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カーペンターズの「Sing」が日本で発売された日

2019.03.25

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唄おう 歌を唄おうよ
大きな声で 力強く
歌を唄えば嫌な事だって忘れられるよ
歌を唄えば悲しい気持ちも消えて幸せになれる




1973年(昭和48年)3月25日、カーペンターズの名曲「Sing」(キングレコード)が日本で発売された。
同年の国内ヒットソングといえば…
1位「女のみち」/宮史郎とぴんからトリオ
2位「女のねがい」/宮史郎とぴんからトリオ
3位「学生街の喫茶店」/ガロ
4位「喝采」/ちあきなおみ
5位「危険なふたり」/沢田研二
6位「神田川」/かぐや姫
7位「心の旅」/チューリップ

石油ショックによる物価急上昇、トイレットペーパーや洗剤などの買いだめ騒動、日本電信電話公社が電話ファックスサービスを開始、ノストラダムスの大予言が出版され、オセロゲームが流行した年でもある。

この曲はもともと子供向けの人気テレビ番組『セサミストリート』の挿入歌として作曲されたものだった。
作詞作曲のクレジットには、セサミストリートの音楽を作ってきたことでも有名なソングライターのジョー・ラポーゾの名が記されている。
1972年、カーペンターズがABCテレビの番組に出演した際に、子供たちが「Sing」を歌うのを聴いて「私たちもこの曲を取り上げたい!」と思ってカヴァーにいたったという。
当初、セサミストリートで使用されたバージョンでは歌詞が1番までしかなかったが、ジョー・ラポーゾがカーペンターズのために追加の作詞を提供して録音されることとなった。



唄おう 歌を
シンプルな歌でもいいよ 最後まで唄おうね
あなたの人生はまだ長い
心配ないよ あんまり悩まないで




レコーディングでは、ジミー・ジョイス少年少女合唱団がコーラスで参加。
彼らはコンサートでこの曲を歌う時に、地元の児童合唱団をバックコーラスに迎えて演奏するスタイルを続け、様々な国の子供達と音楽交流を果たしてきた。
1974年の東京公演では、ひばり児童合唱団と共演をしている。
また1976年の大阪フェスティバルホールにて、カレン・カーペンターが日本語ヴァージョンを披露している貴重な映像も残っている。




クラシック、ジャズ、シャンソンから映画のサウンドトラックまで無頼の音楽好きとして知られる和田誠(イラストレーター/エッセイスト/映画監督)は、著書の『いつか聴いた歌』で、この曲についてこんな言葉を綴っている。

「日本でも、ひらけポンキッキから“およげタイヤキくん”が出たし、みんなのうたから“山口さんちのツトムくん”が出た。日本の場合はキワモノ的や様相もあるけれど、この“シング”は言葉も曲も単純明快で素朴だ。歌そのものを歌った歌として、番組を離れて全世界に素直に受け入れられたようである。ヒットの促進に寄与したのは、まずカーペンターズだろう。ペギー・リー、ペリー・モコといったベテランもレコーディングしている。76歳のフレッド・アステアと71歳のビング・クロスビーがデュエットしたレコードもある。まぁ老人と言うべきお二人が、実に楽しそうに軽快に歌っている。こんな歌詞だから、子供達が歌っても老人が歌っても心なごむのである。」



<引用元『いつか聴いた歌』/和田誠(愛育社)>

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