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20世紀最高峰のメッセージソング「What’s Going on」の誕生秘話

2021.02.06

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1954年3月から5月にかけてフランス領インドシナ北西部のディエンビエンフーで第一次インドシナ戦争中最大の戦闘があった。
“ディエンビエンフーの戦い”と呼ばれたその戦いは、ベトナム人民軍とフランス軍合わせて約1万人の戦死者を出す。
同戦争の大きな転機となり、フランスはベトナム撤退を余儀なくされることになる。
1959年から1960年にかけて、南ベトナムで始まった米国及びゴ・ディン・ジェム政権に対する武装闘争は、1960年12月の南ベトナム解放民族戦線の結成を機に、政府軍との本格的交戦に突入した。
ケネディ米大統領は特殊部隊4000人の派遣を決定。
1964年8月、ケネディ暗殺後に米大統領に就任したリンドン・ジョンソンは、トンキン湾での米艦艇に対する北ベトナム軍の攻撃(トンキン湾事件)を利用して米議会の戦争拡大支持を取り付ける。
そして…翌1965年2月7日、17度線北方のドンホイ爆撃をもって北ベトナム爆撃(北爆)に踏み切り、最大54万人の兵力を南部に投入。
そう…2月7日は、アメリカがベトナムに対して本格的に軍事介入をし始めた日として知られている。




ねぇ母さん
たくさんの人たちが涙を流しているよ
兄弟たちが次々と死んでいくよ
僕たちの手でなんとかしないと
ここに今、愛をもたらすために

ねぇ父さん
これ以上戦争の被害を広げないで
戦争は何も解決してくれない
愛だけが憎しみに勝つ
何とかして見つけだそう
この世界に愛をもたらす方法を



──1970年3月16日、マーヴィン・ゲイ(当時30歳)にとって最高のデュエットパートナーだったタミー・テレル(当時24歳)が、脳梗塞によってこの世を去る。
タミーの死後、彼はショックから立ち直ることができず、しばらく隠遁生活を送っていた。
対人恐怖症に陥り、自宅に引きこもり、所属していたモータウンレコードへの不信感も募り、薬物依存への道を辿ってゆく。
モータウンの創業者ベリー・ゴーディの姉にあたる17歳年上のアンナと21歳の時に結婚して、幸せと成功を掴んだ彼だったが…すでにこの頃は夫婦関係も冷めていたという。

「What’s Going On」の制作を始める少し前のこと…
彼は人前で歌うことを拒否することによって、ショービジネスの世界のプレッシャーから精神的に逃れようと考えていたという。
しかし、音楽的には実験し成長を続けた。
彼は、そのキャリアにおいて初となるアーティストのプロデュース業を始める決意をしたのだ。
まずは自分自身をプロデュースするのではなく、モータウンのグループ“オリジナルズ”を手がけることとなる。
最初のプロデュース作「Baby I’m For Real」は、1969年の終わりにソウルチャートで1位を、そしてポップチャートでは14位を記録した。


「将来なにをやろうか色々考えてみて、まず僕は自分の過去を検証しなければと思った。オリジナルズを聴いたとき、彼らの可能性に興奮した。4人の違った声のために曲を書くアイディアが溢れてきたんだ。」

不思議な話だが、彼は「Baby I’m For Real」をすでに心が離れてしまっていた妻アンナと共作しているのだ。
なぜ一緒に曲を書けたのだろう?

「僕たちは日々、ビンを投げつけるほどの喧嘩を繰り返していた。でも翌日は、出会ったばかりの恋人同士のように愛し合うんだ。喧嘩は僕たちに刺激を与えてくれていたんだ。アンナは僕の音楽のためにいつも力になってくれた。アイディアをくれ、可能な限り僕を後押ししてくれていたんだ。」

彼はオリジナルズのプロデュースを通じて、ハーモニー重視の音楽を突き詰めるようになる。
1970年代初期からのレコーディング技術の劇的な発達により、ヴォーカルの実験的手法も発展した。
1971年初めにリリースされた「What’s Going On」において、彼はハーモニーを自分の声のバリエーションで全トラックを録音する初めてのアーティストとなる。

「僕はアイディアにつまずきながら、ゆっくりと曲を煮詰めていったんだ。歌詞のアプローチにもこだわろうとした。今までのようなラブソングを歌う気分じゃなかったんだ。タミーもちょうど死んでしまったしね…」

彼はタミーの死によって物事を哲学的に捉えるようになり、音楽以外のことにも関心を向けるようになっていった。
愛する者の死が、彼の心に新たなインスピレーションを与えたのだ。
数ヶ月に渡って音楽活動から遠ざかっていた彼は、アルバム『What’s Going On』で復活を果たす。
そのオープニングを飾ったタイトルナンバーは、次世代のスティーヴィー・ワンダー等が切り拓いていくこととなる“ニューソウル”の起点となってゆく。

暴力で僕を抑えつけないでくれ
話し合えばきっとわかりあえる
ねぇ、いったい何が起こっているの?
この世界はどうなっているの?何が起こっているの?
ねぇ、世界はどうなっているの?



歌詞は、ベトナム戦争に従軍していた彼の弟フランキーから送られてきた一通の手紙が、この曲のモチーフとなったという。
その手紙には、戦地で見た地獄のようなありさまが切々と綴られていた。
悲惨な殺戮が繰り返される戦争や理不尽な問題に対して「この世界はどうなっているの?何が起こっているの?」と力強く問いかけるリフレインに重ねて、彼はすさんだ人々の心に愛を甦らせようと呼びかけた。

「僕は音楽的に、自分自身の道を歩まなければならないと悟ったんだ。モータウンという会社の姿勢は、とてもじゃないが息苦しい。弟のフランキーがベトナムから帰ってきて色んな話をしてくれた。そして僕の血は煮えたぎり始めたんだ。怒り、エネルギー、アーティストとしての視点が生まれてくるのがわかった。」

この歌の作詞・作曲者のクレジットには、マーヴィン・ゲイの他にモータウンのスタッフだったアル・クリーヴランド、そして人気グループ“フォー・トップス”のレナルド・ベンソンが名を連ねている。
共作者のベンソンは、当時サンフランシスコで反戦運動を行っていた若者と警官隊の衝突を目撃し、それを元に歌詞を書き始めていた。
そして、クリーヴランドの協力を得て曲にまとめようとしていたが…この時点ではタイトルも決まっていなかったという。
当時、その曲を聴いたマーヴィン・ゲイが“What’s Going On”というフレーズ(曲名)を考え、歌詞を追加し、更にメロディーの装飾を加えて楽曲が完成した。
リリースから程なくして初回プレス盤10万枚はすぐに売り切れ、当時(1971年)のモータウンにおいて最速の売り上げを記録した。


アルバムのジャケットに写る彼は“モータウンの貴公子”と呼ばれた60年代の頃の雰囲気とは違っていた。
冷たい雨に打たれながら遠くを見つめ、思索的な表情を浮かべる髭面の男。
彼は自ら初めてプロデュ-スをしたアルバムに、深刻な社会問題に対するメッセージソングを収録した。


<引用元・参考文献『マーヴィン・ゲイ物語 引き裂かれたソウル』デイヴィッド・リッツ(著)吉岡正晴(翻訳)/スペースシャワーネットワーク>




こちらのコラムの「書き手」である佐々木モトアキの音楽活動情報です♪
宜しくお願い致します。




【佐々木モトアキ×山口ヨシトValentine’s Day Special 2021 in 佐賀】
2月14日(日)佐賀LIVE BAR雷神
↓チケットご予約&公演詳細はこちら
https://ameblo.jp/sasakimotoaki/entry-12651575418.html





【山部“YAMAZEN”善次郎×佐々木モトアキ ダブルネーム弾き語りTOUR
“ちょっと長い関係の歌旅2021”】


2月20日(土)福岡 Bassic.  
2月21日(日)札幌 Beggars Harlem 
2月27日(土)新潟 Live Bar Mush
2月28日(日)下北沢 Laguna(限定20名入場可+配信ライブ)
3月12日(金)久留米 農と音
3月13日(土)熊本・八代 7th chord 
3月14日(日)大牟田 陽炎
3月16日(火)行橋 Memphis
3月18日(木)東広島 pasta amare  
3月19日(金)大阪 新世界ヤンチャーズ
3月20日(土)静岡・御前崎 Cook House椿
3月21日(日)名古屋 ROLLINGMAN
4月2日(金)仙台 ホームラン酒場  
4月3日(土)山形 ヱレキ酒場オリハント 
4月4日(日)秋田 カウンターアクション 
4月8日(木)長崎 R-10 
4月10日(土)和歌山 OLD TIME
4月11日(日)所沢 音楽喫茶モジョ 
4月12日(月)横浜 Bar Take’s
4月15日(木)小郡 ジラソーレ〜8周年記念スペシャルライブ〜
4月16日(金)愛媛 スタジオOWL
4月17日(土)徳島 デラシネ
4月18日(日)高知 A’bar
4月21日(水)福岡 Bassic.(限定15名入場可+配信ライブ+TOUR総括スペシャルトーク&スライドショー)


↓チケットご予約&公演詳細はこちら
https://ameblo.jp/sasakimotoaki/entry-12634659162.html





新作ミニアルバム『You』のタイトルナンバー「You」のミュージックビデオです♪
映像編集、ポートレート(写真)撮影共に、佐々木モトアキ本人が手掛けております。
とてもシンプルな技法ですが、何よりも登場する皆さんの表情が素敵です✨
人が“目を閉じている”表情。
その“瞼(まぶた)に浮かんでいる”誰かの顔。
繋がってゆく“一人ひとりの想い”が、100通りの、いや1000通りのドラマを描いてくれています。





佐々木モトアキ
執筆、動画編集、音楽・食・商品・街(地域)に関わるPRなどなど…様々なお仕事承ります。

例えば執筆・編集のお仕事として、、、
「ロック」「ジャズ」「ブルース」「R&B」「シャンソン」「カントリーミュージック」「フォークソング」「歌謡曲」「日本の古い歌」など、ほぼオールジャンルのページ企画・特集に対応いたします。
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音楽以外のライティングとして、WEBページの作成・リニューアル、各種パンフレット作成に伴う「店舗のご紹介」「メニューご紹介」「企業・会社のご紹介」「商品のご紹介」などなど様々なPRに関わるお仕事も承ります。


音楽、人、食、商品、街(地域)…私たちが関わるものすべてには“ものがたり”があります。
あらゆるものに存在する、ルーツや“人の想い”を伝えながら「誰が読んでもわかりすい読み物」をお作りいたします✒︎
お気軽にご依頼のご相談・ご連絡ください♪
sasa@barubora.jp
090-2669-2666

【佐々木モトアキ プロフィール】
https://ameblo.jp/sasakimotoaki/entry-12648985123.html

【TAP the POP佐々木モトアキ執筆記事】
http://www.tapthepop.net/author/sasaki

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