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アメリカの土を踏む女たちPart2〜エミルー・ハリス/ルシンダ・ウィリアムズほか

2015.06.17

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「TAP the COLOR」連載第86回

広大なアメリカに耳を傾けながら音楽の旅を続けていると、僕たちは例外なくフォーク、カントリー、ブルース、リズム&ブルースといったルーツミュージックと出逢うことになる。もとはアイルランド系移民や黒人たちによって育まれてきた土の匂いが漂う音。旅路で流せば、きっと土埃が歓迎してくれることだろう。

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elite_hotel-front エミルー・ハリス『Elite Hotel』(1975)
エミルー・ハリスはグラム・パーソンズに見出されてスターになった。この3作目は彼女のキャリア初期における傑作の一枚。アウトロー・カントリーの美学を受け継いだかのようなカバーも秀逸で、バック・オウエンスやハンク・ウィリアムスをはじめ、ドン・ギブソンの「Sweet Dreams」、そしてグラム・パーソンズの「Sin City」などを収録。「私の人生で大切な仕事は、歌を見つけ出してそれを自分なりに歌うこと」と言うように、エミルーは自分のアルバムをリリースする度にグラムの曲を今でも取り上げている。泣ける。


231266 ルシンダ・ウィリアムズ『Car Wheels on a Gravel Road』(1998)
ルイジアナ州生まれのルシンダは、幼い頃は父親の仕事について回った影響で、自然と南部のルーツミュージックに慣れ親しんだ。1979年にデビュー作をリリース、その後は注目されることなく地道な活動を続ける。しかし、ソングライターとして脚光を浴び始めた90年代、名盤の評価が高い本作で遂にその名は知れ渡ることになった。まさに「アメリカの土を踏む女」だ。ジャケット写真のような世界と歌が綴られる。


K.D. Lang & The Reclines - Absolute Torch And Twang (Australia) - Front k.d.ラング『Absolute Torch and Twang』(1989)
カナダ生まれ。様々な音楽に触れるうち、演劇の役で演じた伝説のカントリー歌手パッツィ・クラインに影響を受けて本格的に音楽活動を開始。次第にライブパフォーマンスが注目され、1987年にはロイ・オービソンと「Crying」をデュエットした。本作は初期の傑作。タフなルックスや同性愛者であるカミングアウトなどもあり、創造的な彼女の音楽はカントリー畑で正当な評価を受けられずにカントリーを離れた時期もあった。


img_1 ノラ・ジョーンズ『Feels Like Home』(2004)
ジャズの名門レーベル、ブルー・ノートからのデビュー作が世界中が大ヒット。本作は待望のセカンドとしてリリースされた。ジャズ、R&B、カントリー、フォーク、ポップスなどあらゆるジャンルの音楽体験と、ノラの最大の魅力である独特の声が唯一無比のムードを放つ。「What Am I to You?」はザ・バンドのリヴォン・ヘルムとガース・ハドソンが参加し、至福のスワンプをうっとりと聴かせてくれた。ドリー・パートンともデュエットしている。


【執筆者の紹介】
■中野充浩のプロフィール
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