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8月のナンバーワンアルバム④〜エルトン・ジョン/ザ・ナックほか

2018.08.01

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「TAP the COLOR」連載第276回〜MONOCHROME〜

1990年代以降、ビルボードのアルバムチャートは売り上げに基づいた集計方法に変わった。さらにゼロ年代に入るとネット配信が普及してCDやアルバムが売れなくなった。その影響もあって現在のチャートはほぼ毎週のようにナンバーワンが入れ替わり、すぐにトップ10圏外へランクダウンしてしまう(その代わりに年に数枚だけビッグヒットが生まれる)。だが70〜80年代はナンバーワンになること自体が困難で、言い換えればそれらは「時代のサウンドトラック」として確かに機能していた。8月にはどんなアルバムがナンバーワンになったのだろう?


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エルトン・ジョン『Honky Château』(1972)
エルトン初のナンバーワン・アルバム(5週)。「Rocket Man」や「Honky Cat」がヒットしたが、聴きものはやはり「Mona Lisas and Mad Hatters」だろう。個人的な意見になるが、本作と前作『Madman Across the Water』、前々作『Tumbleweed Connection』あたりが一番好きだ。初めての人はシングルヒットでエルトンを知るのではなく、こういったアルバムに収録されている隠れた名曲に耳を傾けてほしい。映画『あの頃ペニー・レインと』ではエルトンの曲が心にしみた。


ザ・ナック『Get the Knack』(1979)
70年代の終わりにシングル「My Sharona」の大ヒットと本作(5週1位)で、一躍その名が知れ渡ったザ・ナック。「ビートルズの再来」で売り出し、結局は一発屋と揶揄されたが、それだけの爆発力があったということ。映画『リアリティ・バイツ』でも印象的な使われ方をしていた。
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スティーヴ・ウィンウッド『Roll with It』(1988)
1986年の『Back in the High Life』の劇的な成功で、シーンの最前線に返り咲いたスティーヴ・ウィンウッド。本作(1週)はヴァージンに移籍してのリリース第1弾。前作のポップなアプローチとは一味違ったソウルフルなサウンドと歌声で原点回帰した。タイトル曲や「Don’t You Know What the Night Can Do?」がヒット。

アデル『21』(2011)
ジャズやソウルをベースにしたレトロ・サウンドで、2008年にデビューしたアデル。スモーキー&ピュアな歌唱で英国ではすぐに注目。そして失恋の歌だけで魅了するこのセカンド(24週1位)で世界的な歌姫へ。アルバムが売れなくなったと嘆かれる時代において記録的なセールスを樹立。耳を傾けながら流れていく時間は、実に強くてどこまでも優しい。歌の力、音楽の繋がりや物語を放つ作品は、やはり時代を超えた。

【執筆者の紹介】
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