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7月のナンバーワンアルバム②〜ジョージ・ベンソン/デフ・レパードほか

2018.07.11

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「TAP the COLOR」連載第271回〜BLUE〜

1990年代以降、ビルボードのアルバムチャートは売り上げに基づいた集計方法に変わった。さらにゼロ年代に入るとネット配信が普及してCDやアルバムが売れなくなった。その影響もあって現在のチャートはほぼ毎週のようにナンバーワンが入れ替わり、すぐにトップ10圏外へランクダウンしてしまう(その代わりに年に数枚だけビッグヒットが生まれる)。だが70〜80年代はナンバーワンになること自体が困難で、言い換えればそれらは「時代のサウンドトラック」として確かに機能していた。7月にはどんなアルバムがナンバーワンになったのだろう?


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サウンドトラック『Woodstock』(1970)
1969年8月15〜17日の3日間(正確には18日の午前まで)。ニューヨーク郊外のサリバン郡ベセルで大規模な野外コンサート「ウッドストック・ミュージック・アンド・アート・フェスティバル」が開催された。フォーク系からロック系まで30組以上が出演。前売券の約19万枚を遥かに上回る40万人が来場した。フェス自体は大赤字になるものの、レコード化や映画化でプラス収支に。映画は翌年に公開され、今もあの激動の60年代の象徴であり続ける。本作はそんな「愛と平和と音楽の祭典」を記録したサウンドトラック盤(4週1位)。伝説となったジミ・ヘンドリックスの「アメリカ合衆国国歌」も収録。ジャケット写真が当時の様子すべてを物語っている。


エルトン・ジョン『Caribou』(1974)
エルトン全盛期の1枚。8作目のオリジナルアルバム(4週1位)。短期間で作られたというだけあって勢いを感じる秀作。相棒バーニー・トーピンとのソングライティングも名人芸の域に達している。シングルヒットした「Don’t Let the Sun Go Down on Me」や「The Bitch Is Back」を収録。ビーチ・ボーイズのメンバー、ダスティ・スプリングフィールド、タワー・オブ・パワーの面々が参加した。なお、エルトンが70年代に放ったナンバーワン・アルバムの数は7枚だ。

ジョージ・ベンソン『Breezin’』(1976)
ジャズ・ギタリストとしての地位を不動のものとしていたジョージ・ベンソンが、トミー・リピューマをプロデューサーに迎えて録音したソフト&メロウの傑作(2週1位)。いわゆるAOR初期を飾る名盤として、ニック・デカロやマイケル・フランクス、ボズ・スキャッグスらと並んでリストに紹介されることも多い。聞きどころはレオン・ラッセル作の「This Masquerade」のヴォーカル。ボビー・ウーマック作のタイトル曲など、インストも心地良さ抜群。

デフ・レパード『Hysteria』(1987)
イギリスのNWOBHM (New Wave Of British Heavy Metal)ムーヴメントを担うバンドとして、1980年にデビューしたデフ・レパード。1983年の『Pyromania』で大ブレイク。順風満帆に思えた矢先、ドラマーのリック・アレンが交通事故によって左腕を切断する事態に。メンバーチェンジをせずにそのまま解散することも考えられたが、カスタマイズされたドラムセットの開発などによってバンドは本作で劇的復活(6週1位)。「Love Bites」「Pour Some Sugar on Me」「Armageddon It」など7曲ものシングルヒットを量産。2018年10月、本作の全曲再現ライブが来日公演で実現する。

【執筆者の紹介】
■中野充浩のプロフィール
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