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進化と退化を体現するディーヴォの、シニカルでエネルギッシュなパフォーマンス

2015.02.10

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パンクムーブメント吹き荒れる1970年代後半にデビューし、それまでにないサウンドと世界観、パフォーマンスで異彩を放ったバンド、ディーヴォ。

ディーヴォとは“De-evolution”、すなわち退化を意味しているが、バンド創始者の1人であるジェリー・キャセールがこの概念を持って作品を作り始めたのはバンドがデビューするはるか以前、1960年末まで遡る。

オハイオ州ケント州立大学で美術を専攻していたジェリーは、アメリカ社会における人間の退化をテーマにしたアート作品を作っていた。
“進化”と“下降”を組み合わせた“De-evolution”という造語は、「人間は進化した生き物ではなく、退化した生き物だ」という風刺めいた言葉遊びに過ぎなかったが、それが許しがたい現実として突きつけられたのは1970年5月のことだった。

その日、大学構内でベトナム戦争に対する抗議運動をしていた学生らに対し、州兵が発砲して4人が死亡するという事件が起きたのだ。しかも、そのうちの2人はジェリーの友人だった。
理性も判断力も失い、命令されるがままに学生に向かって発砲した州兵は、まさに「退化」した人間だった。
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その後、ジェリーは友人のマーク・マザーズボウらとディーヴォの前身バンド、セクステット・ディーヴォを結成すると1973年頃から活動を開始させる。
シンセサイザーを前面に押し出した未来的なサウンドと、「退化」した人類を象徴したような機械的な動き、画一化された衣装、さらにはメンバーが様々なキャラクターを演じることで、ディーヴォは独自の世界を築き上げていった。



メンバー変遷を繰り返した末、1976年頃からディーヴォとして本格的に活動をスタートさせると、それまでにない新しいサウンドとシニカルなパフォーマンスで、デヴィッド・ボウイやニール・ヤングをはじめとしたアーティストから高い評価を受け、ついには大手レコード会社のワーナー・ミュージックとの契約を果たした。

1978年にリリースしたディーヴォの1stアルバム『Q: Are We Not Men? A: We Are Devo!』はイギリスで12位、ニュージーランドで7位など、海外でチャートインする一方、アメリカ国内では78位と今ひとつ振るわない結果となった。
多くのアメリカ人にとって、彼らの奇妙で前衛的なパフォーマンスは受け入れられなかったのである。

Are_We_Not_Men_We_Are_Devo!

そんなディーヴォがアメリカでも支持を集めるようになったきっかけの1つが、1979年10月に出演した人気テレビ番組「ドン・カーシュナーズ・ロック・コンサート」でのパフォーマンスだった。
このとき、ディーヴォはバンドサウンドを前面に押し出し、楽曲のテンポもレコードに収録されているバージョンから大幅に引き上げてステージに挑んだ。
つなぎを身にまとい、目をシルバーのアイマスクで覆い隠した彼らは、無表情のまま、まるでパンクの衝動的なエネルギーを取り入れたかのような激しいパフォーマンスを披露してみせたのだ。



これを機にアメリカ国内でもファンが増え始め、翌年にリリースされた3枚目のアルバム『Freedom of Choice』は100万枚以上を売り上げてプラチナレコードを獲得、バンドはさらなる飛躍を遂げるとともに、のちのミュージシャンたちに多大な影響を与える存在となっていく。

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