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エドモンド・フィッツジェラルド号の難破〜ボブ・ディランにファンと公言させた男が紡いだ“本当にあったニュース”の歌〜

2016.01.24

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その船の名はエドモンド・フィツジェラルド号。
1958年にアメリカで製造され、「最大の貨物船」と言われて当時のアメリカの勢いを象徴する存在だった。
1975年11月10日、強風警報を無視してスペリオル湖へ出航した船は嵐に巻き込まれた。
通常より多い荷を積んでいた事もあって、走行不能に陥り難破。
生存者はなく、その後湖底で真っ二つに割れた状態で沈んでいる状態で発見された。
タイタニック号同様、不沈と思われた大型貨物船が沈没したことは、多くの人に衝撃を与え、五大湖史上最悪の事故として今もその名は語り継がれている。

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翌1976年、この悲劇を題材にした一曲の歌がある。
カナダ出身のシンガーソングライター、ゴードン・ライトフットが紡いだ「The Wreck Of The Edmund Fitzgerald (エドモンド・フィッツジェラルド号の難破)」は、当時のアメリカ人のプライドに訴えかけヒットチャートを駆け上った。
その歌はサビもなく、同じヴァースが延々とリピートされるものだった。
時を同じくして、ロッド・スチュワートがヒットさせた「Tonight’s the Night (Gonna Be Alright)」の人気に阻まれ、惜しくもチャートのトップ獲得とはならなかったが、グラミー賞の最優秀楽曲賞にもノミネートされるほどの評価を得た楽曲だった。
1つのメロディを約6分半繰り返す曲なので、英語圏以外の音楽ファンにとっては歌詞の内容が理解できないと“ただ退屈な歌”なのかもしれない。
その歌詞には、遭難事故を“伝説はチペワ族の時代から生き続けている”と繰り返し綴られている。
チペワ族とは、アメリカ及びカナダの先住民族(インディアン)のことである。

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この曲を作ったゴードン・ライトフットとは、どんな人なのだろう?
1938年カナダのオンタリオで生まれた彼は、現在77歳の現役アーティストだ。
50年代の終わりにロサンゼルスへ移住し、職業作曲家として活動していたが、イアン&シルビア(1960年代に活躍した カナダの夫婦フォーク・デュオ)が取り上げた彼のの曲「朝の雨」や「For Lovin’ Me」をきっかけに米国のフォークファンの注目を集め、1974年にリリースした楽曲「Sundown」では全米チャートの第1位を獲得する。
彼の作詞能力に関しては、ボブ・ディランをも唸らせる才能があると言われている。
実際60年代にディランは「私はゴードン・ライトフットのファンだ」と、公言しているのだ。


──古くからその土地に伝わる「伝説」や、実際に起きた「ニュース(事件・事故)」を歌にすることは、ソングライターにとって「喜怒哀楽」や「メッセージ」を歌にすることよりも高度なテクニックが求められる。
耳触りのいい言葉がならべられた流行歌に食傷気味ならば、たまにはこんな歌はどうだろう?


伝説はチペワ族の時代から生き続けている
五大湖が“ギッチェグミー”と呼ばれていた時代から
11月の空が掻き曇るときに、湖は犠牲者を求めると言う…
エドモンド・フィッツジェラルド号は
2万6千トンを超える鉱石を積んでいた
良き船とクルーは、11月の嵐に粉々にされたのだ

この船はアメリカの誇り
ウイスコンシンの幾つかの採石場からの帰りだった
最大級な貨物船は、経験豊富なクルーと良き船長と航行していた
2社の企業と雇用契約を結んで
鉱石を満タンに積み込んでクリーブランドに向け出発した
船の出航ベルが鳴ったのは、その夜遅く…
その時彼らは、北風を感じることができたのだろうか?

ワイヤーに吹く風は、告げ口屋のようにわめき
波は手すりを越えてくる
キャプテンと同じことを皆考えたろう
「11月の魔女が忍び寄ってきている」と
夜明けが遅れてやってきて、朝食も待たされた
11月の嵐がはっきりと正体を現した
午後には冷たい雨が降り出して
ハリケーンのような西風が吹き始めた

夕食時、年老いたコックがデッキにやってきて言った
「みんな、夕食を出すにはあまりに荒れている」
午後7時にはメインハッチが陥没した
彼はこう言った「みんな、あんたらと知り合えてよかったよ」
船長は、浸水が始まって船とクルーが危機に陥ったことを無線で知らせた
そして夜遅く船の明かりが見えなくなり
エドモンド・フィッツジェラルド号は沈没した

大波が時間単位で押し寄せたとき
神の愛はどこへ行ったのだろうと誰が思うだろう
捜索隊は皆、せめてホワイトフィッシュまでたどり着けばと言う
わずか15マイル先だった…
船は二つに割れたのか?それとも転覆したのか?
破壊されて水の底に沈んだ
残されたものは、妻や息子や娘の顔と名前だけ

ヒューロン湖は舞い、スペリオル湖は歌う
魔女の氷の城の中で…
古いミシガンの小川は、若者の夢が好き
島々や入り江は、スポーツマンのために
オンタリオ湖の奥深くに…
エリー湖は魔女に届けることができるものを取り入れている
11月の嵐と共に鉄の船が逝ったことは
水夫なら皆知っているし、記憶している

デトロイトの海員水夫教会の古びたホールで彼らは祈った
教会のベルは29回鳴らされた
エドモンド・フィッツジェラルド号の乗組員一人一人のために
伝説はチペワ族の時代から生き続けている
五大湖が“ギッチェグミー”と呼ばれていた時代から
11月の空が掻き曇るときに、湖は犠牲者を求めると言う…


ゴードン・ライトフット『Summertime Dream』

ゴードン・ライトフット『Summertime Dream』

(1976/Reprise)

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