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リンク・レイを偲んで〜“永遠の不良少年”と呼ばれた孤高のギタリストの足跡と功績

2019.11.05

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2005年11月5日、“永遠の不良少年”と呼ばれた孤高のギタリスト、リンク・レイ(享年76)がデンマークのコペンハーゲンにある自宅で死去した。
死因は心不全とされている。


1950年代にカントリーバンドのギタリストとして活動を開始した彼。
程なくしてロックンロールの洗礼を受け、エレキギターのボリュームを爆音で演奏するようになる。
エルヴィス・プレスリーが新しい時代のヒーローとして人気を博していた頃に、彼は常に “自分のスタイル”を突き詰めようとしていた。
その結果、アンプのスピーカーに傷をつけてギターの音色を歪ませるという、なんとも不良っぽい発想で独自のサウンドを作り出したのだ。
1958年に彼が発表したシングル曲「Rumble」は、ある意味ロックギターの歴史を塗り替えたと言っても過言ではない。
もともとドゥーワップソングから発展したというその楽曲。
テンポはゆったりしていて、単純なスリーコードを交互に弾くだけのインスト曲なのだが、そのギターの音色がそれまでにはない“不良の響き”だった。
曲名の意味は「乱闘」、そしてリーゼントに革ジャンという不良ならではのファッション。そんな“危険な存在”を嫌って、当時一部のラジオでは放送が自粛されたという。


彼はこの「Rumble」のヒット以降、ルート音とその5度上の音を指2本で押さえて鳴らす“パワーコード”を積極的に取り入れるようになる。
爆音、歪んだ音色、パワーコード、彼は現在のパンクやへヴィロックにおいても欠かせないギター奏法を発明したのだ。
ピート・タウンゼントを筆頭に、ジミ・ヘンドリックス、ジェフ・ベック、ジミー・ペイジ、リッチー・ブラックモア、そしてマーク・ボランなど、彼からの影響を公言しているギタリストはジャンルの壁を超えて多数いる。


1929年5月2日、彼はノースカロライナ州にあるダンという小さな町で生まれた。
貧しい家庭の生まれで、母親がチェロキー系ネイティブアメリカンだったため、人種差別の苦労を味わって育ったという。
8歳の時にカーニバルの芸人(黒人ギタリスト)から聴かせてもらったスライドギターが音楽との出会いだった。
朝鮮戦争(1950年-1953年)に徴兵され従軍したが、結核にかかり除隊。
肺を患ったことで歌をあきらめ、ギターテクニックを磨くことに集中し始める。
除隊後、2人の兄弟を含む友人らと共にLucky Wray & The Palomino Ranch Gangを結成してバンド活動をスタートさせる。


当時、地元では人気だったTV番組『Milt Grant’s House Party』にゲスト出演するファッツ・ドミノやリッキー・ネルソンなど多くのアーティストのバックバンドとして演奏していた。
彼は同番組を通じてレコードデビューのチャンスを掴み、29歳にして「Rumble」を発表する。
今までになかったそのインパクトのあるサウンドとタイトルから「少年犯罪を助長する」という理由で一部では放送禁止となる。
しかし、同曲はアメリカのみならずイギリスでも大ヒットを記録し、当時まだ10代だったキンクスやザ・フーのメンバー、そしてジミー・ペイジなどに多大な影響を与える。
後にピート・タウンゼントこんな言葉で彼の功績を讃えている。

「リンク・レイこそが俺にとってのキングだったんだ。初めて“Rumble”を聴いた時にはぶっ飛んだよ。あれを聴かなかったらギターなんて弾き始めなかったと思う。」


1950年代後半から1960年代前半にかけて「Ace of Spades」「Rawhide」「Jack the Ripper」など、数曲のヒットを放つが…その後一旦リタイア状態となる。
1970年代後半からヨーロッパを中心に再評価されるようになり、ロカビリーシンガーのロバート・ゴードンと共に2枚のアルバムをリリースして本格的に復帰を果たす。
1980年代には、そのカリスマ性のあるサウンドとルックスから、カルト的な存在として新世代のアーティスト達にもリスペクトされるようになり、元KISSのエース・フレーリーとバンドを組むなど常に現役感のあるプレイでファンを沸かせていた。
50代の時に出会ったデンマーク人の妻(4番目の妻でインディアン文化の研究者)と共にデンマークで暮らしながら1990年代、2000年代となっても新作を発表し、ヨーロッパ、オーストラリアなどへと地道にツアーを続けていた。
その孤高の美学に溢れたステージは、2005年に亡くなる4ヶ月前まで続けられていたという…

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