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エルヴィス・プレスリー~7年ぶりのステージで復活を遂げた伝説のロックンロール・スター

2015.12.03

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メンフィスの田舎から瞬く間に全米の頂点へと昇りつめた男、エルヴィス・プレスリーがアメリカ陸軍に徴兵されたのは1958年3月のことだった。

当時のアメリカでは徴兵制が敷かれており、それは大スターとて例外ではなかったのだ。

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およそ2年間の軍役を経て1960年3月2日に除隊すると、エルヴィスはすぐに音楽活動を再開し、翌月にはいきなり全米シングルチャート1位を獲得、その人気が健在であることを証明してみせた。

しかし、エルヴィスはこの頃から路線を変更し、俳優業に専念するようになる。
エルヴィスのスター性を高く評価していたマネージャーの“パーカー大佐”ことトム・パーカーが、エルヴィスを不良のイメージが付きまとうロックンロールのスターから、映画でしか見ることの出来ない雲の上の存在に仕立てあげようとしたのだ。

パーカーの狙い通り、映画の興行成績もエルヴィスの歌が入ったサウンドトラックの売上も好調な数字を記録する。
コンサート業は1961年を最後に封印、エルヴィスが観客の前に姿を見せることはなくなった。

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ロックンロールのスターを失った若者たちは、フォーク・ブームの中から頭角を現したボブ・ディランという新たなスターを支持するようになる。
そして1964年にはイギリスからやってきた4人組、ビートルズに全米の若者が熱狂、アメリカをとりまく音楽シーンは目まぐるしく変化していった。

一方で、エルヴィスの俳優業は出だしこそ好調だったものの、その後はヒット作に巡りあえず下降の一途を辿っていた。
かつて全米チャートを賑わせていたレコードも、およそ半分が50位にも入らないという、目も当てられない結果になっていた。

そんなエルヴィスが音楽シーンへの復活を遂げたのは、西海岸でヒッピー・ムーブメントが全盛を迎えていた1968年のこと。

俳優業に行き詰まりを感じたエルヴィスとパーカーは、3大ネットワークの1つであるNBC(ナショナル・ブロードキャスティング・カンパニー)と交渉し、クリスマスシーズンの特番としてエルヴィス・プレスリーの復活ライブを企画した。
撮影は6月末、カリフォルニア州バーバンクにあるスタジオに観客を入れ、2日間で2回ずつ、計4回のステージが行われた。

7年ぶりに観客を前にしてエルヴィスが最初に歌ったのは、デビュー曲の「That’s All Right」だ。
エルヴィスはブランクを感じさせないどころか、7年間の抑圧で蓄積させたエネルギーを爆発させるような、最高のパフォーマンスをみせた。



その模様が12月3日に放送されると平均視聴率42%、瞬間最高視聴率70%を超える驚異的な数字を叩き出す。
人々はロックンロールのスターを忘れていたどころか、ずっと戻ってくるのを待ちわびていたのだ。
翌1969年からはコンサート業を再開、エルヴィスは暗黒時代を抜けだして新たなスタートを切るのだった。



Elvis Presley『The Complete ’68 Comeback Special』
Sonybmg

(このコラムは2014年9月23日に公開されたものです)

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