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あの頃洋楽ファンが夢中になった“パワーバラード”の名曲①

2023.01.30

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「パワーバラード」の世界から名曲を厳選


80年代に洋楽デビューした人に捧げるこの企画。音楽雑誌のグラビア切り抜き。FMのエアチェックとカセットレーベル作り。輸入盤のジャケットの匂い。MTVを眺め続けた深夜帯。プログレハードやヘヴィメタル/ハードロックのトキメキ。

アルバムを買うと、必ず1曲は入っていたバラードナンバーを楽しみにしていた人も多いはず。今回はそんな「パワーバラード」の世界から名曲を厳選してみました。ドライブや通勤タイム、懐かしの音源探しに活躍すること間違いなし!! (選曲/中野充浩)

ボストン「A Man I’ll Never Be」(1978年・全米31位)
トップバッターはボストン。デビュー作が驚異の全米1700万枚以上をセールス。本作はその勢いに乗ってリリースされたセカンドで、この曲は彼らの世界観を象徴する珠玉の1曲。「そうであってはならない男」の心の内が、美しいメロディやギターソロによって星屑のバラードとして昇華していく。これだけの音世界なのに、シンセサイザーやコンピュータの使用が一切なしというのも驚き。バンドの創始者兼ギタリストのトム・ショルツの才能が光る。ボストンはこの後8年の長い沈黙を経て、1986年に「Amanda」をナンバーワン・ヒットさせた。


エイジア「The Smile Has Left Your Eyes」(1983年・全米34位)
キング・クリムゾン、イエス、EL&Pらのメンバーによって結成されたスーパーグループ。1982年のデビュー作『詠時感〜時へのロマン』が全米でナンバーワンに輝き、世界で1500万以上をセールス。シングル「Heat of the Moment」がチャートを駆け上がった。本作は彼らのセカンドで、中でも「偽りの微笑み」と題されたこのバラードの存在一つで再評価の価値あり。MVのストーリーも何だか切ない。


ラヴァーボーイ「Heaven in Your Eyes」(1986年・全米12位)
カナダ出身のロックバンド。1980年のデビューから4作連続でアルバムがプラチナ・ディスクに輝く。中でもセカンド『Get Lucky』は全米で400万枚上を売った。この曲は映画『トップガン』のサントラに収録。同作は大ヒットしたベルリンのバラードが有名だが、ラヴァーボーイのバラードもひときわ印象的だった。これぞパワーバラードな1曲。


サバイバー「The Search Is Over」(1985年・4位)
サバイバーと言えば、映画『ロッキー3』の主題歌として大ヒットした「Eye of the Tiger」があまりにも有名なだけに、何かと一発屋のレッテルを貼られることが多いが、それは違う。リード・ヴォーカリストが交代した5作目の『Vital Signs』は、MTVの力も手伝ってシングルヒットを連発。バンドの全盛期に突入した。


REOスピードワゴン「Can’t Fight This Feeling」(1984年・全米1位)
1971年のデビューから鳴かず飛ばずだったバンドは、地道なライヴ活動で鍛え上げた結果、1980年に11枚目の『Hi Infidelity』で遂に大ブレイクを果たす。全米だけで1000万枚以上をセールスしたこのアルバムからは、パワーバラード「Keep on Loving You」がナンバーワン・ヒット。続く13枚目の『Wheels Are Turnin’』からはこの曲が再びチャートのトップに。80年代トップ40ソングを代表する名曲の一つ。ミュージカル映画『ロック・オブ・エイジズ』でも使用された。


フォリナー「I Want to Know What Love Is」(1984年・全米1位)
イギリス人とアメリカ人が混在するロックバンド。1977年のデビュー以降、アルバムが7作連続プラチナ・ディスクを獲得。シングルヒットも量産し、1981年の「Waiting for a Girl Like You」は特に有名。この曲はそれと並ぶフォリナーの代表的バラードで、MTVで繰り返しオンエアされてナンバーワン・ヒットになった。こちらもやはりミュージカル映画『ロック・オブ・エイジズ』で使用された。


ジャーニー「Faithfully」(1983年・全米12位)
スティクスと並んで日本でも非常に知名度が高いバンド。サンタナにいた天才ギタリスト、ニール・ショーンらを中心に結成。1978年のスティーヴ・ペリー加入後からシングルヒットが出始める。1981年の全米ナンバーワン作『Escape』はベストセラー化し、有名な「Open Arms」や「Don’t Stop Believin’」が生まれた。続く1983年の『Frontiers』も大ヒット。この曲がシングルカットされた。パワーバラードを選曲する際は絶対に忘れてはならないパンド。2007年からはフィリピン出身のアーネル・ピネダをリード・ヴォーカリストに迎えて活動中。


バッド・イングリッシュ「When I See You Smile」(1989年・全米1位)
ジャーニーの真の全盛期はキーボードのジョナサン・ケインが加入してから始まったが、その代わりに彼がいたベイビーズは解散。その後、ヴォーカリストのジョン・ウェイトはソロとなり「Missing You」でナンバーワン・ヒットを放つ。バッド・イングリッシュはベイビーズの再結成版であり、ジャーニーのニール・ショーンが加わったスーパーグループ。人気ソングライター、ダイアン・ウォーレンによる「When I See You Smile」は余りにも有名。


ミートローフ「Two Out of Three Ain’t Bad」(1978年・全米11位)
全米屈指のベストセラー。邦題は『地獄のロックライダー』。このコンセプトアルバムの全ての曲を書いたのがジム・スタインマン。ボニー・タイラーの「愛の翳り」(全米1位)やエア・サプライの「渚の誓い」(全米2位)、映画『ストリート・オブ・ファイヤー』のサントラなどのプロデュース/ソングライティングで知られるドラマチック・バラードの名手だ。本作からはこの曲がヒット。15年後の1993年にはアルバムの続編がリリースされて、「I’d Do Anything for Love (But I Won’t Do That)」が遂にナンバーワン・ヒットとなった。なお、スタインマンは2021年4月に73歳、ミートローフは2022年1月に74歳で亡くなった。








パート2はこちらから。

【執筆者の紹介】
■中野充浩のプロフィール
https://www.wildflowers.jp/profile/
http://www.tapthepop.net/author/nakano
■仕事の依頼・相談、取材・出演に関するお問い合わせ
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