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8月のナンバーワンアルバム⑦〜MCハマー/『マンマ・ミーア!』ほか

2018.08.22

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「TAP the COLOR」連載第279回〜BLUE〜

1990年代以降、ビルボードのアルバムチャートは売り上げに基づいた集計方法に変わった。さらにゼロ年代に入るとネット配信が普及してCDやアルバムが売れなくなった。その影響もあって現在のチャートはほぼ毎週のようにナンバーワンが入れ替わり、すぐにトップ10圏外へランクダウンしてしまう(その代わりに年に数枚だけビッグヒットが生まれる)。だが70〜80年代はナンバーワンになること自体が困難で、言い換えればそれらは「時代のサウンドトラック」として確かに機能していた。8月にはどんなアルバムがナンバーワンになったのだろう?


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ジョニー・キャッシュ『At San Quentin』(1969)
68年の『At Folsom Prison』に続く刑務所ライヴ(4週1位)。キャッシュの長いキャリアにおいて最大のセールスを記録した作品でもある。シェル・シルヴァスタイン作の「A Boy Named Sue」がヒット。なお、ジョニー・キャッシュについて深く知りたい人はこちらのコラムから旅を始めてください。
【ジョニー・キャッシュ特集序文】老いても、それでも歌い続けるということ


ムーディ・ブルース『Long Distance Voyager』(1981)
1964年にデビューした当初は数あるビートバンドの一つだったが、次第に音楽性を変化させ、70年代には英国を代表するプログレ・バンドとして英米で人気を不動のものに。80年代に入るとMTV時代に合わせたポップ性を増していった。本作は9年ぶりのナンバーワン作(3週1位)。「Gemini Dream」「The Voice」がスマッシュヒット。

MCハマー『Please Hammer, Don’t Hurt ‘Em』(1990)
アメリカのみならず、世界的にその名が知れ渡ったMCハマーの大ヒット作(21週1位)。日本でもダンスや髪型、ファッションなどを真似る「ハマ男」ブームを呼び、ナイトライフ&クラブカルチャー史に足跡を残す。また、バラエティ番組のパロディ化を通じて子供たちの間でも人気を確立。ギャングスタ・ラップ台頭の時期に、ハマーのポップ・ラップは余りにも脳天気に映ったが、セールスやヒット曲の連発など90年代前半を代表するアーティストであることは間違いない。リック・ジェームスをサンプリングした「U Can’t Touch This」や「Have You Seen Her」などを収録。

サウンドトラック『Mamma Mia!』(2008)
1999年に初演され、世界中でロングランとなったミュージカル舞台の映画化。ジュークボックス・ミュージカルのブームの火付け役でもある。こんなに観ていてハッピー気分になる作品も珍しい。ギリシャのホテルを経営する母と結婚を控えた娘。父親候補の3人の男たちが繰り広げる物語。アバのヒット曲だけで構成され、誰もが聴いたことのあるグレイテスト・ヒッツ的な世界が楽しめる。1週1位。2018年8月には続編『マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー』が公開。

【執筆者の紹介】
■中野充浩のプロフィール
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