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ロックの殿堂入り1996〜ヴェルヴェット・アンダーグラウンド /ピンク・フロイドほか

2016.10.19

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「TAP the COLOR」連載第156回

1986年から始まった「ロックの殿堂」(Rock and Roll Hall of Fame) は、デビュー25年以上のミュージシャンやバンドを対象としているが、1996年のセレモニーではジェファーソン・エアプレイン、デヴィッド・ボウイ、ピンク・フロイド、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド、グラディス・ナイト&ザ・ピップス、リトル・ウィリー・ジョン、シュレルズらが殿堂入りした。

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r-1352236-1217230517-jpeg ヴェルヴェット・アンダーグラウンド『The Best of Lou Reed & The Velvet Underground』(1995)
ニューヨーク地下シーンの元祖、アンディ・ウォーホルの秘蔵っ子、アートとパフォーマンスのステージ、都市のダークサイドに息づく退廃的な歌詞世界、R&RとR&Bとフォークと現代音楽などが融合された衝撃音……彼らが活動した1960年代後半は誰も彼らを理解できなかったが、それから30年、40年、50年と経った今、恐ろしいくらいのリアリティが体験できる。密かに地球に接近する謎の惑星のような存在だ。本作は彼らとルー・リードの歴史を綴った編集盤。

floyd_1370863399 ピンク・フロイド『The Final Cut』(1983)
1979年の『ザ・ウォール』でピンク・フロイドはバンドしてやるべきことを終えてしまった。それくらい67年のデビューから70年代にかけての彼らはロック史に大きな足跡を残した。本作はサブタイトルの”A Requiem for the Post War Dream by Roger Waters”(ロジャー・ウォーターズによる戦後の夢のレクイエム)にあるように、ロジャーの私的なアルバムとしてリリースされた。バンドに亀裂が生じてロジャーは脱退したことから問題作と揶揄されることも多いが、世界観は唯一無比の傑作だ。もう一つのピンク・フロイドして歩み始めたロジャーの原点がここにある。


81t0zw-7wl-_sl1500_ デヴィッド・ボウイ『Tonight』(1984)
1960年代半ばにデビューしたロンドンのモッズ少年は、やがてシンガー・ソングライター、グラムロックのスター、モダン・ソウル、ベルリンの電子音楽といった流れで70年代を劇的な“チェンジ”で駆け抜け、常に最先端のポップカルチャーやヒップでアートな音楽文化を先導。そんなカルトスターとして君臨した男が大衆化した80年代。前作『レッツ・ダンス』で得た商業的成功は、時代に追いつかれるという代償を払うことになり、1年後の本作では遂に時代に追い抜かれてしまった。そんな評価の低いアルバム。しかし、今となってはどうでもいいこと。当時の空気を吸い込んだ好盤と呼ばれるべきだ。


81tzlgyocnl-_sl1417_ ジェファーソン・エアプレイン『After Bathing at Baxter’s』(1967)
サンフランシスコのヒッピー・カルチャーを代表するバンドのフライト3作目。ヒット2曲を生んだ前作『シュールリアリスティック・ピロー』の次ということもあって存在は目立たないが、1967年の空気を吸い込んだ名盤であることには間違いなし。ジャケットはiPhoneケースにまでなっているので、見かけたことがある人も少なくないはず。


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