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黒の魔力〜Paint It, Black〜

2014.01.26

♪「Paint It, Black-黒くぬれ!-」/ザ・ローリング・ストーンズ

“黒”の究極の連想は死だ。
元来、黒のファッションは、教会で用いられた黒から発生し、教会の黒は、いわば精神的な悲しみ、
すなわち人間を無限の諦観と欲求の深さに思い至らせる精神性と結びついていた。
この“黒”は古くからある「喪服」の黒につながっている。

<書籍『黒服-Men in Black-』より>

この色から連想するイメージは十人十色。
「死」「絶望」「悪」「冷酷」といったネガティヴなものから、「厳格」「カリスマ」「セクシー」「スマート」など捉え方によってクルクルと表情を変える。
故に黒は“悪魔的”であり、時に“神秘的”だ。
黒い服をまとう者と言えば、まず思い浮かぶのが「裁判官」「修道士」「シスター」「神父」。
日本では「僧侶」「忍者」「歌舞伎の黒子」、時代や階級によっては「警官」「軍人」「貴族」もそうだろう。
職種や身分差を超えて“黒い服”と言えばやはり「喪服」や「礼服」が一般的と言える。

その重たく堅固な“黒”のイメージを、そして世の中の闇と弱者の悲しみを一身に引き受けながら「Man In Black」を歌い続けたジョニー・キャッシュ。
彼は他界した今でも「黒服の男」と呼ばれ多くのアーティスト達からリスペクトされている。
そんな彼を知らない世代でも、それぞれに映像作品やミュージシャンを通じて「黒い服といえば○○」と記憶に浮かび上がってくることだろう。

例えばマーティン・スコセッシ監督のPVで一世を風靡したヒット曲「BAD」(1987年)でのマイケル・ジャクソンの衣装。
ゴルチェがデザインしたマドンナのボンテージ姿。
映画『ティファニーで朝食を』(1961年)でオードリー・ヘップバーンが着ていたジバンシーの黒いドレス。
“喜劇の王様” チャップリンのトレードマークと言えば、黒いジャケットに口髭、それに黒い山高帽とステッキ。
アリス・クーパーやオジー・オズボーンそしてKISSやマリリン・マンソンにまで繋がる悪魔的コスチュームの系譜。
革ジャンバンドの代名詞とも言えるラモーンズ。
フィーメルロッカーのアイコン、ジョーン・ジェットやスージー・クアトロが着こなすWILD&SEXYな黒革のジャンプスーツ。
1980年にスクリーンで大暴れしたブルース・ブラザーズ。
黒装束の日本代表といえば浅川マキ。
そして “ロンドンパンクの雄”ザ・クラッシュが映画『ルード・ボーイ』(1980年)の劇中、黒ずくめの衣装でステージに立ち「I Fought the Law」を演奏する姿は唯一無二のカッコ良さだった!

「黒、中世からパンクへ、ハムレットからボードレールへ、西欧一千年男たちを酔わせた色」

その本の帯にはこんなフレーズが書かれている。
“黒い服”のルーツは漆黒の闇のように深く…軽々に要約できるものではない。
それを語るには、長い歴史の中での民族・ジェンダー・宗教的な背景や、心理学・社会学的な観点から理解する必要がある。
諸説紛々ある中、書籍『黒服-Men in Black-』は秀逸で、黒服にまつわるそれらを知る事ができる唯一のモノグラフだ。

人々は“黒”に特別な意味や美学を感じながら、これからも“黒い服”を身にまとい続けることだろう。
真っ白な衣に抱かれて天国へと旅立つその日まで…。

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『黒服-Men in Black-』
ジョン・ハーヴェイ 著/太田良子 訳
(研究社/1997年)
♪「Man In Black」/ジョニー・キャッシュ
1971年、カントリー・チャート1位を獲得。
ベトナム戦争時代のカントリーシーンにおいて唯一の反戦歌としてリリースされた一曲。
黒い服ではなく、虹色の服を着て歌える世の中を心から望み綴られた歌詞が印象的だ。
♪「I Fought the Law」/ザ・クラッシュ

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