街の歌

大阪で生まれた女〜30分を超える歌物語をヒット曲に導いたのはロック界の大物だった!〜

2015.06.14

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1979年、当時25歳だったBOROはシングル「大阪で生まれた女」で歌手デビューを果たす。
きっと40代から50代の大阪人にとっては、今でも思い入れの強い楽曲の一つだろう。
オリジナルの歌詞が18番まである曲で、まともに歌うと30分を超える大作としても知られている。
1番から16番までに男女の恋物語が綴られ、最後の17番と18番ではBOROの人生観が語られている。
当時シングル盤にされたバージョンは、その中でも情景描写が秀逸な4番と6番の歌詞を中心に構成されていた。

♪「大阪で生まれた女」/BORO
スクリーンショット 2015-06-01 9.44.46

踊り疲れたディスコの帰り
これで青春も終わりかなとつぶやいて
あなたの肩をながめながら
やせたなと思ったら泣けてきた
大阪で生まれた女やさかい
大阪の街よう捨てん
大阪で生まれた女やさかい
東京へはようついていかん
踊り疲れたディスコの帰り
電信柱にしみついた夜

たどりついたら一人の部屋
裸電球をつけたけど又消して
あなたの顔を思い出しながら
終わりかなと思ったら泣けてきた
大阪で生まれた女やけど 大阪の街を出よう
大阪で生まれた女やけど あなたについて行こうと決めた
たどりついたら一人の部屋
青春に心をふるわせた部屋


BORO(ボロ)という名前の由来は、幼少の頃にオンボロ自転車を乗っていて付けられたニックネームだった。
それは70年代の中頃のことだった。
当時まだ20代前半だった彼は、北新地の夜の盛り場でギター1本で弾き語りをしながら歌手デビューを夢ていた。

「大阪の若い人が歌える今風の歌がない」

客席からのそんなリクエストに応えて、彼はこの歌を紡いだのだという。 
ちょうどその頃、彼は内田裕也に才能を見いだされる。
たまたま彼が弾き語りをしていた酒場に、内田が現れたのが1977年の暮れのことだった。
その夜も彼は酔客あいてに「大阪で生まれた女」を歌っていた。
内田はステージを見て直ぐさま「いける」と確信し、さっそく歌手BOROのデビューを画策し始める。
フォークでもロックでもないこの楽曲を、内田はこんな風に表現したという。

「ストリートミュージックだよ!あるいは関西人にしか作れないブルースだね!」

この楽曲と歌手BOROを売り出すにあたって、内田はある戦略を立てる。
それは、同じ歌を東西で二人の歌手に唄わせるという斬新なものだった。
一人はもちろんBORO。
そしてもう一人、内田が白羽の矢を立てたのが“ショーケン”こと萩原健一だった。
テンプターズで一世を風靡した萩原は、当時すでに俳優に転身しテレビや映画を通じて人気沸騰中の頃だった。
1979年の5月にショーケンのバージョンを、そして8月にBOROのデビューシングルとして同曲の連続リリースを実現させたのだ。
内田の思惑通り、相乗効果もあって曲は見事にヒットし、長きに渡って愛されつづける“大阪の歌”となった。

♪「大阪で生まれた女」/萩原健一LIVE at シアターコクーン


ある男と女が高校時代を共に過ごし、夢を抱いて東京に出た男を追いかけてついていく女、若さゆえに別れてしまう二人…その後それぞれの人生を歩み、懐かしい青春の日々を振り返る──。
そんなどこにでもありそうな物語が綴られた曲の歌詞に、昔の自分の姿を重ねながらついつい深酒をしてしまう人もいるという。
歌詞の端々からは、60年代末にピークを迎えた全共闘世代の若者の暮らしが垣間見えるともいわれている。

振り返るとそこは灰色の街
青春のかけらをおき忘れた街
青春のかけらをおき忘れた街


シングルバージョンとして曲を再構成したときに、BOROはどんな想いでこの歌詞を加筆したのか…それが語られることは一度もなかった。
曲のリリースから約35年の月日が流れ、この国は大きく変化した。
いつか青春の日々を振り返るとき…僕らは何色の街を見るのだろう?

♪「大阪で生まれた女18(フルバージョン)」/BORO




<1番>
放課後のグランドで待ち合わせて帰る
二人を西陽がつつんでいる
生徒手帳の中の写真が
愛を教えていた
大阪の風をうけて歩いた
まだなにも知らなかった
大阪は二人にとって大きすぎて
怯えるようにながめていた
放課後のグランドで待ち合わせて帰る
風にほこりが笑ってた

<2番>
ある日、母が眠った朝
ただとまどっていた二人
すべてがその日から変わりはじめ
男は夢にむかいはじめた
大阪の街を二人で歩き
少し大人を演じていた
大阪の街は二人を見ていた
小さな恋人達を見ていた
ある日、母が眠った朝
小さな男が歩き出した

<3番>
卒業をむかえた3月のある日
二人はもっと愛しはじめ
この愛のくずれることだけが
とても怖かった
大阪でぎこちなく生きていても
夢を見れないと思ってた
大阪を出ることでそれに変わる
夢を手にいれようと思った
卒業をむかえた3月のある日
愛はより深くなった

<4番>
踊り疲れたディスコの帰り
これで青春も終わりかなとつぶやいて
あなたの肩をながめながら
やせたなと思ったら泣けてきた
大阪で生まれた女やさかい
大阪の街 よう捨てん
大阪で生まれた女やさかい
東京へはようついていかん
踊り疲れたディスコの帰り
電信柱にしみついた夜

<5番>
男は夢に立ちむかうけれど
女はまもるものがある
男は壁をのりこえるけれど
女は愛をさがした
大阪で生まれた女やさかい
この街をまもりたい
大阪で生まれた女やさかい
この街で何かをさがしてた
男は夢に立ちむかうけれど
女はまもる愛をみた

<6番>
たどり着いたら一人の部屋
裸電球をつけたげど また消して
あなたの顔を思い出しながら
終わりかなと思ったら泣けてきた
大阪で生まれた女やけど
大阪の街を出よう
大阪で生まれた女やけど
あなたについて行こうと決めた
たどり着いたら一人の部屋
青春に心をふるわせた部屋

<7番>
ひかり32号に乗って東京へと
涙がとめどなく流れつづけた
街をすてることの涙と
止める言葉をふりきる涙
大阪の街をふりかえると
そこにも夢はあった
大阪の街をふりかえると
そこにも愛は確かにあった
ひかり32号に乗って東京へと
二人きりの夢を持って…

<8番>
立教大学の近くの小さな部屋
それが二人の愛のかたまり
夢を追いつづける二人は
現実のすべてを見た
大阪で生まれた女やさかい
負けられへんと思った
大阪で生まれた女やさかい
がんばらなあかんと言いつづけた
立教大学の近くの小さな部屋
何もないけど輝いていた

<9番>
学生達でにぎわうこの街に
似合いもしない二人のくらし
求人広告を目でおいながら
なんとかなるよとつぶやいた
大阪で生まれた女やもん
夢をもたんとよう生きていかん
大阪で生まれた女やもん
負けられへんそれが口ぐせ
学生達でにぎわうこの街に
今夜小雨の空の色

<10番>
今日、西口のロータリーでのもめごと
警官が学生を追いかけてた
生きることに必死の二人には
馬鹿げたことだと思えた
大阪で生まれた女にとって
夕焼け色のビルは喜び
大阪で生まれた女にとって
明日を感じる何かがほしい
今日、西口のロータリーでのもめごと
テールランプに揺れる人影

<11番>
あつい日々を生きてた二人
夢は現実にくずれ去ろうとする
苦しみの中で二人の愛だけが
ただ一つの本当のこと
大阪で生まれた女にとって
喜びはどこにあるのだろう
大阪で生まれた女にとって
悲しみはどこにあるのだろう
あつい日々を生きてた二人
愛しか信じるものはなかった

<12番>
ゆうべ二人の部屋に届いた手紙
つらいメッセージだった
そんな暮らしをはやくやめて
大阪へ帰れと言っている
大阪から飛び出した若い二人は
とまどうばかりだった
大阪から飛び出した若い二人は
この街で怯えていた
ゆうべ届いた手紙に
目をふさぐ二人がいた

<13番>
なすすべもなく眠る人よ
あなたの夢は終りじゃない
現実にくずれ去ることよりも
現実を生きてほしい
大阪で生まれた女が今日
東京を一人 出て行く
大阪で生まれた女が今日
生まれた街へと帰って行く
なすすべもなく眠る人よ
自分をこわさないでほしい

<14番>
扉をあける 扉をしめる
きしむような音がする
心に扉があったら
二人の扉に鍵がかけられた
大阪からの手紙はやがて
色あせた悲しみに変わり
大阪からの手紙はそして
色あせた人生の事実となった
二人には好きな人が出来
やがて大人の扉をあけた

<15番>
やがて愛する子供ができ
あの青春を思い出す
やがて愛する子供ができても
あの日々は消えない
大阪はめまぐるしく変わって行く
時代を創る人達の手で
大阪を変えて行く時代の中で
あなたの噂を聞くことがある
ここで愛する子供が遊んでいる
あの日の思い出にありがとう

<16番>
最後の手紙
夢をつかんだ人へ
すばらしい人生を創る人よ
あなたがくれた日々に乾杯
大阪は今日もあの日のまま
あなたの青春が残っている
大阪は今日も活気にあふれ
またどこからか人が来る
最後の手紙
夢をつかんだ人へおめでとう
大阪で生まれた女より
大阪で生まれた女より

<17番>
すべてをつつむ力があれば
愛は終わらない
たとえばあの太陽のように
すべてをつつめば……
そこに街があり人が住む
そこに川が流れ鳥が舞う
そこに小さなアパートがあり
そこに永久(とわ)の愛があるかも知れない
でもそれを大人達は知らない

<18番>
青春は何かをつかもうとする時
ゆがんだ正義をつかまされもする
それを否定することは出来ない
たとえ小さな過ちでさえも
それは小さな二人の愛のせいではなく
青春そのものが…
ゆれ動く時代



BORO『ゴールデン☆ベスト BORO アーリー・デイズ』

BORO『ゴールデン☆ベスト BORO アーリー・デイズ』

(2012/USMジャパン)


萩原健一『ゴールデン☆ベスト』

萩原健一『ゴールデン☆ベスト』

(2004/徳間ジャパンコミュニケーションズ)

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