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ルーファス・トーマスを偲んで〜底抜けに明るいキャラクターでメンフィスを元気にした男の功績と軌跡

2018.12.15

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2001年12月15日、“The world’s oldest teenager(世界で一番歳を取った十代)”と呼ばれた人気黒人歌手ルーファス・トーマス(享年84)がテネシー州メンフィスの病院で静かに息を引き取った。
亡くなる3年前に心臓の手術を受けており、死因は心臓の衰弱からくる心不全と発表された。
ユーモラスな歌とダンスが特徴の「Walking The Dog」「Do The Funky Chicken」などの代表曲で幅広いファン層に親しまれた彼は、歌手としてだけではなくタップや漫才などマルチタレントぶりを発揮してお茶の間でも人気のエンターテイナーだった。
芸歴70年を超えた晩年でも、ステージではお馴染みのホットパンツ姿で登場して観客を沸かせていたという。


1917年、彼はミシシッピ州にあるケイスという小さな町で生まれた。
彼が3歳の頃に一家は仕事を求めてテネシー州メンフィスへと移り住むこととなる。
当時のメンフィスと言えば、綿花と木材の集散地として多くの黒人労働者が暮らす街だった。
そんな街で育った彼は、10歳頃からタップダンサーとして歓楽街のキャバレーなどで踊るようになる。
ハイスクールを卒業した後は、ミンストレル・ショーの一座に加わり南部を旅して回ったという。
1943年(当時26歳)に、初めて歌手としてレコーディングを経験したが…鳴かず飛ばずのまま地元のクラブなどで細々と活動を続けていた。
1952年、彼が35歳の時に転機がおとずれた。
当時、まだ人種差別が激しかった地元メンフィスの黒人向けラジオ番組のDJに抜擢されたことで、彼の名前は南部中に知れ渡るようになる。
彼は南部で初めてエルヴィス・プレスリーを黒人リスナーに紹介したり、まだビッグネームになる前のBBキングを発掘して広めた人物としても知られている。
番組は人気を呼び、しだいに彼は歌手としても注目を浴びるようになってゆく。


1953年、メンフィスで設立されたばかりのSun Recordsからビッグ・ママ・ソーントンという女性新人歌手がデビューする。
彼女はジェリー・リーバーとマイク・ストーラーが書いた「Hound Dog」を歌い、R&Bチャートの首位を7週間も奪取するという快挙を遂げる。
このヒットを受けて、ルーファス・トーマスが“アンサーソング”として「Bear Cat」という曲をヒットさせる。
その3年後、同じくSun RecordsからRCAに移ったばかりのエルヴィス・プレスリーが「Hound Dog」をリリースし、驚異的なヒットを記録する。
当時、彼が歌った「Bear Cat」は「Hound Dog」の盗作として告訴を受けたが…結果、「Bear Cat」が1枚売れるごとに2セントを支払うことで落ち着いたという。



彼のキャリアの中で最も大きなヒットといえば、1963年(当時46歳)にStax Recordsからリリースした「Walking The Dog」だ。
同曲は、後にローリング・ストーンズやエアロスミスといった人気ロックバンドがこぞってカヴァーをしている。




1993年(当時76歳)にはR&Bファンデーション・パイオニア・アワードを受賞し、亡くなった2001年にはBlues Hall Of Fame(ブルースの殿堂)入りを果たしている。死後、メンフィス市は彼が街の音楽発展に多大な貢献をしたとして讃え、道に彼の名前を付けたという…

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