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ザ・バンドの名曲「ザ・ウェイト(The Weight)」のカヴァーを世界中の音楽家が唄って演奏するヴィデオ

2019.10.10

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ロビー・ロバートソンがリンゴ・スターやマーカス・キング、ルーカス・ネルソン、そして日本を代表するギタリストのCharなどのアーティストを迎えて、ザ・バンドの名曲「ザ・ウェイト(The Weight)」のカヴァーを演奏したミュージック・ヴィデオが公開されている。

一連のカヴァー曲による“Playing for Change(プレイング・フォー・チェンジ)”のシリーズは、国境や人種、宗教の壁や隔たりを越えて、音楽のチカラで世界に活気や平和をもたらすためのチャリティー・プロジェクトである。
かれこれ10年近く前から始まったものだが、「スタンド・バイ・ミー」から始まって今も継続している。
日本では大和証券グループのCMとして、期間限定で「上を向いて歩こう」が流れて有名になったこともある。



今回の映像はドラムセットに座っているリンゴ・スターが電話で、冗談混じりに「キーは何だい、ロビー?」と訊くシーンで幕が開く。
そして1967年にこの曲をつくったロビー・ロバートソンが、ギターでイントロを弾くところから曲が始まる。

続いてはブルース・ギタリストのマーカス・キングによる歌へと受け継がれて、そこから世界の5大陸にまでつながっていく。

このプロジェクトを起ち上げたプロデューサーのマーク・ジョンソンは、ローリング・ストーン誌にこう語っていた。

「ロビーから始まり、ひとりひとりのレコーディングを別々に行なっていきました。そうしてこの特別な曲が出来上がったんです。彼ら全員をスタジオに集めることは到底できませんでしたから」



毎回そうなるのだが参加ミュージシャンは多種多様で、今回もコンゴ人ソウル・シンガーのマーマンズ・モセンゴ、イタリア人ギタリストのロベルト・ルッチ、アメリカのテネシー州を拠点にする姉妹デュオのラーキン・ポー、バーレーン人ギタリストのアリ・ボウララ、ウルグアイ出身のパーカッショニスト兼シンガーのソル・ホーマー、ウクレレ奏者でハワイ出身のタイマネ・ガードナ、ニューオーリンズを拠点とするピアニストのKEIKO KOMAKIなどが出演している。

エンジニアも兼ねるマーク・ジョンソンは移動式レコーディング・システムを作り、10ヶ国以上を旅しながらレコーディングを行なっていた。

完成した作品について、マーク・ジョンソンはこのように述べていた。

「リンゴとロビーがこのプロジェクトの存在意義に生気を与えてくれたんです。人生の中で、何百万という人々をインスパイアするような何かができるっていうね。彼がドラムを演奏した時、私たちの新たな扉が開かれました。なぜなら、その音はオリジナルの‘The Weight’ にはなかったもので、私たちにこのユニークな新ヴァージョンを作るきっかけを与えてくれた」


なお今回、マーク・ジョンソンと共同でプロデュースしたのは、ロビーの長男であるセバスチャン・ロバートソンだった。
セバスチャンはミュージシャンやエンジニア、音楽に関する本の執筆、映画音楽などの作曲でも活躍しているが、2018年に公開されたボブ・ディランの「見張塔からずっと(All Along The Watchtower)」のカヴァー・パフォーマンスを見て、父とともに感銘を受けたことがあったという。

そのことがきっかけとなってプロデュースに加わったのだから、ここでもやはり作品を通じて人と人がつながっていたことになる。



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