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レッド・ベリーを偲んで〜フォークミュージックの源流“生けるジュークボックス”と呼ばれた男の数奇な人生と偉大な功績

2022.12.06

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1949年 12月 6日、アメリカのフォークミュージックの源流とも言える男レッドベリー(享年61)がニューヨーク市内でこの世を去った。
死因は筋萎縮症側索硬化症とされている。
彼の亡骸は、故郷ルイジアナ州ムアリングスポートのシロー・バプテスト教会墓地に埋葬された。
翌1950年、彼の弟子の一人だったピート・シーガー率いるウィーバースが「Goodnight Irene」をカヴァーして全米ナンバー1に輝く。
作者である彼はその吉報を生きて聞くことはなかった…



その後、アメリカではウディ・ガスリーなど彼から影響を受けたアーティストたちによるフォークブームが巻き起こり、さらに60年代にはボブ・ディランが活躍することで世界中にフォークリヴァイバルのブームが広がってゆく。


12弦ギター、ピアノ、マンドリン、ハーモニカ、ヴァイオリン、コンサーティーナ、そしてアコーディオンを巧みに奏でながら、数多くのトラディショナルソングやブルース、ゴスペル、そしてフォークソングを歌うそのスタイルは“生けるジュークボックス”とも呼ばれていた。
彼のギター演奏テクニックは、エリック・クラプトンやライ・クーダーといった後進達を大いに魅了したという。
彼が歌う曲には、男と女、酒、労働、友情、差別、船乗り、カウボーイ、刑務所など…あらゆる人物や風景、暮らしが描かれており、そのリアリティも魅力の一つだった。
また、彼はフランクリン・ルーズベルト大統領やアドルフ・ヒトラー、公民権運動に火をつけたスコッツボロ・ボーイズ事件、ウォーターゲート事件にも絡む億万長者ハワード・ヒューズなど、当時の“時の人”に関する曲も書いた。



前出の「Goodnight Irene」、そして「Rock Island Line」、「The Midnight Special」といった彼の十八番は、当時のフォーク歌手に欠かせないレパートリーとなっていた。
一般的に12弦ギターの名手として知られている彼の演奏ルーツを辿ると…
1906年(当時18歳)、地元ルイジアナ州の安酒場で聴いたブギウギピアノに惹かれ、ウォーキングベース奏法を自分のギタープレイに取り入れたことが原点だったという。
その後、20代の頃にダラスの街で盲目のブルースマン、ブラインド・レモン・ジェファーソンと出会い、本格的にブルースを教わることとなる。
音楽的には才能豊かな男だったが…
彼はその生涯の中で何度も刑務所のお世話になっている。
高慢な気性と、もめ事を好む性格は、しばしば彼を法に触れる問題に巻き込んだ。
1918年(当時30歳)、彼は喧嘩で自分の親戚を殺害した後、服役を受けることとなる。
テキサス州シュガーランドで投獄され、その服役中に「Midnight Special」のインスピレーションを受けたという。
釈放を懇願するために書いた曲が、パット・モリス・ネフ知事の好みに合ったため、35年の刑罰から(なんと!)2年で釈放されたと言われている。
1930年(当時42歳)、今度は殺人未遂の罪でルイジアナ州立刑務所に服役する。
服役している間、刑務所内では歌で他の看守や仲間の囚人を楽しませたり励ましたりして、まさにエルヴィス・プレスリーの「監獄ロック」を地でいくような男だったという。
そして1934年(当時46歳)、服役中に国会図書館の資料として黒人のフォークソングの収集に来ていた民俗音楽学者アラン・ロマックスのために録音をしたことが人生の転機となる。
その翌年、ロマックスがルイジアナ州知事に早期釈放を陳情し、彼はもう一度釈放される。
更生を誓った彼は、ロマックスのアシスタントとしてフォークソング収集の手伝いをはじめる。
そしてアメリカの各地を旅したのちに、ロマックスの計らいニューヨークに移住し、本格的に歌手活動を再開させる。
ARCと契約してレコードをリリースするもセールスは不十分で富も名誉も得られず…脅迫の罪で(またまた)刑務所に戻ってしまう。
1940年(当時52歳)、刑期を終えた彼を待っていたのは、当時アメリカを中心に盛り上がりつつあったフォークブームだった。
彼は白人フォーク歌手のウディ・ガスリーやピート・シーガーらに歓迎され、活躍の場を手に入れる。
1949年、彼は最初の欧州ツアーを始めるが…旅の途中に筋萎縮性側索硬化症と診断されツアーを中断。
その年の年末に帰らぬ人となる…
彼の死後、ジャニス・ジョプリンは彼の曲をレコードで聴いてブルースに目覚めたという。
その他、ウイリー・ネルソン、ジョニー・キャッシュ、フランク・シナトラ、ボブ・ディラン、エリック・クラプトン、ドクター・ジョン、トム・ウェイツ、ジェリー・ガルシア、レスポール&メリー・フォード、レッド・ツェッペリンナット・キング・コール、カート・コバーン、ポーグス、高田渡などなど、彼をリスペクトするアーティストのリストを見れば、その功績の大きさは一目瞭然だろう…



こちらのコラムの「書き手」である佐々木モトアキの音楽活動情報です♪
宜しくお願い致します。



【歌ものがたり2022 雨ニモマケズ風ニモマケズ】

12月2日(金)大阪 大きな輪
12日3日(土)和歌山OLD TIME
12月4日(日)広島Jammin’ bar
12月10日(土)福岡NIKAI
12月11日(日)北九州・黒崎 居酒屋 中村屋
12月13日(火)新宿UNDERGROUND Azzitto1224
12月22日(木)金沢JealousGuy
12月24日(土)福井・あわら市 専念寺

↓チケットご予約&公演詳細・共演者情報はこちら
https://ameblo.jp/sasakimotoaki/entry-12733736025.html



【歌ものがたり2023 今夜すべての歌酒場で】

1月14日(土)長崎タンゲ食堂
1月15日(日)佐賀(唐津)DEN
1月20日(金)大牟田BAR LAST NUMBER
1月21日(土)行橋Rock ‘n Roll Bar Memphis
1月22日(日)二日市COFFEE AND CIGARETTES
1月26日(木)福岡(警固)呑処 岡ひろ
1月28日(土)米子 海あに💋
1月29日(日)岡山Record BAR COZY
1月30日(月)兵庫IL grazie伊丹店
2月9日(木)名古屋 ROLLING MAN
2月10日(金)京都Bar USAGI
2月11日(土)浜松Esquerita68
2月12日(日)東海市 Funky LIVE Diner ダイナマイト
2月17日(金)佐賀 雷神💋
2月18日(土)福岡 Bar KINGBEE💋
2月19日(日)大分・宇佐 Michiyard cafe


↓チケットご予約&公演詳細・共演者情報はこちら
https://ameblo.jp/sasakimotoaki/entry-12733736025.html






【THE HUNDREDS 佐々木モトアキ×NOBUYAN’ Special Acoustic Live Tour 2022 “Only 2Men-6Days”】

12月25日(日)名古屋 ROLLING MAN

↓チケットご予約&公演詳細・共演者情報はこちら
https://ameblo.jp/sasakimotoaki/entry-12748624898.html




【TWO HUNDREDS 佐々木モトアキ×NOBUYAN’ Special Acoustic Live Tour 2023 東京公演 】

1月7日(土)東京・ZINC Asakusa

↓チケットご予約&公演詳細・共演者情報はこちら
https://ameblo.jp/sasakimotoaki/entry-12768882625.html





【佐々木モトアキ×Keith “唄うたいと雷神” Autumn/Winter 2022 Japan Tour】

11月26日(土)高円寺MOONSTOMP
12月17日(土)埼玉・所沢MOJO


↓チケットご予約&公演詳細・共演者情報はこちら
https://ameblo.jp/sasakimotoaki/entry-12751903088.html




【佐々木モトアキ×Keith “唄うたいと雷神” Spring/Summer 2023 Japan Tour #1】


2月3日(金)富山・高岡GOOD FELLOWS
2月4日(土)金沢JealousGuy
2月5日(日)新潟 Live Bar Mush
2月23日(木・祝)広島NANA
2月24日(金)岡山Desperado
2月25日(土)米子 海あに
2月26日(日)松江MUSICA LIBERUM @Miz
3月4日(土)横浜Bar Brixton Market
3月5日(日)静岡・三島 ぐらBar’s


↓チケットご予約&公演詳細・共演者情報はこちら
https://ameblo.jp/sasakimotoaki/entry-12772950670.html




佐々木モトアキの楽曲「You」のミュージックビデオです♪
映像編集、ポートレート(写真)撮影共に、佐々木モトアキ本人が手掛けております。
とてもシンプルな技法ですが、何よりも登場する皆さんの表情が素敵です✨
人が“目を閉じている”表情。
その“瞼(まぶた)に浮かんでいる”誰かの顔。
繋がってゆく“一人ひとりの想い”が、100通りの、いや1000通りのドラマを描いてくれています。





佐々木モトアキ
執筆、動画編集、音楽・食・商品・街(地域)に関わるPRなどなど…様々なお仕事承ります。

例えば執筆・編集のお仕事として、、、
「ロック」「ジャズ」「ブルース」「R&B」「シャンソン」「カントリーミュージック」「フォークソング」「歌謡曲」「日本の古い歌」など、ほぼオールジャンルのページ企画・特集に対応いたします。
ライブイベントの紹介・宣伝文や、アーティストの紹介文なども対応できます。
音楽以外のライティングとして、WEBページの作成・リニューアル、各種パンフレット作成に伴う「店舗のご紹介」「メニューご紹介」「企業・会社のご紹介」「商品のご紹介」などなど様々なPRに関わるお仕事も承ります。


音楽、人、食、商品、街(地域)…私たちが関わるものすべてには“ものがたり”があります。
あらゆるものに存在する、ルーツや“人の想い”を伝えながら「誰が読んでもわかりすい読み物」をお作りいたします✒︎
お気軽にご依頼のご相談・ご連絡ください♪
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090-2669-2666

【佐々木モトアキ プロフィール】
https://ameblo.jp/sasakimotoaki/entry-12648985123.html

【TAP the POP佐々木モトアキ執筆記事】
http://www.tapthepop.net/author/sasaki

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