは、友人や兄弟らとバンドを組むようになったが、18歳のときにソロで活動することを決意して実家を出る。
向かった先はナイトクラブが多いことで知られる街、ブライトンだ。
そこでベイはオープン・マイク型、つまりは飛び入り参加が出来る店を渡り歩き、自分のことなど全く知らないであろう客と向き合いながら、自身の音楽を磨いていく。

そんなジェイムス・ベイにプロへの道をもたらしたのは、YouTubeだった。
あるとき観客の一人がオープン・マイクで歌うジェイムスを撮影し、YouTubeにアップロードしたのである。再生回数は1000回ほどしかなかったが、その動画を見たレコード会社のA&Rが契約を申し出てきたのだ。
こうして彼は7年間の下積みを経て2013年にEP『The Dark of the Morning』でレコードデビューを果たし、2015年に1stアルバム『カオス&ザ・カーム』をリリースするのだった。



ところで。
ベイと同世代のエド・シーランもまた、クラプトンの「いとしのレイラ」をコンサートで聴いたのがきっかけで、ギターをはじめたという。(詳しくはコチラ
この楽曲には、いつの時代の少年少女たちであっても、ギターへと駆り立てる魔力のようなものが宿っているのだろう。

そんな、ロック史の中でもひときわ魅惑的な「いとしのレイラ」のリフだが、クラプトンによればこのリフを考えたのは自分ではないという。
デレク・アンド・ザ・ドミノスには、オールマン・ブラザーズ・バンドのメンバーでスライド・ギターの名手、デュアン・オールマンも参加していた。
彼はクラプトンからバラード調だった「いとしのレイラ」を聴かされると、もっとテンポを上げてロックにしようと提案し、あの印象的なリフを弾いてみせたのだ。



参考サイト:
James Bay-Interview Magazine
【インタビュー】ジェイムス・ベイ「ただ感動して欲しい。音楽に必要なのはそれだけだ」 | BARKS

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