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恐るべき英国音楽の色気と狂気〜ニューオーダー/レディオヘッドほか

2016.01.20

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「TAP the COLOR」連載第117回

先日亡くなったデヴィッド・ボウイは極めて英国気質なアーティストだったが、その美学の一つとして(彼の場合は特に1970年代)、常に変化し続けるというものがあった。英国音楽には儚い魅力や色気、時に狂気が漂う。

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R-2563789-1290638503.jpeg エルトン・ジョン『Greatest Hits』(1974)
70年代最大のポップスターの一人、エルトンの第1期ベスト集。世界のベストセラーアルバムリスト入りが当然なほど完璧な選曲。ピアノマンによる心に染みる曲から、グリッター・ファッションに身を包んでキラキラとR&Rする曲までバラエティに富む。しかし、これらはエルトンの表向き。隠れた名曲はオリジナルアルバムに多数収録されているので、そちらもぜひ耳を傾けてほしい。


THE-WALL-edit ピンク・フロイド『The Wall』(1979)
ピンク・フロイドというより、フロントマンのロジャー・ウォーターズの悲しみと葛藤と狂気から生まれた、ロック史上最も恐るべき大作。極めて映像的/視覚的な音源はツアー時のステージセットでも発揮されたが、もちろん映画化もされてボブ・ゲルドフ主演によってその世界観を体験できるようになっている。ロックに裏の歴史があるとすれば、そこにあまりにも大きな足跡を残し続けてきたのがピンク・フロイドだ。


R-23662-1348258701-5880.jpeg ニューオーダー『Substance』(1987)
ジョイ・ディヴィジョン時代と亡くなったイアン・カーティスの影を振り切ったようで逃れられない、そんな危うい魅力を醸し出すニューオーダーの音楽。大ヒットした1987年のこの編集盤でその美しさが長時間堪能できる。享楽的なダンス音楽に差し込む一筋の暗さ。こんなスタンスは彼ら以外に望めない。


Radiohead_ok_computer_promo_items_1997 レディオヘッド『OK Computer』(1997)
ロックというものを誰かが何とかしようとしていた、そんなアーティストがまだまだたくさんいた90年代。本作はその頂点に立つ。1991年から始まったオルタナティヴ/グランジによるロック大復活劇は、6年後のレディオヘッドでクライマックスを迎える。浮遊したり激情したりするトム・ヨークの声とジョン・グリーンウッドのギター。ボウイの色気もフロイドの狂気も、ここには英国音楽すべての感性が詰まっている。そしてロックは壊された。


【執筆者の紹介】
■中野充浩のプロフィール
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