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ソロモン・バークを偲んで〜ミック・ジャガーやヴァン・モリソンに影響を与えた偉大なソウル歌手の功績

2019.10.10

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2010年10月10日、ソウル歌手ソロモン・バーク(享年70)がオランダのスキポール空港で急逝した。
死因についてはオフィシャルサイトで親族が自然死と説明した。
12日にアムステルダムで公演を行うためにロサンゼルスからアムステルダムへ向かう飛行機の機中で突然心臓発作を起こし、着陸後、駆けつけた医師によって死亡が確認されたという。
主にR&Bやゴスペルのフィールドで活躍した彼だったが、ミック・ジャガーやヴァン・モリソン等のロックミュージシャンにも大きな影響を与えたことでも知られている。
彼の代表曲といえば、やはり「Everybody Needs Somebody To Love」(1964年)だろう。
1965年にローリング・ストーンズが2ndアルバムでカヴァーし、その後、映画『ブルース・ブラザース』(1980年)で使用されたことによって、彼の名は世界中に知れ渡ることとなった。



1940年3月21日、彼はペンシルベニア州フィラデルフィアで生まれた。
幼い頃から教会で歌い始め、十代の頃にはすでに地元のレーベルからレコードを発売したり、自身のラジオ番組を持って活躍していたという。
1961年、二十代を迎えた彼はアトランティックと契約を交わす。
同年にリリースした2作目のシングル「Just Out of Reach (Of My Two Open Arms)」がヒットし、彼は早くも成功への道を駆け上ってゆく。
歌手活動と並行して、キリスト教説教者としても仕事を続けていた彼は、ローマ法王やマーティン・ルーサー・キング、さらにはマルコムXなどとも面識・親交があったという。
ブルース、ゴスペル、カントリー、R&Bなどジャンルの枠にとらわれることなく歌った彼にとって、60年代はまさに黄金期だった。
1970年代はヒット曲に恵まれず、1980年代には映画に出演するなど、彼のキャリアには浮き沈みの激しい時期もあったが、60歳を過ぎて亡くなるまでの約10年間は充実したものだった。
2002年(当時62歳)に発表したアルバム『Don’t Give Up on Me』では、彼のファンであるボブ・ディラン、トム・ウェイツ、ヴァン・モリソン、エルヴィス・コステロ、ブライアン・ウィルソン、ニック・ロウ等が楽曲を提供した。
翌2003年には、同アルバムがグラミー賞を受賞。
また2006年にはカントリー界の歌姫達、ドリー・パートン、エミルー・ハリス、パティ・グリフィンらをゲストに迎えたアルバム『Nashville』を発表した。


2008年にレコーディングしたアルバム『Like a Fire』では、エリック・クラプトン、ベン・ハーパー、ケブ・モー、ジェシー・ハリスらが彼のために曲を提供している。
そして亡くなる5ヶ月前…彼は2010年5月に「JAPANBLUES&SOULCARNIVAL2010~25周年記念スペシャルで初の日本公演を行っている。
70年間の生涯を通じて、3回の結婚で21人の子供、90人の孫、19人のひ孫に恵まれた人生だった。
彼の歌声はダイヤモンドのように多くのファンやミュージシャン達の心の中で今も輝き続けている…

♪「Diamond in your mind」(Tom Waits, Kathleen Brennan)

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