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6月のナンバーワンアルバム①〜ローリング・ストーンズ/エミネムほか

2018.06.06

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「TAP the COLOR」連載第262回〜MONOCHROME〜

1990年代以降、ビルボードのアルバムチャートは売り上げに基づいた集計方法に変わった。さらにゼロ年代に入るとネット配信が普及してCDやアルバムが売れなくなった。その影響もあって現在のチャートはほぼ毎週のようにナンバーワンが入れ替わり、すぐにトップ10圏外へランクダウンしてしまう(その代わりに年に数枚だけビッグヒットが生まれる)。だが70〜80年代はナンバーワンになること自体が困難で、言い換えればそれらは「時代のサウンドトラック」として確かに機能していた。6月にはどんなアルバムがナンバーワンになったのだろう?


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ローリング・ストーンズ『Exile on Main St.』(1972)
1971年、税金対策で英国を脱出したストーンズは、リヴィエラ海岸が一望できるフランスのコート・ダジュールのキース・リチャーズの別荘“ネルコート宮殿”の地下室で録音を開始。その常識外れなキース流儀の本作(4週連続1位)は彼らの最高傑作であるばかりでなく、「ロック史上最強のアルバム」と称される。オープニングの「Rocks Off」からシングルヒットした「Tumbling Dice」、極上のカントリーナンバー「Sweet Virginia」やキースが歌う「Happy」、そして「All Down the Line」や「Shine a Light」まで、すべてが凄い。ジャケットは写真家ロバート・フランクが撮影。
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キース・リチャーズ〜“逃亡先”で生まれた最高傑作


ヴァン・ヘイレン『OU812』(1988)
エドワードと並ぶバンドの看板だったカリスマ・ヴォーカリスト、デイヴ・リー・ロスが脱退して絶大だった人気の下降が心配されたが、サミー・ヘイガーを迎え入れて再出発を図った『5150』(1986年)は大ヒット。そのクールで重いサウンドは新たなファンを獲得することに成功した。本作は新生ヴァン・ヘイレンの2枚目で、前作同様、ナンバーワンに到達(4週1位)。「When It’s Love」などを収録。

フーティ&ザ・ブロウフィッシュ『Cracked Rear View』(1994)
約1年掛かって遂に全米1位を獲得したアルバムであり、1600万枚以上を売り上げた驚異作(8週1位)。南部生まれの地味なルーツ・ロックがこれほどまでに支持された事実とアメリカに描かれた無数のスモールタウン・マップが結びつく。「Hold My Hand」「Let Her Cry」「Only Wanna Be with You」など4曲のヒットを生んだ。Voのダリアス・ラッカーがソロに転身してカントリーで成功したのも頷ける。

エミネム『The Marshall Mathers LP』(2000)
2000年代以降の最大のスーパースター/カリスマであるエミネム最初のナンバーワン・アルバム(8週1位)。ドクター・ドレーに見出されてメジャーデビューとなった前作『The Slim Shady LP』では、架空のキャラ設定で過激なライムを展開。本作では再びドレーと組んで本名のマーシャル・マザーズをタイトルに、自らの家族から社会までを告白、口撃。全米だけで1000万枚以上を売り上げた。デトロイト出身の白人ラッパーはいかにしてここまで鍛えられたのか。自伝的映画『8マイル』を観れば、彼が置かれたそのどうにもならない状況や環境が伝わってくるが、怒りや不満以上に漂うこの哀しみは一体何なのだろう? 「The Real Slim Shady」やダイドをfeatした「Stan」を収録。
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【執筆者の紹介】
■中野充浩のプロフィール
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