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ヒップホップ/ラップのベストセラーアルバム〜ランDMCからドレイクまでの30年

2021.03.27

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ヒップホップ/R&Bの売り上げが初めてロックを超えて、音楽マーケット全体のトップシェアに立ったのが2017年。今回は300万枚以上を売ったヒップホップ/ラップのアルバムをリスト化。80年代にはプラチナディスク(100万枚)を獲得すること自体が珍しかったジャンルだが、今ではポピュラー音楽の中心を形成するまでに至った。ただ売り上げ順に並べても面白くないので、年度別に並べることにしてみよう。さて、このデータをどう読み解くか。

【1986年】
●1000万枚/ビースティ・ボーイズ『LICENSED TO ILL』(1986)
●300万枚/ランD.M.C.『RAISING HELL』(1986)


やはり起爆剤は彼らだった


【1987年】
該当なし

【1988年】
●300万枚/DJ・ジャジー・ジェフ&ザ・フレッシュ・プリンス『HE’S THE DJ, I’M THE RAPPER』(1988)
●300万枚/N.W.A.『STRAIGHT OUTTA COMPTON』(1988)


西海岸ギャングスタ・ラップの先駆け。今や伝説。

【1989年】
該当なし

【1990年】
●1000万枚/MCハマー『PLEASE HAMMER DON’T HURT ‘EM』(1990)
●700万枚/ヴァニラ・アイス『TO THE EXTREME』(1990)


突発的にポップ・ラップが大ヒット

【1991年】
●300万枚/ハマー『TOO LEGIT TO QUIT』(1991)

【1992年】
●400万枚/アレステッド・ディベロップメント『3 YEARS, 5 MONTHS AND 2 DAYS IN THE LIFE OF…』(1992)
●400万枚/クリス・クロス『TOTALLY KROSSED OUT』(1992)
●300万枚/ドクター・ドレー『THE CHRONIC』(1992)


一世を風靡したGファンク

【1993年】
●500万枚/ソルト・ン・ペパー『VERY NECESSARY』(1993)
●400万枚/スヌープ・ドギー・ドッグ『DOGGYSTYLE』(1993)
●300万枚/サイプレス・ヒル『BLACK SUNDAY』(1993)
●300万枚/ウータン・クラン『Enter the Wu-Tang (36 Chambers)』(1993)


日本でも人気が高かったチカーノ・ラップ

【1994年】
●600万枚/ノートリアスB.I.G.『READY TO DIE』(1994)
●300万枚/ウォーレン・G『REGULATE…G FUNK ERA』(1994)
●300万枚/ビースティ・ボーイズ『ILL COMMUNICATION』(1994)


ビースティーズの最高傑作アルバムはこの年にリリースされた

【1995年】
●400万枚/ボーン・サグズン・ハーモニー『E. 1999 ETERNAL』(1995)


シングルもナンバーワン・ヒットを記録

【1996年】
●1000万枚/2パック『ALL EYEZ ON ME』(1996)
●700万枚/フージーズ『THE SCORE』(1996)
●400万枚/マキャベリ(2パック)『DON KILLUMINATI: THE 7 DAY THEORY』(1996)


東西抗争に巻き込まれた2パックはこの年他界した

【1997年】
●1100万枚/ノートリアスB.I.G.『LIFE AFTER DEATH』(1997)
●900万枚/ウィル・スミス『BIG WILLIE STYLE』(1997)
●700万枚/パフ・ダディ&ザ・ファミリー『NO WAY OUT』(1997)
●400万枚/2パック『R U STILL DOWN? (REMEMBER ME)』(1997)
●400万枚/ボーン・サグズン・ハーモニー『THE ART OF WAR』(1997)
●400万枚/メイス『HARLEM WORLD』(1997)
●400万枚/ウータン・クラン『WU-TANG FOREVER』(1997)
●300万枚/マスター・P『GHETTO D』(1997)


東西抗争に巻き込まれてこの年他界したビギー(ノートリアスB.I.G.)に捧げられた大ヒット曲

【1998年】
●1000万枚/2パック『GREATEST HITS』(1998)
●1000万枚/ローリン・ヒル『THE MISEDUCATION OF LAURYN HILL』(1998)
●500万枚/ジェイ・Z『VOL 2…HARD KNOCK LIFE』(1998)
●400万枚/DMX『IT’S DARK AND HELL IS HOT』(1998)
●400万枚/ジュヴィナイル『400 DEGREEZ』(1998)
●400万枚/マスター・P『MP DA LAST DON』(1998)
●300万枚/ビースティ・ボーイズ『HELLO NASTY』(1998)
●300万枚/DMX『FLESH OF MY FLESH, BLOOD OF MY BLOOD』(1998)


ナンバーワン・アルバム数を更新中のジェイ・Zの快挙はここから始まった。

【1999年】
●600万枚/ドクター・ドレー『DR.DRE 2001』(1999)
●500万枚/DMX『…AND THEN THERE WAS X』(1999)
●400万枚/エミネム『THE SLIM SHADY LP』(1999)
●300万枚/ジェイ・Z『VOL.3…LIFE AND TIMES OF S.CARTER』(1999)

【2000年】
●1000万枚/エミネム『THE MARSHALL MATHERS LP』(2000)
●1000万枚/ネリー『COUNTRY GRAMMAR』(2000)
●400万枚/アウトキャスト『STANKONIA』(2000)
●300万枚/ジャ・ルール『RULE 3:36』(2000)
●300万枚/リュダクリス『BACK FOR THE FIRST TIME』(2000)


彼こそ、ゼロ年代最大のスーパースター

【2001年】
●400万枚/2パック『UNTIL THE END OF TIME』(2001)
●300万枚/ジャ・ルール『PAIN IS LOVE』(2001)
●300万枚/リュダクリス『WORD OF MOUF』(2001)

【2002年】
●1000万枚/エミネム『THE EMINEM SHOW』(2002)
●600万枚/ネリー『NELLYVILLE』(2002)
●400万枚/サウンドトラック『8 MILE』(2002)
●300万枚/2パック『BETTER DAYZ』(2002)
●300万枚/ジェイ・Z『THE BLUEPRINT 2:THE GIFT AND THE CURSE』(2002)

【2003年】
●1100万枚/アウトキャスト『SPEAKERBOXXX/THE LOVE BELOW』(2003)
●900万枚/50セント『GET RICH OR DIE TRYIN’』(2003)
●300万枚/ジェイ・Z『THE BLACK ALBUM』(2003)


アメリカでは社会現象化したのがアウトキャスト。現在、最後のダイアモンドセールス。

【2004年】
●400万枚/エミネム『ENCORE』(2004)
●400万枚/カニエ・ウエスト『COLLEGE DROP OUT』(2004)
●300万枚/ネリー『SUIT』(2004)


カニエの登場は新しい時代の到来だった

【2005年】
●700万枚/エミネム『CURTAIN CALL:THE HITS』(2005)
●600万枚/50セント『THE MASSACRE』(2005)
●400万枚/カニエ・ウエスト『LATE REGISTRATION』(2005)
●300万枚/ブラック・アイド・ピーズ『MONKEY BUSINESS』(2005)

【2006年】
該当なし

【2007年】
●カニエ・ウエスト『Graduation』(2007)

【2008年】
●600万枚/リル・ウェイン『THA CARTER,VOL.3』(2008)
●300万枚/カニエ・ウエスト『808s & Heartbreak』(2008)


絶大な人気を誇るリル・ウェインのカーターシリーズ

【2009年】
該当なし

【2010年】
●300万枚/エミネム『RECOVERY』(2010)
●300万枚/カニエ・ウエスト『My Beautiful Dark Twisted Fantasy』(2008)
●300万枚/ニッキー・ミナージュ『PINK FRIDAY』(2010)

【2011年】
●600万枚/ドレイク『TAKE CARE』(2011)
●500万枚/ジェイ・Z&カニエ・ウエスト『Watch the Throne』(2011)
●500万枚/リル・ウェイン『Tha Carter IV』(2011)

【2012年】
●300万枚/ケンドリック・ラマー『Good Kid, M.A.A.D City』(2012)

【2013年】
●400万枚/エミネム『THE MARSHALL MATHERS LP 2』(2013)
●400万枚/ドレイク『NOTHING WAS THE SAME』(2013)

【2014年】
●300万枚/J.コール『2014 Forest Hills Drive』(2014)

【2015年】
該当なし

【2016年】
●600万枚/ドレイク『VIEWS』(2016)
●300万枚/ポスト・マローン『Stoney』(2016)


ドレイクは現在最も人気があるアーティストの一人

【2017年】
●300万枚/ケンドリック・ラマー『Damn』(2017)


ヒップホップファン以外にも受け入れられたケンドリック・ラマー

【2018年】
●500万枚/ドレイク『Scorpion』(2018)
●400万枚/ポスト・マローン『Beerbongs & Bentleys』(2018)
●300万枚/カーディ・B『Invasion of Privacy』(2018)
●300万枚/トラヴィス・スコット『Astroworld』(2018)
●300万枚/XXXテンタシオン『?』(2018)


ドレイクをFeat.したトラヴィス・スコット

【2019年】
●400万枚/ポスト・マローン『Hollywood’s Bleeding』(2019)


ジャンルレスなポスト・マローンも絶頂期にある

【2020年】
●300万枚/リル・ベイビー『My Turn』(2020)







*セールス枚数はRIAA(全米レコード協会)などのデータを参考
*この記事は2018年3月に公開されたものを最新データに更新しました。

【執筆者の紹介】
■中野充浩のプロフィール
https://www.wildflowers.jp/profile/
http://www.tapthepop.net/author/nakano
■仕事の依頼・相談、取材・出演に関するお問い合わせ
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