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ピート・タウンゼント~偶然から生まれたライブ・パフォーマンス

2013.10.29

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1964年の7月、ザ・フーは念願のレコードデビューを果たし、イギリスでは少しずつ頭角を現していた。

そして9月8日、ロンドンの北西に位置する小さな鉄道ホテルで行われたザ・フーのライブ。
手を伸ばせば天井に手がつくほどの狭い空間で、その後のザ・フーを決定づける事件が起きた。
ライブ中にピート・タウンゼントが誤ってギターを天井にぶつけてしまったのだ。
大事なギターに傷がついてショックを受けたピートだったが、それ以上にショックだったのは客がそのことを全く気にかけていないことだった。

「俺は頭にきてこの大事件を客にアピールすることに決めた。そう、思いっきりギターをぶっ壊すことにしたんだ。」

ライブで派手にギターを壊したバンドの噂は徐々に広がっていき、ピートのパフォーマンスはギターを壊すだけにとどまらず、腕を大きく回してギターを弾く通称“風車弾き”を発明したりと、いっそう派手になっていった。

ピートにとってそれは、未熟なギターの腕を補うための手だった。
空き時間の全てをソングライディングに費やしていたのでギターを練習する時間がなく、ライブを盛り上げるにはテクニックよりもパフォーマンスに頼らざるを得なかったのだ。

ライブの最後でピートがギターを叩きつけ、キースがドラムを放り投げて締めくくるのは「My Generation」というのが、ザ・フーのお決まりとなった。

その攻撃的なライブ・パフォーマンスが注目されて、翌1965年にリリースされた1stアルバム『My Generation』は全英チャート4位まで上昇し、イギリス随一のライブバンドとして世界に知られていく。


The Who / My Generation

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