TAP the DAY

2つの“顔”がひとつになって復活を果たしたドゥービー・ブラザーズ

2016.05.23

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1970年代を代表するアメリカのロックバンドの1つ、ドゥービー・ブラザーズ。

およそ10数年の活動の中で毎年のようにメンバーが入れ替わっていたドゥービーズだが、その時代は大きく2つに分けることができる。
ひとつは初期メンバーにしてギター・ボーカルのトム・ジョンストンを中心とする70年代前半、そしてもうひとつは、トム脱退後に加入したマイケル・マクドナルドを中心とする70年代後半だ。

バンドがデビューを果たしたのは1971年。
泥臭いサザン・ロックで徐々に人気を集めてワーナーとの契約を交わし、1stアルバム『ドゥービー・ブラザーズ』をリリースした彼らだが、残念ながらアルバムはヒットするに至らなかった。



打開策としてバンドはドラムを新たに追加、ツインドラム編成はその後のドゥービーズのサウンドを決定づける要素のひとつとなる。
力強くて歯切れのよいツインギターに強力なリズムセクションを加えた彼らは、翌1972年に2ndアルバム『トゥールーズ・ストリート』をリリース。リード・シングルの「リッスン・トゥ・ザ・ミュージック」は全米チャート11位まで登り、ドゥービーズは着実に人気を集めていった。



その後も「ロング・トレイン・ランニン」や「チャイナ・グローヴ」など次々とヒット曲を放ち、名実ともにアメリカを代表するロックバンドとなったドゥービーズだったが、1975年に突如としてターニング・ポイントは訪れる。
バンドの柱だったトムがツアー中に腹痛で倒れてしまったのだ。トムはそのままバンド活動からの離脱を余儀なくされるのだった。

トムと入れ替わるようにして新たに加わったのがマイケル・マクドナルドだ。
スティーリー・ダンのツアーにもサポートで参加していた腕利きのキーボーディストで、曲も書くことができた。
それまでバンドの楽曲の大半を手がけていたトムが抜けてしまったことから、その後はマイケルが作曲の中心となる。

マイケルの加入は作曲だけでなくサウンド面でもバンドに大きな変化をもたらした。
それまでの泥臭さは鳴りを潜め、スティーリー・ダンのような洗練されたR&B路線へとシフト・チェンジさせたのだ。
まったく別のバンドになったといえるほどのこの変化はファンを中心に大きな波紋を呼んだが、その後もドゥービーズの人気が衰えることはなかった。
マイケル加入後3作目となるスタジオ・アルバム『ミニット・バイ・ミニット』(1978年)は初となる全米チャート1位を獲得し、ドゥービーズは最大の成功を治めるのだった。



ドゥービー・ブラザーズが解散を表明したのは1982年のことだ。
それまでも流動的にメンバーが入れ替わっていたが、この年にはついに初期メンバー最後の1人だったパトリック・シモンズが脱退を決意、これを機にメンバーは今後について協議を重ねた結果、解散という結論に至る。
最後のコンサートにはトム・ジョンストンもかけつけ、ドゥービー・ブラザーズの活動は幕を閉じるのだった。



それから5年後の1987年。
ドゥービーズの元ドラム、キース・ヌードセンは生活に苦しむベトナム戦争退役軍人のためのチャリティー・イベントを計画していた。
そこで、同じドゥービーズの元ドラムでベトナム戦争帰還兵でもあるマイケル・ホサックにイベントに参加してもらえないかと相談すると、マイケルはそれを快諾する。
それならばということで他の元メンバーにも声をかけるとその多くが協力を申し出てくれ、最終的にはドゥービー・ブラザーズが12人という大所帯で復活することが決まった。
その中には初期の中心だったトム、後期のドゥービーズを支えたマイケルの名も入っていた。
ドゥービー・ブラザーズの復活は大きな話題となり、会場となるハリウッド・ボウルでそれまでビートルズが保持していたチケット完売の最速記録を塗り替える。
1987年5月23日、会場には復活を待ちわびていた大勢のファンが詰めかけ、コンサートは大成功となった。

これをきっかけにドゥービー・ブラザーズは本格的に再始動を始め、1989年には9年ぶりとなるスタジオ・アルバム『サイクルズ』で復活を遂げる(マイケルはこのときの再結成に加わらなかったものの、その後も時折バンドに参加している)。
リード・シングルの「ザ・ドクター」は初期のドゥービーズを彷彿とさせる力強いロックナンバーで、ビルボードのメインストリーム・ロック・チャートで1位を獲得した。



メンバー変遷の激しかったバンドが、いざこざも持ち込まずに再びひとつにまとまるというのは、決して簡単なことではない。
ドゥービー・ブラザーズがそれを成し遂げることができたのは、出入りが自由なゆるいまとまりと“兄弟”のような強い絆で結ばれていたからだろう。


The Doobie Brothers『Southbound』
Arista Nashville

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