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海外のパフォーマンスを取り入れて昇華させた忌野清志郎

2014.11.18

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1978年にアコースティックからエレクトリックへと路線を変更したRCサクセションは、忌野清志郎のグラムロックを彷彿とさせる派手な化粧と、エネギッシュでソウルフルなパフォーマンスが注目を集めてライブの動員が急速に増えていった。
1981年には武道館公演を成功させるなどして、押しも押されもせぬ日本のロックバンドへと登りつめた。

そんなRCサクセションのステージでは様々なところから、海外のミュージシャンからの影響を垣間見ることができる。

例えば観客に呼びかける有名なフレーズ、「愛しあってるかい?」は清志郎が敬愛するR&Bシンガーのオーティス・レディングが、ショーの合間に観客に呼びかけた「We all love each other, right ?」の日本語字幕からきている。
伝説のモンタレー・ポップ・フェスティバルの映画が上映された時、清志郎はフィルムでそれを観て完全にノックアウトされたのだ。

まいったよ。おいらが夢に描いていた音とショーが、そっくりそこにあったんだからな。曲と曲の合間にヤツベラベラッて言うんだ。『愛しあっているかい』ってね。すげえカッコ良くってさ。脳天に雷でも落ちたみたいにビビッと感じたよ。(注)


ステージの後半でスタッフにマントを掛けられて退場するも、何度でも戻って見事な復活を遂げる通称“マント・ショウ”は、“ソウルのゴッドファーザー”こと、」ジェームス・ブラウン(以下JB)がプロレスからヒントを得て生み出したパフォーマンスだ。
詳しくはこちらのコラムをご覧ください

しかも忌野清志郎はこのマント・ショウを、独自に発展させて日本人ならではの布団ショウを編み出す。
ステージに敷かれた布団で寝るという仰天のパフォーマンスは、笑いと歓声を巻き起こして見事に観客の心を掴んだのだ。



1994年に姫路城で開催された「SAVE THE WORLD HERITAGE CONCERT」では、忌野清志郎に“そっくり”なZERRY率いるタイマーズが、憧れのJBと同じステージに立った。その日、そのステージではマントではなく“ござ”が使われた。

ZERRYがマイクスタンドを倒しては足で踏んで元に戻しながら(これもJBの代表的なパフォーマンスの1つだ)、「捕まらないぜ~♪」と歌い続けていると、ござを掛けられて退場させられそうになる。
その様子はさながら、布を被せられた容疑者のようだ。
“ござ”を振り払ったZERRYはステージ中央に戻って、再び「捕まらないぜ~♪」と歌い出す。


そんな忌野清志郎が、虹を渡って銀河系遥か彼方への長い旅に出たのは2009年5月2日。
その1週間後には青山葬儀所で、アオヤマロックン・ロール・ショーが開催された。
そのステージ中央のマイクには、緑に輝くマントがかけられていた。


(注)引用元・「愛しあってるかい DELUXE EDITION RCサクセション」 (宝島COLLECTION)

『愛しあってるかい DELUXE EDITION RCサクセション (宝島COLLECTION)』(単行本)
宝島社; 改訂復刻版 (2009/6/27)

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