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星条旗を逆さまにしてスタジオを追い出されたレイジ・アゲインスト・ザ・マシーン

2016.07.05

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過激なメッセージ性を帯びたラップと強靭なサウンドを合わせたミクスチャーロックで、1990年代のロック・シーンに革命をもたらしたレイジ・アゲインスト・ザ・マシーン(RATM)。

バンドが結成されたのは1991年。
新しいバンドのメンバーを探していたギターのトム・モレロは、ボーカルのザック・デ・ラ・ロッチャが放つ痛烈なメッセージに心を打たれ、一緒にバンドをやらないかと誘う。
2人はベースにティム・コマフォード、ドラムにブラッド・ウィルクを加え、バンド名はザックが以前のバンドで書いた曲名から取ってレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンとなった。

彼らの存在はデビューの時から衝撃的だった。
1992年11月にリリースした1stアルバム『レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン』は、ジャケットに焼身自殺する僧侶の写真を使用されたことでも話題になり、300万枚以上を売り上げる驚異的な大ヒットを記録する。



それから4年後の1996年4月、待望となる2ndアルバム『イーヴィル・エンパイア』をリリースしたRATMのもとに、アメリカの人気番組「サタデー・ナイト・ライヴ」から出演依頼が舞い込んだ。

1975年から続くこの番組は、コメディと風刺を織り交ぜながら毎回多彩なゲストが登場するのだが、RATMが出演する回でホストを務めることになったのは、フォーブス誌の社長で大統領予備選に出馬中のスティーヴ・フォーブスだった。

そのことを知ったメンバーは、ギターアンプとベースアンプのところに星条旗を逆さまにして星条旗を掲げることを決める。
アメリカにおいて星条旗を逆さまにするのは“エマージェンシー”を意味し、フォーブスに投票するのは危険だ、というRATMからの警告だった。

4月13日の夜11時半頃。
生放送は中盤に差し掛かり、出番を目前に控えたRATMはステージでセッティングを終えた。
そしてカウントダウンが始まる。
25、24、23…

そのとき、バンドのクルーがステージに入り、アンプのところに星条旗を逆さまに吊るした。
何も知らされていなかった番組スタッフは血相を変え、「旗を外せ」と怒鳴りながらステージに上がり込む。
カウントダウンが進む中、番組のスタッフとバンドのクルーによる取っ組み合いとなり、すんでのところで旗は退けられてしまった。
5、4、3、2、1…

「レディース・アンド・ジェントルメン。レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン」

フォーブスが何事もなかったかのように紹介し、RATMは苦渋の中で「ブルズ・オン・パレード」の演奏を始めた。



演奏を終えたRATMは一旦ステージを降りる。
数分後には再びステージに上がり、2曲目の「バレット・インザ・ヘッド」を演奏する予定だった。
ところがステージ裏で彼らを待っていたのは番組プロデューサーからの「すぐにスタジオから出て行け」という言葉だった。

旗を外された上に出て行くように言われて、ベースのティムは不満を爆発させ、退けられていた旗を掴んで引き千切ると、そのままフォーブスの控室に突入し、ボロボロになった旗を投げつける。

RATMはたったの1曲演奏しただけでスタジオを追い出され、その後2度と番組に出演することはなかった。

後日、トム・モレロはファン・クラブを通じてこの事件に触れ、SNLのメンバーやスタッフは「俺たちの行動に共感し、RATMのパフォーマンスを規制した事を恥じていた」と語った。
また、別のインタビューでは、企業主に逆らうことはできず、表現の自由はその範囲でしか保証されていないことを番組は自ら証明したと言及した。

「もし連中が俺たちの行動に少しでも理解を示していたなら、旗を逆さまにした俺たちに感謝していると思うよ」



Rage Against the Machine『Evil Empire』
Sony

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