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鳴き声の歌〜ククルクク・パロマ〜

2014.11.09

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♪「Cucurrucucu paloma」/カエターノ・ヴェローゾ


ブラジル音楽の大御所カエターノ・ヴェローゾのレパートリーであるこの「ククルクク・パロマ」は、メキシコのペラクルスという港町に伝わるウァパンゴ(民族舞踊曲)で、1954年にトマス・メンデスによって作詞作曲された歌だ。
歌の内容は、病気で死んでしまった女性を想うあまり、ついには死んで一羽の鳩になった男の話である。

夜ごと彼は泣いてばかりいた
なにも食べずに彼女の名を呼び続け
恋焦がれて死んでしまった
人気のない家の開いた戸の前に
毎朝、一羽の鳩が飛んできて哀しそうに鳴く
あの鳩はきっと彼の魂だ
鳩よ、お願いだ
そんなにククルククと鳴かないでくれ
だれにも彼の愛がわかるはずがないのだから


実話をもとに、歌のイメージを膨らませたと言われている。
メキシコ人はこの手の歌が好みのようで、女に捨てられた男が嘆き悲しみ、さらにそのあげくに死んだりボロボロになるといった“未練節”がメキシコでは受けるそうだ。

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曲の誕生から13年後にデビューしたカエターノ。
彼は、後期のビートルズなどからの影響を多分に取り入れた新しいスタイルの芸術運動“トロピカリズモ”の創始者でもある。
そこでは、ブラジルのポピュラー音楽と欧米のロックンロール、そして前衛芸術的な音楽の要素をミックスし、より国際的に、よりサイケデリックなサウンドが生み出されたという。
彼は、1985年まで支配したブラジルの軍事政権の独裁に対する敵意を根源とする純粋な左翼的スタンスに立っており、それらの歌はたびたび検閲され、焼かれることもあった。
そんな政治活動のために一時イギリスに亡命するなどの“ドラマティックな過去”も手伝って、人生の深みを感じさせるボーカリストとしてジャンルを超えたファンに支持されている。
彼が歌う「ククルクク・パロマ」が、1997年に公開されたウォン・カーウァイ監督の香港映画 『ブエノスアイレス』(原題:春光乍洩、英題:Happy Together)の冒頭シーンで印象的に使用され世界的に絶賛された。
また2002年にアカデミー賞脚本賞を受賞したペドロ・アルモドバル監督の映画『トーク・トゥ・ハー』では本人が出演し、この“語るような歌声”を披露している。

映画『ブエノスアイレス』より


1954年、この曲が生まれた同じ年にアメリカのミュージカル映画『カルメン』が公開された。
俳優として作品に出演し注目を集めていたハリー・ベラフォンテが、現地(メキシコ)でこの曲をみつけ、自身のレパートリー取り入れたことをきっかけに「ククルクク・パロマ」は広く知られるようになったと云われている。

♪「Cucurrucucu paloma」/ハリー・ベラフォンテ

その“鳩の鳴き声”はベラフォンテを通じて日本にも渡って来ていた。
1974年3月3日。東京・紀尾井町の料亭『ふくでん』でのこと。

「ナット・キング・コール も、サッチモも亡くなって」
「私の好きな人は、もうただ一人、あなただけになりました」


と、美空ひばりは語りかけた。
14年ぶりの日本公演のため来日したハリー・ベラフォンテとの劇的な対面は、こんな言葉から始まった―――(HIBARI on MUSIC IMIDAS 兼田達矢コラム『ひばりとベラフォンテ』より)


♪「Cucurrucucu paloma」/美空ひばり

また近年では2011年より、短編小説『ハトを、飛ばす』を元に制作をスタートした同名のドキュメンタリー映画(原作・監督/町田泰彦)の挿入歌となっている。

♪「くくるくく、はとよ」/ミソラカラス(映画『ハトを、飛ばす』挿入歌)

あいたい 夜風に ただよい まぎれて
ああ こぼれて 海越え 泣き声
とどけば はるばる 哀しみ おいおいと
小鳥 となりの あなたの名 呼んだのよ

あいあいあ うたお
あいあいあ 雨よ
あいあいあ うたお
ぼうぼうぼ 森よ

ほうぼう 探して しらじら 夜明けに
いえ 扉は 閉ざして 結んで
ほどけず しみじみ つつしみ めんめんと
ことり 音なり あたしの名 呼んだかい?

くくるくく はとよ
ぱたぱたと 飛ぶよ
くくるくく はとよ
うたおおよ はとよ


“Paloma”は鳩の意味、そしてその鳴き声を表現しているククルククは、日本のポッポッポより悲しい感じがして、この語りかけてくるような儚気なメロディと重なると実に切なく聴こえる…。


カエターノ・ヴェローゾ『Fina Estampa (Ao Vivo)』

カエターノ・ヴェローゾ
『Fina Estampa (Ao Vivo)』

(1995/Verve World‎)


さて、今週は「動物の鳴き声が使われた歌」を紹介して下さい♪
皆様からのコメント欄への投稿をお待ちしております。
洋楽・邦楽・性別・世代を超えて“音楽と出逢う”歓びを、皆さんで分かち合いませんか?
「私ならこの一曲!」
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