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ジョージ・ハリスンの「Give Me Love (Give Me Peace on Earth)」が日本で発売された日

2019.07.05

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1973年(昭48年)7月5日、ジョージ・ハリスンの「Give Me Love (Give Me Peace on Earth)」(東芝音工)が日本で発売された。
同年の国内ヒットソングといえば…

同年の国内ヒットソングといえば…
1位「女のみち」/宮史郎とぴんからトリオ
2位「女のねがい」/宮史郎とぴんからトリオ
3位「学生街の喫茶店」/ガロ
4位「喝采」/ちあきなおみ
5位「危険なふたり」/沢田研二
6位「神田川」/かぐや姫
7位「心の旅」/チューリップ

石油ショックによる物価急上昇、トイレットペーパーや洗剤などの買いだめ騒動、日本電信電話公社が電話ファックスサービスを開始、ノストラダムスの大予言が出版され、オセロゲームが流行した年でもある。


「自分がこれから何を言うのかわかっていないときがある。口をついて出てきた言葉が何であろうと、それが何かの出発点になる。そのようなことが起きたとしたら幸運だ。それが歌になることが多いからだ。この曲は祈りであり、僕と神、そして神の存在を認めるすべての人々との間で交わされる個人的な声明でもある。」

この「Give Me Love (Give Me Peace on Earth)」は、ジョージ・ハリスンが1973年に発表したソロ名義アルバム『Living in the Material World』の一曲目に収められ、アルバムから唯一シングルカットされた曲である。
全米1位、全英8位を記録し、彼のソロキャリアを代表する一曲となった。
1973年6月30日付けのビルボードチャートを見てみると…

1位 ジョージ・ハリスン「Give Me Love(Give Me Peace On Earth)」
2位 ポール・マッカートニー&ウィングス「My Love」
3位 ビリー・プレストン「Will It Go Round In Circle」

このように、ビートルズの元メンバーが全米チャートの1位2位を独占したのはこのときだけだった。
同時期にはスリー・ドッグ・ナイトの「Shambala」やポール・サイモンの「Kodachrome(僕のコダクローム)」、そしてピンク・フロイドの「Money」などがチャートを賑わせている。
前作の『All Things Must Pass』と同様に、レコーディング当初はフィル・スペクターをプロデューサーに迎えてアルバムを作るつもりだったが、上手く折り合いがつかず、本作はセルフプロデュースという形で制作された。
同曲では、ジョージ自身によるスライドギター、クラウス・ヴァーマンによるツボを押さえたベース、そしてニッキー・ホプキンズによる繊細なタッチのピアノも“聴きどころ”の一つとなっている。

愛をください 愛をください
この地上に平和をもたらしてください
光をください 人生を与えてください
生まれながらの自由を
希望を与えてください
この重荷に耐えられるように力を貸してください
あなたに触れ あなたのもとに行きたい 心から
Om…私の神よ どうか私の手をとってください


この歌詞に出てくる“Om”は日本文化でもなじみの、「阿吽(あうん)」の「吽(うん)」にあたるもので、ヒンドゥー教やバラモン教における神聖な呪文とのこと。
ビートルズのメンバーがインド哲学に傾倒していった時期にジョン・レノンが書いた「Across The Universe」(1970年発表)にも、同じ“Om”が登場している。


「Jai Guru De Va, Om」神に感謝を…
何ものにも僕の世界を変えることはできない
どんなものも僕の世界は変えられない


この不思議な響きを持つ“Om”についてさらに掘り下げていくと…ヒンドゥー教やバラモン教、そして仏教やヨガなどのルーツにもなっている大昔の聖典(ヴェーダ)の存在が浮かび上がってくる。
その聖典によると“Om”は「根源的な宇宙の音」とされている。
すべての音の源であり、宇宙の果てにもこの音が存在すると考えられている。
また、“Om”を「弓」、人間を「矢」、神を「的(まと)」に例え、人々が神に近づくための神聖な音だという考え方もある。
「愛をください」というタイトルながら恋愛を描いたラブソングではなく「この地上に平和をもたらしてください」という神への祈りが込められたこの歌。
信仰心の強いジョージらしい一曲と言えるだろう。


<参考文献『ジョージ・ハリスン自伝』著:ジョージ・ハリスン/訳:山川真理(河出書房新社)>

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