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海のブルーと音楽と〜ビーチ・ボーイズ/エコー&ザ・バニーメンほか

2015.07.22

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「TAP the COLOR」連載第91回

海や砂浜が写ったアルバムジャケットはこれまで数多く存在するが、そこにはアーティストが持つイメージ世界観、あるいは当時の心の風景が反映されている場合がほとんど。祝福の海、絶望の海。甘美な海、哀切な海。そこから聴こえてくる音楽に深く魅せられるのは、たくさんの夢が漂っているからだ。

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00602547387646-cover-zoom ビーチ・ボーイズ『Surfer Girl』(1963)
彼らの3作目であり、ブライアン・ウィルソン初のプロデュース作。全米7位。何と言ってもブライアンによるタイトル曲にうっとりとしてしまう。目を閉じて聴いていると、60年代カリフォルニアの渚の光景が浮かんできそうだ。ジャケ写でメンバーが抱えているサーフボードは、デビュー作『Surfin’ Safari』でも登場している。


Carpenters Ticket To Ride Album Cover カーペンターズ『Ticket to Ride』(1969)
カーペンターズのデビュー盤。ヒットを飛ばすのは1970年代に入ってからだが、それでも兄と妹のポップの世界観は既に完成の域に。ビートルズのタイトル曲はベスト盤には必ず収録される人気曲。なお、当時は『Offering』というタイトルでリリースされ、ジャケットもスナップ写真(下の写真)が使用されていた。リチャードは気に入らなかったが、デビューしたばかりの立場で言い辛かったという。後年に今のものに差し替えられた。
carpoff
cover5 ニール・ヤング『On the Beach』(1974)
1972年の『Harvest』で疲労するアメリカと世界の若者たちの心を歌い、商業的にも大成功したニール。しかしそこに安住することなく、問題作と言われる映画やライブ盤をリリース。その後、クレイジー・ホースのギタリストの死にショックを受け、テキーラ浸りのままで『Tonight’s the Night』を録音するが、余りの暗さにレコード会社に拒絶され、その代わりに本作が作られた。ジャケ写は当時のニールの心の風景そのものだったに違いない。

Echo-The-Bunnymen-Heaven-Up-Here エコー&ザ・バニーメン『Heaven Up Here』(1981)
いわゆる美ジャケもので必ず取り上げられる作品。リヴァプール出身のエコバニのセカンド作であり、彼らの最高傑作との評価が高い。ポスト・パンクの激動期だった1980年代前半、イギリスで起こったネオ・サイケデリックのブームの顔役的バンドでもある。ロマンティシズム、気品、浮遊感、憂鬱と狂気といった世界の調和がここにある。

【執筆者の紹介】
■中野充浩のプロフィール
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