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7月のナンバーワンアルバム⑥〜マーティン・デニー/ジャネット・ジャクソンほか

2019.07.10

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「TAP the COLOR」連載第367回〜BROWN〜

1990年代以降、ビルボードのアルバムチャートは売り上げに基づいた集計方法に変わった。さらにゼロ年代に入るとネット配信が普及してCDやアルバムが売れなくなった。その影響もあって現在のチャートはほぼ毎週のようにナンバーワンが入れ替わり、すぐにトップ10圏外へランクダウンしてしまう(その代わりに年に数枚だけビッグヒットが生まれる)。だが70〜80年代はナンバーワンになること自体が困難で、言い換えればそれらは「時代のサウンドトラック」として確かに機能していた。7月にはどんなアルバムがナンバーワンになったのだろう?


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ジャネット・ジャクソン『janet.』(1993)
ジャム&ルイスをプロデュースに迎えた1986年の『Control』から本当のキャリアが始まったジャネット。本作(6週1位)は彼女の作品中、最も売れたアルバムとなった(世界で1400万枚上)。なお、ジャネットには現在まで10曲のナンバーワン・ヒットがあるが、ここでは最大のヒット「That’s the Way Love Goes」や「Again」を収録。この頃までのジャネットは何をやっても新しかった。


ナット・キング・コール『Love Is the Thing』(1957)
多くの人がナット・キング・コールに抱くイメージは、本作(8週1位)のようなラブバラードの歌い手だ。「恋に落ちた時」「スターダスト」など、ロマンチック・ヴォーカルの極みが体験できる。そしてこれを気に入ったら、40年代のピアノ・トリオ時代の録音集、本作と同時期でありながらジャズ・コンボをバックに原点回帰した『アフター・ミッドナイト』などを聴いてほしい。

マーティン・デニー『Exotica』(1957)
美女が映り込んだアルバムジャケットをコレクションするだけでも楽しいイージー・リスニングの世界。ポール・モーリア、マントヴァーニ、パーシー・フェイス、ヘンリー・マンシーニ……ジェット・ストリームでも毎晩流れていた旅と風景の世界。マーティン・デニーは本作(5週1位)でエキゾチック・サウンドを確立。聴く者を南の楽園へと誘う。1990年前後には日本のクラブシーンでもリヴァイヴァル。

ブラッド・スウェット・アンド・ティアーズ『Blood, Sweat & Tears』(1968)
印象的なバンド名はジョニー・キャッシュの作品から名付けたBS&T。バンドの支柱のはずだったアル・クーパーがデビュー作のみで脱退したものの、ブラス・ロックに傾倒したセカンドの本作(7週1位)が大ヒット。グラミー賞のアルバム・オブ・ジ・イヤーまで獲得してしまった。「You’ve Made Me So Very Happy」「Spinning Wheel」「And When I Die」など3曲がヒット(すべて2位)。

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