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カントリーのアウトローたち②〜ドワイト・ヨーカム/グラム・パーソンズほか

2019.11.20

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「TAP the COLOR」連載第392回〜BLUE〜

カントリー・ミュージックにはアウトローの系譜がある。酒のせいでナッシュビルの聖地グランド・オール・オプリーから締め出されたハンク・ウィリアムズ。ドラッグやアルコール中毒の伝説となったジョージ・ジョーンズ。ジョニー・キャッシュはレコード会社の反対を押し切って刑務所での荒々しいライブを録音した。刑務所上がりで有名なのはマール・ハガードやデビッド・アラン・コーだ。一匹狼ならタウンズ・ヴァン・ザントが深い印象を残す。

キース・リチャーズにカントリーの良心を伝えたグラム・パーソンズ。ナッシュビルのシステムと折り合いがつかなかったウィリー・ネルソンやウェイロン・ジェニングス。他にもクリス・クリストファーソン、ジェリー・ジェフ・ウォーカー、マイケル・マーティン・マーフィ、ビリー・ジョー・シェイヴァー、ガイ・クラークなどが思い浮かぶ。また、ジョン・プレイン、スティーブ・グッドマン、シェル・シルヴァスタインらの曲はアウトローたちが何度も取り上げる。

1980年代後半からはドワイト・ヨーカムやトラヴィス・トリット、2000年代以降ではライアン・アダムスにも同じスピリットが感じられる。共通する一番大切なことは、アウトローたちが素晴らしい曲を作ったり歌ったりするということだ。

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ドワイト・ヨーカム『Guitars, Cadillacs, Etc., Etc.』(1986)
ホンキートンク・カントリーの正当な伝承者であるドワイト・ヨーカムは、コンテンポラリー全盛だった70年代後半にナッシュヴィルで活動を開始。その後カウパンク・シーンがLAに現れ、ヨーカムの音楽が支持される。だがカントリー業界では本物であるがゆえに当初はなかなか受け入れられず、1986年のこのデビュー作リリース当時は2年で終わると酷評された。美学を貫き続けた男は今やカントリー界のレジェンドとして君臨。独特の鼻にかかった歌声がカントリーのすべてを伝える。相棒のギタリスト、ピート・アンダーソンの存在も忘れてはならない。


トラヴィス・トリット『Greatest Hits: From the Beginning』(1995)
1989年8月にシングル「Country Club」でデビュー。続く名曲「Help Me Hold On」がカントリーチャートでNo.1ヒットに。本作はそれらを収録した最初のベスト盤(4枚のアルバムからセレクト+新曲)。同年にデビューしたクリント・ブラック、ガース・ブルックス、アラン・ジャクソンとは一線を画したサザンロックが並ぶ。ウエスタンハットも被らない。ソングライターやパフォーマーとしても評価が高く、ドワイト・ヨーカムに近いアウトロー・スピリットを感じる。

グラム・パーソンズ『GP』(1973)
親友キース・リチャーズにカントリーの良心を教えた男、グラム・パーソンズ。本作はザ・バーズ、フライング・ブリトー・ブラザーズなどでの活動を経てリリースした初ソロ作。近年では「カントリーロックの創始者」「ヒット曲なくして音楽を変えた」「チャック・ベリーやジミ・ヘンドリックスに匹敵する功績」などとリスペクトの嵐が吹くが、当時はまったく話題にならなかった。購入するなら死後リリースされたセカンド『Grievous Angel』(1974)とのカップリングがオススメ。エミルー・ハリスとのデュエット「Love Hurts」はグラムの真髄の一つ。
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ジョニー・キャッシュ『At San Quentin』(1969)
カントリー・アウトローの草分け的存在であるジョニー・キャッシュの足跡は、【ジョニー・キャッシュ特集序文】老いても、それでも歌い続けるということに詳しいので是非こちらを入口に。本作は68年の『At Folsom Prison』に続く刑務所ライヴ第2弾。キャッシュの長いキャリアにおいて最大のセールスを記録した作品でもある。シェル・シルヴァスタイン作の「A Boy Named Sue」がヒット。何度も言うが、前代未聞の刑務所での録音だ。

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