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5月のナンバーワンアルバム⑦〜ピンク・フロイド/ヴァン・ヘイレンほか

2019.05.08

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「TAP the COLOR」連載第351回〜SILVER〜

1990年代以降、ビルボードのアルバムチャートは売り上げに基づいた集計方法に変わった。さらにゼロ年代に入るとネット配信が普及してCDやアルバムが売れなくなった。その影響もあって現在のチャートはほぼ毎週のようにナンバーワンが入れ替わり、すぐにトップ10圏外へランクダウンしてしまう(その代わりに年に数枚だけビッグヒットが生まれる)。だが70〜80年代はナンバーワンになること自体が困難で、言い換えればそれらは「時代のサウンドトラック」として確かに機能していた。5月にはどんなアルバムがナンバーワンになったのだろう?


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ヴァン・ヘイレン『5150』(1986)
エドワードと並ぶバンドの看板だったカリスマ・ヴォーカリスト、デイヴ・リー・ロスが脱退。絶大だった人気の下降が心配されたが、すでに知名度と実績のあったサミー・ヘイガーを迎え入れてバンドの再出発を図った第1作。それまでのどか明るかったヴァン・ヘイレン・ワールドとは表情を変えたクールなサウンドを展開し、新たなファンを獲得することに成功。意外にも初の全米1位(3週)に輝く。「Why Can’t This Be Love」など3曲がシングルヒットした。


ピンク・フロイド『The Division Bell』(1994)
1987年の『A Momentary Lapse Of Reason』以来、7年ぶりの新作としてリリースされたのが本作(4週1位)。時代はオルタナティヴ・ロックやギャングスタ・ラップ、あるいはブリット・ポップ到来期。そんな時にフロイドの壮大な世界観(しかもロジャー・ウォーターズ抜き)は果たして通用するのか? しかし、このアルバムに伴う大規模なワールドツアーは600万人以上を動員。ライヴアルバム『P·U·L·S·E』もチャートのトップに立ち、彼らの規格外ぶりに圧倒された。ジャケットデザインはもちろんストーム・トーガソンだ。


アラバマ・シェイクス『Sound & Color』(2015)
ロックの動向が1991年以降分からなくなった人。もしくは興味をなくした人。90年代にグランジやメロコアやブリットポップでロックに目覚めた人。ゼロ年代にひたすらヒップホップやクラブミュージックに夢中になった人。アラバマ・シェイクスはすべての人にアプローチできるバンドだ。ブリタニー・ハワードの歌とギターを聴いていると、ジャンル分けや時代性とか、正直そんな理屈はどうでもよくなる。本作はセカンド(1週1位)。ゆったりとした気分で南部の風に包まれよう。


デスティニーズ・チャイルド『Survivor』(2001)
90年代後半からゼロ年代半ばにかけて圧倒的な人気を誇ったガールズ・グループがデスティニーズ・チャイルド。ビヨンセ在籍という看板もあるが、今改めて聴き直してみると、彼女たちが時代の先端を走った理由が分かる。本作はそんなデスチャの人気/音楽面ともに頂点に達したサード・アルバム(2週1位)。スティーヴィー・ニックスの「Edge of Seventeen」をサンプリングしたNo.1ヒットの「Bootylicious」を収録。


【執筆者の紹介】
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