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若者たち・後編〜運命の巡り合わせを感じずにはいられない再ヒット

2016.01.10

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このリメイク版ドラマ『若者たち』(2014年放送)の本編で、人気俳優の妻夫木聡と蒼井優がこの曲を歌うシーンが流れ、その瞬間、歌詞検索サイト歌ネットではオリジナルのザ・ブロードサイド・フォーと森山直太朗の「若者たち」が歌詞検索リアルタイムチャートで1位、2位になるという現象がおきた。
時代とともに音楽をとりまく環境は変わり、ユーザーが音楽を聴くメディアも変わってきたが、時を超えてこの名曲がようやくヒットチャートにランクインしたことになる。
またTwitterにも「子供のころはわからなかった歌詞が、今聴くと泣ける」「歌詞に感動した」といった投稿が多くよせられたという。
こうして再び注目を集めた名曲「若者たち」──40歳以上の世代には、学校の音楽の授業で歌ったという人も多いのではなかろうか?


実はこの曲の誕生と、森山直太朗の母親である森山良子とは“不思議な縁”で結ばれていたのだ。
60年代の中頃──成城学園高校で黒澤明監督を父に持つ黒澤久雄は、キャンパス仲間の森山に、当時“プロテスト・ソングの女王”と言われていたジョーン・バエズの歌を薦め、彼女のフォーク界入りのきっかけを作った。
森山の美しい歌声に大きな可能性を見出したレコード会社は、早速契約の話を持ちかけたが、森山の代理人としてレコード会社との交渉を担当していた久雄にもアーティストとしての才能を感じたレコード会社は、森山と久雄の二人のデビューを計画したという。
同じころ、フジテレビのドラマ『若者たち』の音楽を依頼されていた作曲家の佐藤勝は、この曲のテイストに合うアーティストを探し、映画でコンビを組んでいた黒澤明に相談、そこから佐藤と久雄とが出会い、この歌の誕生へと結びついてゆくのだった。
一方、森山も翌1967年に「この広い野原いっぱい」でデビューし、この歌も大ヒットを記録する。
約50年の時を経てリメイクされたドラマの主題歌を巡る“物語のような出来事”に、何か運命的なものを感じすにはいられない。

──当時の“若者たち”にとって今の若者は孫世代にあたる。
1曲の歌が、時代を超えて「今」と「昔」の架け橋となることもある。
昭和から平成へ…どんな時代であれ、若者たちが希望に満ちて歩きつづけてくれることを願うばかりだ。

森山直太朗『若者たち』

森山直太朗『若者たち』

(2014/ EMI Records)


『青春歌年鑑 60年代総集編』ザ・ブロードサイド・フォー、他

『青春歌年鑑 60年代総集編』ザ・ブロードサイド・フォー、他

(2004/EMIミュージック・ジャパン)

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