TAP the LIVE

ザ・バンドらしくない終わり方から始まったセッション、そして最後のステージ

2015.12.01

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ザ・バンドが長きに渡るツアー生活に終止符を打つために、開催されたのが「ラスト・ワルツ」だった。

そのフィナーレはボブ・ディランやニール・ヤング、ヴァン・モリソンといったその日の出演者たちに、リンゴ・スターとロン・ウッドを加えた、豪華絢爛な「アイ・シャル・ビー・リリースト」で幕を閉じた。

6時間以上に及ぶコンサートがようやっと終わったときには深夜1時を回っていた。
しかし、ドラムのリヴォン・ヘルムは自伝でこのときの心情をこう綴っている。

「アイ・シャル・ビー・リリースト」が終わったとき、ザ・バンドらしい終わりかただという気がしなかった。


次々とゲストが退場していく中で、リヴォンとリンゴ・スターの目が合った。
ふたりがドラム同士によるセッションが始めると、それを聞いたメンバーやゲストが次々とステージに戻ってきた。

リヴォンが語ったように、「アイ・シャル・ビー・リリースト」がザ・バンドの最後としてふさわしいかというと、いくらか物足りない部分があったと感じていたゲストもいたのだろう。

セッションにゲストが加わって、気がつけば30分ほどになっていた。


自由気ままに音楽を楽しんで満足したのか、やがて彼らは観客に別れを告げてステージから降りていった。
しかし観客の興奮が冷める気配は全くなかった。

鳴り止まないアンコールを求める歓声に応えるべく、ザ・バンドの5人が再びステージに上がった。
そして最期の最後に演奏したのは、マーヴィン・ゲイが1964年に放ったヒット曲「ドント・ドゥー・イット」だった。

「ベイビー・ドント・ユー・ドゥー・イット」を、ザ・バンドは1969年頃からライブで取り上げるようになった。
ロビーによれば、ショーの始めや中盤、時には終わりでも取り上げてきた曲だが、このときは流れで決めたという。

「カバー・ソングはあまりやらなかったが、これはその中の1曲で長年歌っていた。
いつの間にか自然に僕たちのレパートリーのひとつになっていた」


1959年にロニー・ホーキンスのバック・バンドとして巡りあった5人の、17年にも及ぶ長い旅はこうして幕を閉じた。

コンサートでは最後の演奏となった「ドント・ドゥー・イット」だが、映画『ラスト・ワルツ』では冒頭で流れる。
最初に結末を見せるというのは映画で時折みられる手法だが、その効果についてロビーはこう話している。

「最後の曲を映画の冒頭に持ってきた理由は、その場の雰囲気を伝えるためだと思う。
ここまで辿り着いた僕たちのすべてがにじみ出ている」


そこからコンサートの最初に戻り、映画の『ラスト・ワルツ』は幕を開ける。

なお、ザ・バンドはロビーを除くメンバーで1983年に再びツアーに出ることになる。
だが5人揃ってのステージは、これで見納めとなったのだった。



ザ・バンド『ラスト・ワルツ』
Rhino

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