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アルバート・キングを偲んで〜ロック界にも影響を与えたブルースマンの偉大な足跡と功績

2019.12.21

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1992年12月21日、ブルースの“3大キング”の一人アルバート・キング(享年69)がメンフィスで心臓発作のため急逝した。
死の2日前にはロサンゼルス郊外での公演をこなし、自宅に戻ってきた矢先の出来事であった。
彼の葬儀に参列したB.B.キングは、その死を悼み…こんな弔辞を述べたという。

「私たちは“血縁”という意味では兄弟ではなかったが、ブルースにおいては間違いなく兄弟だった。」


1923年4月25日、彼はミシシッピ州インディアノラで13人兄弟の一人として生まれた。(本名アルバート・ネルソン)
父親が教会でギターを弾いていたこともあり、彼は幼い頃から音楽に親しんでいたという。
彼が最初に手にした楽器はギターではなく、当時アメリカ南部の黒人の子供がオモチャ代わりにしていた“ディッドレイ・ボウ”という一弦楽器だった。
彼がまだ幼い頃に両親が離婚し、母親と共にアーカンソー州フォレストシティに移住している。
彼はしだいにブルースに興味を持ち始め、ブラインド・レモン・ジェファーソンやロニー・ジョンソンといったブルース初期のスター達のレコードを熱心に聴くようになる。
貧しい家計を助けるために綿花プランテーションで働きながら、彼は(左利きのまま)独学でギターを習得していく。
18歳の時に友人からギルド製アコースティックギターを1ドル25セントで譲ってもらう。
手に入れたギターは右利き用のものだったが、彼は左利き用に弦を張り替えることなどせずに、そのままギターをひっくり返して弾き始めたのだ。
1950年、彼はメンフィスとセントルイスのオセオラという街で本格的に音楽キャリアをスタートさせる。
当時の主な仕事は『T-99』というナイトクラブのハウスバンド(イン・ザ・グルーヴ・ボーイズ)でギターを弾くことだった。
オセオラで数年活動した後、彼はインディアナ州ゲイリーに拠点を移し、ジミー・リードやジョン・ブリムらと活動するようになる。
両者ともギタリストであったため、彼はドラムを担当していたという。
彼がアルバート・キングという芸名を名乗るようになったのはこの頃で、当時「Three O’clock Blues」をヒットさせたB.B.キングの成功にあやかってのことだった。


この一曲のヒットによりブルース界のスターとなったB.B.キングのスタイルを参考に、彼はダイナミックなスクイーズ系チョーキングを導入して自分のスタイルを構築していく。
音楽家として徐々に評判を高めていった彼は、1953年(当時30歳)に満を持してブルースの都シカゴに乗り込むと、ウィリー・ディクスンの口利きによりパロットレーベルから初の自主名義レコーディングを行う。
その時録音された「Bad Luck Blues」「Be on Your Merry Way」は、デルタスタイルのブルースをエレクトリック化したもの(当時シカゴスタイルと呼ばれていた演奏)として、そこそこの売り上げを記録したが…手にした金はわずかだったという。


彼は失意を胸に翌年にはオセオラに戻り、再びイン・ザ・グルーヴ・ボーイズでの活動を再開する。
その後、オセオラでの2年間の活動した彼が向かったのはセントルイスだった。
彼のトレードマークとなるフライングVギター“ルーシー”をプレイするようになったのはこのセントルイス時代である。
1959年(当時36歳)、ボビンレーベルと契約した彼は、その後3年間で8枚のシングルをリリースする。
1961年に発表した「Don’t Throw Your Love on Me So Strong」がR&Bチャート14位という大ヒットを記録し、彼はようやく日の目を見ることとなる。



そして1966年、彼は大手スタックスレコードと契約し、いよいよ黄金期を迎えることとなる。
スタックスではブッカー・T&ザ・MG’sをバックを付け、ファンキーでソウルフルな新たな境地を切り開き、「Oh, Pretty Woman」、「Born Under A Bad Sign」などのヒットと共に、彼のブルースは白人層にも受け入れられていく。
1971年に発表したアルバム『Lovejoy』は、スタックス時代最大のヒットを記録。
同作ではローリング・ストーンズの「Honky Tonk Women」のカヴァーを収録し、彼はロックファンをも取り込みながら活躍の場を広げていくこととなる。
B.B.キング、フレディー・キングと並び、ブルースギタリストの“3大キング”と称された彼の豪快なギタープレイは、ブルース界のみならず、エリック・クラプトンやジミ・ヘンドリックスなどロックギタリストにも多大な影響を与えたと言われている。



<引用元・参考文献『ギター・マガジン 2019年 8月号』ギター・マガジン編集部(編集)/リットーミュージック>

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