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街の歌

ろくでなし〜ベルギーの人気歌手アダモが二十歳の時に書いた、ヤケクソ気分の失恋ソング

2018.07.22

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あの日、古い酒場で…
あんまり良く憶えてないんだけれど
呑み過ぎてしまったんだ
もう何も考えられなくなって
酔いつぶれてしまったんだ
仕方がなかったんだよ…
彼女にフラれたんだもの
みんなは僕を責めたよ
僕はこれでもかって吊るし上げられたんだ
不良少年!不良少年!
ああ、なんて態度なんだ!
ああ、まったくなんて悪ガキなんだ!


あの日以来、僕は注目の的で
日曜日でもないのに着飾って歩けば
なんで僕がこんな格好をするんだろうと
おしゃべり女達の噂で持ちきりだった
夜になって人形のよう可愛い女のコを連れて歩けば
おしゃべり女達はまるで僕がパンを盗んだみたいに
疑うように騒ぎ立てたんだ
不良少年!不良少年!
ああ、なんて態度なんだ!
ああ、まったくなんて悪ガキなんだ!


こうなったら口喧嘩するしかない
仲間たちを招集しよう
片っ端からカフェのマダムを煽り立てて
野次馬根性をかき立ててやるんだ
僕が住んでる街はとてもいいところだけど
もうおさらばするのさ!
鳥の鳴き声も聞こえやしない
あの女達が朝っぱらからやかましいからね
不良少年!不良少年!
ああ、なんて態度なんだ!
ああ、まったくなんて悪ガキなんだ!


誰もが一度は耳にしたことがあるだろうメランコリックで親しみやすいメロディー。
この「ろくでなし(Le mauvais garçon)」は、ベルギーの歌手サルヴァトール・アダモの代表曲の一つ。
「雪が降る(Tombe la Neige)」「サン・トワ・マミー(Sans Toi M’amie)
」などのヒット曲と同じく、アダモ自身が作詞作曲を手がけたもの。
彼がまだ二十歳だった1964年に発表されて以来、シャンソンの名曲として人々に愛されつづけてきた歌だ。
1964年といえば、東京オリンピックが開催された年でもあり、同年に日本でも紹介される。
原題の「Le mauvais garcon」は、フランス語で“不良少年”という意味だが、日本では岩谷時子による日本語詞で越路吹雪(当時40歳)が歌唱し、“ろくでなし”というタイトルで親しまれることとなる。
以降、越路はこの歌を自身のリサイタルやステージなどで必ず披露し、「愛の讃歌」や「ラストダンスは私に」などと共に“十八番”として晩年まで唄いつづけたという。
岩谷による訳詞は主人公を女性に置き換えた内容で、アダモの原詞と比べるとかなり意訳されたものになっている。


古いこの酒場で たくさん飲んだから
古い思い出は ボヤケてきたらしい
私は恋人に捨てられてしまった
人はこの私を ふだつきと云うから
ろくでなし ろくでなし
なんてひどい アーウィ!云いかた

平日だけど はれ着をきたのよ
人形をだいて 日暮に帰ったワ
おかみさん達は 白い目でにらんだ
まるでこの私をドロボーみたいに
ろくでなし ろくでなし
なんてひどい アーウィ!云いかた

コーヒーがわいたら かげ口を聞かれて
それでもこの街が一番きれいだワ
とても好きだけど お別れよサヨナラ
鳥のさえずりに 送られて出てゆこう
ろくでなし ろくでなし
なんてひどい アーウィ!云いかた


二十歳にしてこの名曲を書き上げたアダモはどんな生い立ちを持つ歌手なのだろう?
彼は1943年11月1日、イタリアのシチリア島で炭坑夫の長男として生まれた。
彼が4歳になる年に一家はフランス国境に近いベルギーの炭坑町に移住する。
祖父からギターをもらった彼は、14歳から作詞作曲を始めたという。
15歳で民放ラジオのコンクールで優勝し、歌手になる決心を固める。
そして1961年、18歳を迎えた彼はフィリップスレコードからデビューするも不発に終わる。
翌1962年になってポリドールからリリースした曲も売れず、起死回生を賭けてEMI傘下のレコード会社に移籍し「ブルー・ジーンと皮ジャンパー(En Blue Jeans Et Blouson D’Cuir)」を発表するが…大衆はまだ彼の才能に気づくことはなかった。


歌手への夢をあきらめきれなかった彼は、同年の11月に「サン・トワ・マミー」を発表する。
同曲は、年をまたいだ翌1963年の初春からヒットチャートを駆け上り大ヒットを記録する。
一躍ベルギーやフランスで国民的歌手となった彼は、その後も自作曲を立て続けにヒットさせ“シャンソン界の貴公子”と呼ばれるようになる。
1965年、若干21歳にしてフランス音楽界の殿堂オランピア劇場で公演を成功させ、その人気を不動のものにする。


<参考文献『ロック&ポップス名曲徹底ガイド①』音楽出版社>


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