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南部の風〜レイナード・スキナード/ドクター・ジョンほか

2015.10.21

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「TAP the COLOR」連載第104回

壮大な音楽探究の旅人たちにとって、アメリカ南部の音楽は避けて通れないし、避けることは嘘の旅になる。テキサス州出身のロイ・オービソン、ルイジアナ州出身のドクター・ジョン、フロリダ州出身のレイナード・スキナード、LA出身でありながら南部の情景に取り憑かれたリトル・フィート。必ずどこかで出逢うアーティストたちだ。

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0828768557228_600 ロイ・オービソン『Lonely and Blue』(1961)
ロイ・オービソン(1988年死去、享年52)の偉大さを伝えるのには何万語費やせばいいのだろう? しかし、ブルース・スプリングステイーンが代弁してくれる。「1975年に『Born To Run』を作るためにスタジオ入りした時、僕はボブ・ディランのような詩を書き、フィル・スペクターのようなサウンドを作り、デュアン・エディのようなギターを弾き、そして何よりもロイ・オービソンのように歌おうと努力したんだ」。人々の胸のうちにある傷ついた感情をこんなにもドラマチックに儚い声で歌い上げたアーティストは、当時ロイ以外に誰もいなかった。


81FuxcUpEkL._SL1202_ ドクター・ジョン『Gumbo』(1972)
音楽探求の壮大な旅の中で、必ず出逢うことになる1枚がこれ。1972年に突然蘇ったニューオーリンズR&B。タイトルのガンボはあらゆる食材が入ったシチューの意味もあり、ここでは様々な音楽のごった煮の官能が体験できる。オープニングの「Iko Iko」からアメリカ南部の風景が聴く者の心に映写されること必至。70年代のベストアルバムには必ず登場する名作だ。

00602537732760-cover-zoom レイナード・スキナード『Lynyrd Skynyrd(Pronounced ‘Lĕh-‘nérd ‘Skin-‘nérd)』(1973)
1977年10月20日、飛行機事故で他界したロニー・ヴァン・ザント(享年29)らによるサザン・ロックの顔役的バンドの記念すべきデビュー作。「Freebird」「Tuesday’s Gone」「Simple Man」など、ロック史に残る名曲を多数収録した奇跡の名盤でもある。南部の男たちにとってどれほど偉大な存在だったかは、キャメロン・クロウ監督の映画『エリザベスタウン』で描かれている。

61zyxCIJhyL リトル・フィート『Dixie Chicken』(1973)
LA出身の彼らがニューオーリンズR&Bの熱い風を吹かせたのが本作であり、ローウェル・ジョージ(1979年死去、享年34)のスライドギターが音楽の旅人たちの心をとらえた1枚。イーグルスやドゥービーズが持つことのできなかったユーモアや色気が楽しめる。聴けば聴くほど、味が出る。違いが分かる。印象的なジャケットワークはネオン・パークによるもの。なお、スライドギターに興味がある方には『CROSSBEAT Presents スライド・ギター』(五十嵐正監修)というガイド本がオススメ。

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