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9月のナンバーワンアルバム④〜ローリング・ストーンズ/クリスティーナ・アギレラほか

2017.09.27

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「TAP the COLOR」連載第211回〜RED〜

1990年代以降、ビルボードのアルバムチャートは売り上げに基づいた集計方法に変わった。さらにゼロ年代に入るとネット配信が普及してCDやアルバムが売れなくなった。その影響もあって現在のチャートはほぼ毎週のようにナンバーワンが入れ替わり、すぐにトップ10圏外へランクダウンしてしまう(その代わりに年に数枚だけビッグヒットが生まれる)。だが70〜80年代はナンバーワンになること自体が困難で、言い換えればそれらは「時代のサウンドトラック」として確かに機能していた。9月にはどんなアルバムがナンバーワンになったのだろう?


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ローリング・ストーンズ『Tattoo You』(1981)
今のところ、ストーンズ最後のナンバーワン・アルバムとして知られる(9週連続1位)。当時、最新作と思いきや、実は過去の作品からのアウトテイクを元に制作された。本作を伴った北米ツアーは『レッツ・スペンド・ザ・ナイト・トゥゲザー』として映画化もされ、話題となった。しかし、ストーンズの巨大な成功は「反体制から体制へ」の転換、そしてバンド最大の解散危機に見舞われることに。強烈なジャケットデザインばかりが目を引くが、ラストの「Waiting on a Friend」はやはり名曲だろう。モダンジャズ界の伝説ソニー・ロリンズが参加。


レイ・チャールズ『Modern Sounds in Country and Western Music』(1962)
レイがR&Bアーティストして最も輝いていたのは50年代。商業的に最も成功したのは60年代。音楽的な影響や存在意義は先の時代ほどではないが、自伝映画『Ray/レイ』では60年代の栄光と苦悩が描かれていて興味深い。本作は14週間ナンバーワンを記録したレイ最大のヒット作の一つ。タイトル通り、賛否両論が起こったカントリー路線だ。
(こちらもお読みください)
Ray/レイ〜失明しても母親の言葉を心に刻んで忘れなかったレイ・チャールズ


クリスティーナ・アギレラ『Christina Aguilera』(1999)
87〜88年のティファニーとデビー・ギブソン、ニュー・キッズ・オン・ザ・ブロック以来のティーン・ポップ黄金期を迎えた世紀末。それはブリトニー・スピアーズとクリスティーナ・アギレラ、バックストリート・ボーイズらの登場で始まった。「Genie in a Bottle」「What a Girl Wants」「Come On Over Baby (All I Want Is You)」の3曲ものナンバーワン・ヒットを生んだクリスティーナのデビュー作(1週のみ1位)。その後、彼女はヒップな歌姫としてストーンズの「ギミー・シェルター」も歌うほどに。ロック・フィールドでも認められた。


ジェファーソン・スターシップ『Red Octopus』(1975)
60年代からのフライトを終えたジェファーソン・エアプレインは、74年よりスターシップとして宇宙へと旅立つ。本作からはマーティ・バリンが完全復帰。バンド最大の成功を収める(4週間1位)。「Miracles」のヒットも収録。この頃からグレース・スリックが一旦脱退する78年くらいまでが彼らの真の黄金期だった。その後、バンドは徐々に低空飛行状態となり、80年代半ばにはMTV時代の少年少女たちに順応したスターシップへと転換を図る(今聴くと悪くない)。


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