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ジェリー・ゴフィンを偲んで〜妻キャロル・キングと幾多の名曲を生み出した作詞家が、別れの後に綴った失恋ソング

2019.06.19

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「彼の詞は、多くの人々が感じていながら言い表す術(すべ)を知らなかった想いを表現していた。」(キャロル・キング)

2014年6月19日、キャロル・キングの元夫で作詞家のジェリー・ゴフィン(享年75)がロサンゼルスの自宅で死去した。
死因は自然死だったと報じられた。
彼はキャロル・キングと共に「Will You Love Me Tomorrow」や「(You Make Me Feel Like) A Natural Woman」などの名曲を生み出し、その後も、キャロルをはじめとしたソングライターたちとのタッグで全米チャート“トップ40”に59曲の作品を送り込んだ人物である。
キャロル・キングにとって彼は初恋の人だったという。
彼の訃報を受けて、キャロル・キングはこんな言葉を残している。

「彼は私の人生そして世界に深い衝撃を与えた。ジェリーはいい人であると共に、素晴らしい力の持ち主で、彼の創造した作品(歌詞)は今後何世代にも渡って人々の心を動かすだろう。」

1939年2月11日、ジェリー・ゴフィンはニューヨーク市ブルックリン区でユダヤ系ロシア人移民の両親のもとに生まれた。
ブルックリン実業高等学校 (Brooklyn Technical High School) を卒業後、徴兵されてアメリカ海兵隊予備役に編入している。
海軍兵学校で1年間学んだが…その後は海軍を辞め、ニューヨーク市立大学クイーンズ校に入学して化学を専攻した。
1958年、大学在学中(当時19歳)にキャロル・キング(当時16歳)と出会い、翌年8月に二人は結婚して夫妻でタッグを組んで作詞作曲をするようになる。


1960年、4人組の黒人女性グループ、ザ・シュレルズに「Will You Still Love Me Tomorrow」を提供。
同曲は翌1961年1月にBillboard Hot 100の首位を獲得し、二人にとって初のヒットとなる。
その後、スティーブ・ローレンスとダニー・オズモンドが歌った「Go Away Little Girl」が、1962年と1971年の各バージョンが共に1位を記録。
ザ・モンキーズが歌った「Pleasant Valley Sunday」もビルボード全米3位まで上昇するなど、二人は次々とヒット曲を作り続ける。
ボビー・ヴィーの「Take Good Care of My Baby(サヨナラ・ベイビー)」、リトル・エヴァのヒット曲で、後にグランド・ファンクやカイリー・ミノーグもカヴァーした「The Loco-Motion」、アレサ・フランクリンの「(You Make Me Feel Like) A Natural Woman」なども“キャロル×ジェリー”コンビによる代表作として知られている。
そんな二人は1968年に離婚をしてしまうが…その後もしばらくは共同での曲作りは続けられる。
二人が生み出したものは楽曲だけではなく、夫婦の間にはルイーズ・ゴフィンとシェリー・ゴフィン・コンドーという子供達も誕生している。
キャロル・キングの回顧録によると、当時、彼はLSDの服用によって精神疾患を引き起こし、リチウム(リチウム塩)の処方や電気けいれん療法を受けるようになり、双極性障害に苦しんでいたという。


キャロル・キングとの離婚から5年…
彼は「It’s Not The Spotlight」という失恋ソングを書いている。
敏腕セッション・キーボーディストのバリー・ゴールドバーグと共作したその楽曲の歌詞にはこんな想いが綴られていた。

スポットライトみたいに輝く瞳の彼女と別れてしまった 
でもまたいつか彼女とよりを戻したい…


その歌は彼が1973年に発表したソロアルバム『It Ain’t Exactly Entertainment』に収録された。
翌年、ボブ・ディランのプロデュースによってバリー・ゴールドバーグが発表したアルバム『Barry Goldberg』にも収録されている。


同曲は、ロッド・スチュワートが本格的アメリカ進出を賭けて1975年に発表したアルバム『Atlantic Crossing』の中でカヴァーされ、広く知られるようになる。
日本では浅川マキ(当時33歳)が和訳して歌っている。
彼女が自己流に訳した日本語詞には、器用には生きられない男の心情が綴られている。
それらの言葉が原作者ジェリー・ゴフィンの当時の姿に重ねられていたのかどうかは、今はもう誰にも確かめることはできない…

もしも光がまたおいらに  
あたるならそれをどんなに待っているさ

ずっと前のことだけれどその光に
気づいていたのだが逃しただけさ

だけどふたたびいつの日にか 
あの光がおいらを照らすだろう

あの光そいつは古びた街の
ガス灯でもなく月灯りでもない
スポットライトでなくロウソクの灯じゃない 
まして太陽の光じゃないさ
あの光そいつは あんたの目に 
いつか輝いてみたものさ



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