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1月のナンバーワンアルバム⑦〜バーブラ・ストライサンド/ジム・クロウチほか

2019.01.09

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「TAP the COLOR」連載第315回〜MONOCHROME〜

1990年代以降、ビルボードのアルバムチャートは売り上げに基づいた集計方法に変わった。さらにゼロ年代に入るとネット配信が普及してCDやアルバムが売れなくなった。その影響もあって現在のチャートはほぼ毎週のようにナンバーワンが入れ替わり、すぐにトップ10圏外へランクダウンしてしまう(その代わりに年に数枚だけビッグヒットが生まれる)。だが70〜80年代はナンバーワンになること自体が困難で、言い換えればそれらは「時代のサウンドトラック」として確かに機能していた。1月にはどんなアルバムがナンバーワンになったのだろう?


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バーブラ・ストライサンド『Barbra Streisand’s Greatest Hits Volume 2』(1978)
この人を紹介するたびに「未だに来日公演が実現しない超大物エンターテイナー」というフレーズが避けられない(もはや日本のステージは夢で終わりそう)が、1962年のデビューから2010年代まで6つのディケイド全てでナンバーワン・アルバムを記録している点も特筆すべき。本作はタイトル通り2枚目のベスト盤(3週1位)。シングルヒットを量産していた時期の総括という意味で、バーブラ入門編としてオススメの1枚。主演映画『追憶』や『スター誕生』の主題歌も収録。


マライア・キャリー『Music Box』(1993)
マライア絶頂期の1枚(8週1位)。ここ数年のマライア(特にゴシップ絡み)しか知らない世代には信じられないかもしれないが、90年代前半の彼女は「最高の歌姫」だった。最先端の音に寄り添う半ば以降より、1990年のデビュー時からこの頃までの作品には“歌心”が息づいていたからだ。「Dreamlover」「Hero」「Without You」など今改めて聴くとそれが分かる。シンガーとしての復活が望まれる人。

フランク・シナトラ『Nice ‘n’ Easy』(1960)
ハリー・ジェイムスやトミー・ドーシー楽団の専属歌手時代、1942年のソロ歌手として独立したコロンビア時代、数々のジャズ・ヴォーカルの名盤を生んだ50年代のキャピトル時代、そしてエンターテイナーとして君臨した60年代のリプリーズ時代……シナトラには入口がたくさんあるが、個人的にはキャピトル時代が一番好きだ。本作(9週1位)もその一つ。

ジム・クロウチ『You Don’t Mess Around with Jim』(1972)
特定の世代にはたまらない名前かもしれない。1973年9月、飛行機の墜落により30歳の若さで事故死したジム・クロウチ。苦労の先に手にしたデビュー。そしてヒット。まさにこれからという矢先での悲劇だった。本作(5週1位)はソングライターとしての才能が光る「You Don’t Mess Around with Jim」「Operator (That’s Not the Way It Feels)」「Time in a Bottle」などを収録。アメリカでは根強い人気を誇る。今の時代には失われてしまった“醸成された歌”が詰まった1枚だ。

【執筆者の紹介】
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