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季節(いま)の歌

祈りの歌〜新・相馬盆歌

2020.08.13

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お盆です。
お盆とは、「盂蘭盆会・うらぼんえ」を略した言葉。
盂蘭盆会とはサンスクリット語のウラバンナ(逆さ吊り)を漢字で音写したもので、 転じて「逆さまに釣り下げられるような苦しみにあっている人を救う法要」という意味です。
わが国では推古天皇の14年(西暦606年)に、はじめてお盆の行事が行われたと伝えられています。
各地の風習によって多少異なってきますが、この時期には霊(精霊・しょうりょう)が灯かりを頼りに帰ってくるといわれており、祖先の魂を迎えることを目的としています。
先祖や亡くなった人達が苦しむことなく「成仏してくれるように」と、私たち子孫が報恩の供養をする“祈りの期間”なのです。

今回はTAP the POPでもおなじみの山口洋さん(HEATWAVE)が、自身のBLOGに綴られた「新・相馬盆歌」への想いをご紹介します。



♪「新・相馬盆唄」/遠藤ミチロウ+山口洋



「相馬盆歌」についてアイデアが僕にもたらされたのは2013年の3月11日、福島県いわき市にて。
遠藤ミチロウさんからでした。
いわく、相馬盆歌は福島県の浜通り、中通りでは広く盆の歌として浸透している。
未だ家に帰れない仮設暮らしの方々もこの歌を聞くとぐっと、いろんな感情がこみ上げてくる。
この歌で福島を繋ぎたいから手伝って欲しいとのことでした。
何と云っても、僕の本分である音楽で貢献することができる。
それが嬉しかったのです。
とはいえ、いろいろな困難があったのですが(ものすごく中略)、夏にはミチロウさんと相馬で鎮魂の「相馬盆歌」を演奏することができました。

この曲は云うまでもなく福島県相馬地方の民謡です。
それを僕が生まれる前にヒットさせたのが三橋美智也さん。
間奏のフレーズなんかはこのヴァージョンを参考にしました。


♪「相馬盆唄」/三橋美智也



僕が初めてこの曲を知ったのは2011年6月。
相馬市の「はまなす館」で行った僕らのプロジェクトによる「美空ひばり・フイルムコンサート」でのことでした。
僕のともだちである加藤和也くんが相馬の人々のために、膨大な母上のフイルムライブラリーの中から、「相馬盆歌」をツイストで、しかもブラジルで歌っているものを探し出してきてくれたのです。


♪「相馬盆唄」/美空ひばり―幻のブラジル公演より(4:14〜)



CHABOさんも僕も日本の民謡を演奏することは「ほぼ」ありません。
でも初めてこの曲を二人で演奏したとき、互いの血の中に何かがあるのを発見したのです。
ブルースなのか、祈りなのか。
具体的に言語化はできないけれど、二人にとってそれは新鮮な驚きでした。
その音楽の中に込めた想いは語りません。
見てくれた人の数だけ受け止め方はあると思うからです。
ただ、もし何かが伝わったなら、誰かに伝えてくれませんか?
拡散に協力してくれませんか?
僕はミチロウさんの想いを、そしてこの曲を世界に広めたいと思っています。
福島が忘却の彼方に霞んでいく今、「NO」と云って中指を立てるのではなく、世界からスポットをあてるひとつの方法だと思うからです。
どうぞ、よろしくお願いします。


♪「新・相馬盆歌」/山口洋+仲井戸”CHABO”麗市




<山口洋Blog・引用元>
ROCK’N’ROLL DIARY 2013年10月9日―新・相馬盆歌、映像公開!!!
■ROCK’N’ROLL DIARY 2013年10月12日―続・相馬盆歌



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大友良英スペシャルビッグバンド
『ええじゃないか音頭』

(2014/ビクターエンタテインメント)
連続テレビ小説『あまちゃん』より空前のヒットを記録した「あまちゃん オープニングテーマ」を音頭化した「あまちゃん音頭」、二階堂和美をボーカルに迎えた「地元に帰ろう音頭」、「プロジェクトFUKUSHIMA!」から生まれた「ええじゃないか音頭」(唄:遠藤ミチロウ、長見順)、そして福島県在住の遠藤知絵さんが歌う「新生相馬盆唄」など全6音頭を収録。振付けには「アセロラ体操」などを手がけた「珍しいキノコ舞踊団」や、ラッキー池田、「潮騒のメモリー」「地元に帰ろう」の作曲者でもあるSachiko Mなどが参加。町内会のお祭りに運動会、海に山に、この1枚があればどこでも盆踊り!

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