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イラストレーター永井博の絵本としての企画から始まった大滝詠一の『ロング・バケイション』

2016.04.09

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『A LONG VACATION(ア・ロング・バケイション)』というアルバムは、当初は”夏のアルバム”として企画されたものだ。

きっかけとなったのはCBSソニー出版から1979年7月25日に発売されたビジュアルブック、イラストレーターの永井博の絵本だった。
その絵本に「ロング・バケーション」と名づけた大滝詠一がこう語っている。

後にアルバム・ジャケットとして一世を風靡したあの絵は最初は<絵本>でした。中の文やこのタイトルを考えたのが私で、本には<著書(文)大滝詠一:(絵)永井博>となっています。


大瀧詠一 永井博 絵本のロングバケーション

デザインを担当したのが養父(やぶ)正一、このチームで80年代のナイアガラのイメージを作り上げていくのだが、絵本が世の中に出ていった時点ではまだ音楽との関係はなかった。

しかし翌年の4月13日に「君は天然色」のレコーディングが始まった時には、絵本『A LONG VACATION』とイメージを同期させたアルバムの案が固まっていた。
そして大滝の32歳の誕生日にあたる7月28日、6枚のシングル盤と絵本をセットにして発売することになった。

ところが作詞を依頼していた松本隆の妹が亡くなったことなどの事情から、完成が大幅に遅れて発売予定は秋まで延期された。
<参照コラム・何も言わずに待ってくれた大滝詠一に「君は天然色」を書いて応えた松本隆

そのおかげで”夏のアルバム”に、予定していなかった”冬の曲”が入ってきたのだ。

途中諸事情で中断したために”冬”の歌も入れることにし、「シベリア鉄道」が出来た時に絵本とのセット販売のアイデアは却下となりました。
しかし、アルバム・ジャケットは熟考の結果、当初通り絵本と同じ絵にしたのですが、最後の最後まで他の絵を使用するアイディアもあったのです。(はっきりとした”冬の曲”が2曲も入っていることを考えたからです)


こうした事情を経てアルバム『ロング・バケイション』は翌年の3月21日、通常のアナログ30センチLP盤として発売されることになった。

その結果、はっぴいえんど解散後に大滝が興したナイアガラ・レーベルで培った、さまざまな音楽のエッセンスがこのアルバムに全て注ぎ込まれた。
こうして日本のポップス史上における不朽の名作が誕生したのである。

レコード店にディスプレイされたレコードとポスターは、そのクリアな絵柄と色彩で邦楽売り場では圧倒的に目立つものとなった。
壁に飾りたくなるようなアートワークは、30センチ角というLPレコードのおかげで鮮やかに際立っていた。

アロング・バケイション ジャケット帯なし アロング・バケイション
アメリカン・ポップスを想起させるカラフルなジャケットと、ナイアガラ・サウンドが合体してベストセラーになっていった状況を、大瀧自身がこう述べている。

その好評さは音楽を凌いだ感すらありました。
「ジャケットで売れた」と当時盛んに言われたものでした。
永井さんの絵、養父さんのデザイン、『ロング・バケーション』と言うタイトル、そしてナイアガラ・サウンドと松本隆君の詞、どの一つが欠けてもあのような大ブームには至らなかったでしょうし、あれほどいろいろなものが相乗効果を次々と呼んだアルバムも類例は少ないと思います。


『ロング・バケイション』のブームとナイアガラの快進撃は、永井博の絵と松本隆の詞を得た「さらばシベリア鉄道」が、シングル・カット(「A面で恋をして」との両A面シングル)されて、ささに記録的なロングセラーになっていった。

大瀧詠一 さらばシベリア鉄道




(注)大滝詠一氏の発言はすべて、大瀧詠一著「All About Niagara」(2001年 白夜書房)からの引用です。


4月16日(土)に〈HMV record shop渋谷〉とのコラボレーションとしてインストアイベントを開催!
イラストレーター/グラフィックデザイナーの永井博さんと、本誌メインライターのひとりである佐藤剛さんによるトークショーを行います。フリーイベントですので、レコードを買いに来がてらお気軽にお立ち寄りください!

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【RECORD STORE DAY開催記念】
『HMV record shop渋谷』 × 『TAP the POP』スペシャルトークショー

4月16日(土) 17:30~18:30(終了予定)
HMV record shop 渋谷 1F特設イベントスペース
■TALK
永井 博(イラストレーター、グラフィックデザイナー)
佐藤 剛(音楽プロデューサー、文筆家)
■進行
宮内 健(ライター、編集者)

大滝詠一『A LONG VACATION』をはじめ、数多くのレコード・ジャケットを手がけてきたイラストレーター/グラフィックデザイナーの永井博さん。ソウル/R&Bを中心としたレコード・コレクターでもある永井さんと、TAP the POPのメインライターの一人である音楽プロデューサーの佐藤剛さんが、アナログレコードのジャケット・デザインの魅力や、ふたたび注目を集めるアナログレコード文化、またそれぞれが影響を受けた音楽について語り合います。

詳細はこちら→ http://recordshop.hmv.co.jp/news/29029/

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