季節(いま)の歌

落ち葉の歌〜日本人好みの哀愁メロディ

2014.10.19

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秋も深まってきました。
そろそろ紅葉〜落ち葉の季節ですね。
まるでパッチワークのように山の色が赤や黄色に色づいて…物悲しくも美しく散ってゆく木々の葉。
それらはやがて昆虫、微生物の糧となります。
小さな生物達によって分解された落ち葉は腐葉土となり、再び栄養として森の木々に吸収されます。
ふかふかの腐葉土は雨水を貯め、山から出ていく水の量を一定に保つ働きもしてくれるそうです。
森を彩り森に還り、そして森を守り育てる落ち葉。
皆さんは散りゆく落ち葉を眺めながら…どんな名曲を思い出しますか?


今回の<季節(いま)の歌>はイギリス出身のシンガーソングライター、アルバート・ハモンドが1973年に(日本のみで!)ヒットさせた名曲をご紹介します♪
イギリスやアメリカではシングルカットされなかったのに、日本だけでリリースされた国内盤のジャケットには、こんなキャッチコピーが書かれていた。

「失われた愛の世界に一筋の光を…心暖まる珠玉の名作!!」


♪For The Peace Of All Mankind (落葉のコンチェルト) /アルバート・ハモンド


君は僕をとっても夢中にさせた
それだけは永遠に忘れない
あの時、一晩中君を抱きしめずにはいられなかったんだ…

「ハロー」「グッバイ」
それ以外に言葉はいらなかった
だって僕にはわかっていたんだから
何故かはわからないけど
君はとっても素敵な人だってことが

平和のために
平和のために
すべての人たちの平和のために
行ってくれ 
行って欲しい 
僕の心から消えてしまってくれ
寝室の扉を閉めて出て行ってくれ
そして何事もなかったように…すべてを元に戻してくれ



アルバート・ハモンドが29歳の時に書いた歌だ。
彼は、70年代ポップスを語る時には外せない大ヒット曲「カリフォルニアの青い空」の生みの親である。
世代によっては同じ“親”でも「ザ・ストロークスのギタリスト、アルバート・ハモンドJr.の父親です」と紹介した方がピンとくるのかもしれない。
日本のレコード会社は、この歌の“哀愁漂うメロディ”に目を付け「落ち葉のコンチェルト」という邦題をつけて売り出した。
それは当時の日本の音楽業界では珍しくはなかったことであり、歌詞の内容とはまったく関係なく曲のイメージだけで(勝手に!?)つけたタイトルがベストマッチし“成功”した例のひとつと云えるだろう。


【 ニッポン放送 ポップス・ベストテン 】1973年10月28日付
01.落葉のコンチェルト / アルバート・ハモンド
02.イエスタデイ・ワンス・モア / カーペンターズ
03.悲しみのアンジー / ローリング・ストーンズ
04.太陽のあたる場所 / エンゲルベルト・フンパーディンク
05.さよならを教えて / フランソワーズ・アルディ
06.ママはご機嫌 / ポール・サイモン
07.愛の伝説 / ミッシェル・ポルナレフ
08.キャン・ザ・キャン / スージー・クアトロ
09.小さな愛のワルツ / アンディ・ウィリアムス
10.ウー・ベイビー / ギルバート・オサリバン


♪「It Never Rains In Southern California(カリフォルニアの青い空)」/アルバート・ハモンド


♪「Changing Me」/アルバート・ハモンド feat. アルバート・ハモンドJr. (The Strokes)


それは、この歌が誕生する一年前…1972年の出来事だった。
当時「It Never Rains In Southern California(カリフォルニアの青い空)」をヒットさせ、ポップスシーンで頭角を現していたアルバートは、イギリスのプログレッシヴバンド、The Moody Blues(ムーディー・ブルース)とツアーを組み、各地を廻っていた。
彼が29歳になって間もない頃、いつものようにコンサートを終えて楽屋に戻ると一人の美しい女性が訪ねて来た。
彼女の名前はテリー・ムーア。
1940年代から50年代にかけて活躍した女優である。
ステージを観終えたばかりの彼女は、アルバートに向かってこう言って抱きついたという。

「今まで逢った中であなたが最高の人よ」

当時44歳だった彼女の“大人の魅力”に、アルバートも一瞬で惹かれてしまった。
求め合う二人に、15歳の年齢差など関係なかった。
そして短い恋の季節は去り…二人は別れた。

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ほどなくして、彼は「For The Peace Of All Mankind」という歌を書き上げた。
そのタイトルを日本語で直訳すると「全人類の平和のために」となる。
一見、硬派な反戦歌やメッセージソングと勘違いしてしましそうな、いささか大袈裟な曲タイトルである。
だが内容は彼の実体験が“そのまま”綴られた失恋ソングだった。

あまりにひどく、あまりに突然のことだったから
自分がこんなに打ちのめされてることにも気がつかなかったよ
もっと早く行動を起こしていたら何とかなったかもしれないのに
君がこっそり電話番号を書いた紙をどこかに残していないかとあちこち探し回った
だけど君が残していったものは、指の跡と思い出だけ…


一人の美しい女性に心を奪われた男が、愛するがゆえに彼女の存在自体に悩まされ、彼女を心から消し去ろうと苦しみ、心の平穏を取り戻したいと嘆きもがく…。
彼はそんな未練節を綴った歌詞に、甘くセンチメンタルなメロディを乗せてこの歌を完成させた。
それから40年の歳月が流れ…現在70歳を迎えた彼は、今でも時々ステージに上がりこの曲を歌っているという。
彼女と出会った日のことを思い浮かべているかのように…遠い目をして歌い出す。

You turned me on so bad that there was only one thing on my mind
君は僕をとっても夢中にさせた それだけは永遠に忘れない


♪For The Peace Of All Mankind (落葉のコンチェルト) /アルバート・ハモンド69歳(2013年のLIVE映像)


偶然にも“似てしまった”のか!?
名曲への“オマージュ”だったのか!?
日本ではこんな歌も誕生し、多くの人々に愛され続けている。

♪「Love Love Love」/ Dream Comes True

1995年、CD売り上げ235万1940枚を記録しオリコンシングルチャート第1位を獲得したドリカムの代表曲である。
コンサートでの客席の盛り上がりや、曲の売り上げ実績を考えると、やはりこの甘く切ないメロディは“日本人好み”なのだろう。
落ち葉の季節には、哀愁漂うセンチメンタルなメロディがよく似合う…。

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アルバート・ハモンド『Greatest Hits』

1996/Epic Europe)


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