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5月のナンバーワンアルバム④〜ローリング・ストーンズ/ドゥービー・ブラザーズほか

2018.05.16

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「TAP the COLOR」連載第259回〜MONOCHROME〜

1990年代以降、ビルボードのアルバムチャートは売り上げに基づいた集計方法に変わった。さらにゼロ年代に入るとネット配信が普及してCDやアルバムが売れなくなった。その影響もあって現在のチャートはほぼ毎週のようにナンバーワンが入れ替わり、すぐにトップ10圏外へランクダウンしてしまう(その代わりに年に数枚だけビッグヒットが生まれる)。だが70〜80年代はナンバーワンになること自体が困難で、言い換えればそれらは「時代のサウンドトラック」として確かに機能していた。5月にはどんなアルバムがナンバーワンになったのだろう?


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ローリング・ストーンズ『Sticky Fingers』(1971)
1971年4月、高額の税金と金銭トラブルが原因でイギリスからフランスへ逃亡したストーンズ。母国を後にすることはバンド生命にとっても賭けだったが、もはや世界の中心だった彼らはギャンブルで大勝ち。名門アトランティック・レコードと販売契約を結び(キース曰く「音楽のエリート集団に加わったような気分だった」)、ベロマークで有名なストーンズ・レーベルを設立して放ったのが本作(4週1位)。「Brown Sugar」「Sway」「Wild Horses」「Can’t You Hear Me Knocking」「You Gotta Move」「Bitch」「I Got the Blues」「Sister Morphine」「Dead Flowers」「Moonlight Mile」全10曲すべてが伝説。1968〜1972年は、ストーンズ真の黄金期だった。アートワークはもちろんアンディ・ウォーホル


サイモン&ガーファンクル『Bookends』(1968)
1970年に発表した不朽の『明日に架ける橋』や映画『卒業』という名画とサントラ盤があるがゆえに忘れられがちな本作(7週1位)だが、「ミセス・ロビンソン」「冬の散歩道」などを収録したこちらも名作。特に「アメリカ」が印象深く、余談になるがキャメロン・クロウの自伝的映画『あの頃ペニー・レインと』では、このアルバムのジャケットが取り上げられていた。「見てよ、この二人は絶対に麻薬中毒者だわ」

ドゥービー・ブラザーズ『Minute by Minute』(1978)
西海岸を代表する豪快なアメリカンロックバンドが、東海岸出身のマイケル・マクドナルド(ジャケ写/中央)らの加入を経てドゥービーズ流の都会的でメロウなサウンドを完成させた傑作(5週1位)。その時期によってファン層が異なることでも知られるが、本作はマクドナルドの音楽性が開花したことで新たなリスナーを広く獲得した。ナンバーワン・ヒットになった「What a Fool Believes」(マクドナルドとケニー・ロギンスの共作)は、今やロックのスタンダードナンバーだ。いわゆる“AOR”の名盤としても必ず語られる1枚。

アース・ウインド・アンド・ファイアー『That’s the Way of the World』(1975)
1970年代のブラックミュージック・シーンにおいて、最も影響力を持ったヴォーカル&インスト・グループがEW&F。日本ではどうしても「ディスコのダンスフロアで欠かせないファンクバンド」のイメージが強い彼らだが、そのスピリットは「ニュー・ソウル」であったという事実。そういう意味で大ヒットしたナンバーワン・ソング「Shining Star」を収録した本作(3週1位)をEW&Fの頂点とするファンも少なくはない。なお、もともとはハーヴェイ・カイテル主演・アースの面々も登場した同名映画『ザッツ・ザ・ウェイ・オブ・ザ・ワールド』のサントラ盤である。

【執筆者の紹介】
■中野充浩のプロフィール
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