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12月のナンバーワンアルバム⑦〜ジョン・レノン/ノートリアスB.I.G.ほか

2018.12.12

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「TAP the COLOR」連載第309回〜BLACK〜

1990年代以降、ビルボードのアルバムチャートは売り上げに基づいた集計方法に変わった。さらにゼロ年代に入るとネット配信が普及してCDやアルバムが売れなくなった。その影響もあって現在のチャートはほぼ毎週のようにナンバーワンが入れ替わり、すぐにトップ10圏外へランクダウンしてしまう(その代わりに年に数枚だけビッグヒットが生まれる)。だが70〜80年代はナンバーワンになること自体が困難で、言い換えればそれらは「時代のサウンドトラック」として確かに機能していた。12月にはどんなアルバムがナンバーワンになったのだろう?


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ジョン・レノン&ヨーコ・オノ『Double Fantasy』(1980)
1980年11月、主夫生活を終えたジョン・レノンが5年ぶりにアルバム『Double Fantasy』(8週連続1位)で音楽シーンの最前線に復活。しかし、12月8日に自宅マンション前でファンに撃たれて出血多量で息を引き取る。享年40。ロック界初の40代のロックスターとして精力的な活動が注目された矢先の悲劇は、世界中に衝撃が走った。これを機にミュージシャンたちの間では、40歳を過ぎてもロックをやっていこうとする強い決意が生まれたようにも思う。


ノートリアスB.I.G.『Born Again』(1999)
アイスTやNWAらを発端とするギャングスタ・ラップがメインストリーム化して、西海岸が主導権を握っていた90年代。対する東海岸のヒップホップを担っていたのが、このビギーことノートリアスB.I.G.(ビー・アイ・ジー)。1996年9月に西海岸のデス・ロウ所属の2パックが銃撃されて死亡。翌年3月9日にはバッド・ボーイ所属のビギーも同様に銃弾に倒れた。享年24。この対立事件はヒップホップ史上最悪の悲劇として知られている。本作は死後2年半経ってからリリースされたにも関わらず、ナンバーワンを獲得(1週)した。

ブッシュ『Razorblade Suitcase』(1996)
ニルヴァーナ以降のポスト・グランジを代表したブッシュ。実はイギリス出身のバンドで、同時期のオアシスやレディオヘッドよりもアメリカではアルバムを売ったという事実。フロントマンのギャヴィン・ロスデイルがアメリカ滞在中にニルヴァーナのステージを見て衝撃を受け、帰国後に結成。デビュー作は英国では42位に止まる一方、米国では4位まで上り詰め、600万枚以上のセールスを記録。そして96年の本作で遂にナンバーワンに到達(2週)した。

ケニー・G『Miracles: The Holiday Album』(1994)
その耳障りの良さから、「歯科医院のBGM」などと揶揄されたこともあるケニー・Gの音楽。1986年の『Duotones』と「Songbird」のヒットで注目を浴びると、『Silhouette』(1988)、『Breathless』(1992)ではヒットを更新。後者は全米だけで1200万枚という驚異のセールスを記録。本作はそれに続くケニーの7枚目(3週1位)。アルバムとして唯一のナンバーワン作。

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