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街の歌

東京の歌〜社会派シンガーソングライターの目に映ったTOKYOの風景

2021.07.09

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♪「Tokyo 」/ブルース・コバーン

ブルース・コバーン(Bruce Cockburn)というシンガー・ソングライター/ギタリストを知っているだろうか?
誠実で美しい歌を作り続けているカナダの偉才で、そのキャリアは40年以上となる。
1970年のデビューから10年ほどは、自然の美しさを描きながら“精神的な旅”や“哲学的な思索”をテーマにした曲を書いていた。
80年代に入ってからは政治社会問題を取り上げ、世の不正を告発するメッセージを放つようになる。
環境破壊問題や放置・残留地雷問題を解決するための活動にも精力的に取り組み、モザンビーク、ベトナム、アパルトヘイト時代の南アフリカ、そしてニカラグア紛争地帯にまで実際に足を運んで作品を発表している孤高のアーティストだ。

そんな彼が今から37年前の1979年、二度目の来日ツアーで東京を訪れた。
そして帰国の飛行機の中で、滞在時のスナップ写真を整理するような感覚で一曲の新曲を書いたという。
歌詞を綴ったノートの端には“Tokyo, September 15/79”と記されていた。
それは、ちょうど自身の作風に大きな変化が起き初めていた頃の出来事だった。
彼の目に映った「Tokyo」は“こんな街”として綴られた。

川のような車の流れ
騒音と煙とコンクリート
パチンコのジングル
コミック本の暴力描写
吹き出す蒸気
壁に立ちションしているサラリーマン
排気ガスでハイになってるドライバー
詐欺師のキツネ
エネルギーと忍耐と金の力



この曲が書かれた1979年、日本の若者達が熱狂していた歌といえば…西城秀樹の「YOUNG MAN (Y.M.C.A.)」、サザンオールスターズの「いとしのエリー」、ゴダイゴの「ガンダーラ」、山口百恵の「いい日旅立ち」、甲斐バンド「HERO(ヒーローになる時、それは今)」などなど。

そんな時代から時が流れ…
経済優先社会の光と影。
次世代に引き渡す日本の未来。
解決しなければならないことは山積みだ。




ブルース・コバーン『Anything Anytime Anywhere(Singles 1979-2002)』
2002/True North

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