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10月のナンバーワンアルバム①〜ビーチ・ボーイズ/モトリー・クルーほか

2017.10.04

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「TAP the COLOR」連載第212回〜GREEN〜

1990年代以降、ビルボードのアルバムチャートは売り上げに基づいた集計方法に変わった。さらにゼロ年代に入るとネット配信が普及してCDやアルバムが売れなくなった。その影響もあって現在のチャートはほぼ毎週のようにナンバーワンが入れ替わり、すぐにトップ10圏外へランクダウンしてしまう(その代わりに年に数枚だけビッグヒットが生まれる)。だが70〜80年代はナンバーワンになること自体が困難で、言い換えればそれらは「時代のサウンドトラック」として確かに機能していた。10月にはどんなアルバムがナンバーワンになったのだろう?


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ビーチ・ボーイズ『Endless Summer』(1974)
60年代後半以降、そのバンド名も災いして激動の時代に見合わずに人気が低迷していた彼らだったが、ベスト盤の本作は再評価につながり、全米1位を獲得(1週のみ)。選曲はバンドの要、ブライアン・ウィルソンが“芸術的メランコリー”に走る前の1962〜65年を中心とした“夏のサウンドトラック”。サーフィン、車、女の子、海、ビーチ、太陽の陽射し、青い空といった風景が流れる。わずか4年で誰もが知っているヒット曲の量には驚く。まさに『終わりなき夏』だった。
(こちちのコラムもお読みください)
ラブ&マーシー 終わらないメロディー〜ビーチ・ボーイズとブライアン・ウィルソンの物語


オリビア・ニュートン=ジョン『If You Love Me, Let Me Know』(1974)
可憐なルックスと透明感のある歌声で、70年代から80年代前半にかけて絶大な人気を誇った歌姫オリビア。本作は彼女初のナンバーワン・アルバム(1週のみ)で、「If You Love Me (Let Me Know)」(5位)と「I Honestly Love You」(1位)のビッグヒットを収録。初めてオリビアを聴く人にはベスト盤がオススメ。

サウンドトラック『Grease』(1978)
ショービジネス界の帝王として君臨していたロバート・スティグウッド。赤い牛のロゴで有名なレコード会社RSOを設立した彼が『サタデー・ナイト・フィーバー』の次に用意したのがブロードウェイのロングラン・ミュージカル『グリース』の映画化。人気絶頂にあったジョン・トラボルタとオリビア・ニュートン=ジョンの共演は大きな話題に。二人が歌ったサントラ盤も大ヒットした。12週間1位。
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グリース〜映画もサントラ盤も大ヒットしたトラボルタとオリビアの共演作


モトリー・クルー『Dr.Feelgood』(1989)
日本では「LAメタル」と呼ばれたシーンの顔役的存在が彼ら。1981年 のデビュー盤『Too Fast For Love』こそ77位だったが、83年の『Shout At The Devil』(17位)でブレイク。85年 の『Theatre Of Pain』(6位)、87年の 『Girls, Girls, Girls』(2位)と人気を上げて、本作で遂にトップに立った(2週連続1位)。ヒットしたバラード「Without You」を収録。ドラッグやパーティ三昧だった彼らは、グランジ勢から時代遅れの烙印を押され、90年代には人気をなくしていく。


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